慈濟傳播人文志業基金會
薬物は薬にあらず無用な物
「麻薬にNOと言える私」というスローガンを掲げ、慈済は薬物乱用防止活動をこの七年間で七千回行ってきた。まるで予防接種のように、青少年に誘惑を断ち切る勇気を投与してきたのであった。
 
慈済の薬物乱用防止活動は今年で七年目を迎えた。法務部、教育部、衛生福祉部などの政府機関と協力し、台湾全土のボランティアと更生した人達は軍の基地や学校、地域社会、リハビリ施設へ赴いてキャンペーンを行ったり、ほかのさまざまな団体の宣伝活動に参加したりしてきた。その回数は優に七千回を越える。
九月の新学年スタートシーズンに合わせ、慈済の教師連合会のボランティアが台北から雲林県まで南下しながら、各県合計四十五カ所の小学校でキャンペーンを実施する。子供達に薬物が与える危害について指導し、都市の近くであろうと離れていようと場所を選ばずその危険が及んでいることを知らせるのだ。
「純朴な人々にこそ、早いうちに『予防接種』的なキャンペーンを行う必要があります」と華南小学校学生部主務の呉承樺は強調する。地方の子供達は純粋であるが故に誘惑に乗りやすいそうだ。このような活動はまさに「薬物乱用予防接種の第一回目」であるといえる。
薬物には手を出してはいけないことは誰でも知っているが、どのように拒否し、誤ちを乗り越えるかについては対策が取られていない。人々は中毒者の自業自得だとみなし、更生したいと思う中毒者を支援したり資金協力をすることに感心を持つ人は少ない。そこで慈済は教育の場を通じて支援を始めることにしたのだ。まず自分がしっかりすること。自分を見失ってはならないことが大事だ。「麻薬にNOと言える私」と呼びかけている。誰でも薬物が及ぼす危害を知っているはずだ。一緒に健全な家庭を築き、社会に落ち着きを取り戻そう。
 
薬物一粒で一生紙おむつ
 
薬物危害防止条例に依れば、薬物は四段階に分けられる。注射器を使うヘロイン、モルヒネ、コカインは一級に属する。「アンフェタミン」「MDMA」は二級と呼ばれ、三級には「フルニトラゼパム」「ケタミン」などがある。四級は中枢神経を麻痺させるものである。警察行政署の最新統計資料では、ここ十年間で青少年の三級薬物被害者が十五倍にも増えていることが明らかになった。
児童福祉連盟が今年十月に発表した調査結果では、約十六%の子供が三級、四級の薬物をどのように手に入れたらいいか知っている。さらに四分の一以上の子供が、もし使うとしても量を自分で考えて使えると答えたのだった。一方、それらの薬物に手を出した理由には、「挫折を感じたから」「家庭が温かくないから」「ストレス解消のため」「好奇心」などがあった。これらの結果には、薬物を求めるときには生理的要素よりも心理的要素の方が大きく関係していることが表れている。
中学生くらいの時期は、好奇心が旺盛で周囲からどう見られているかが気になるもので、また、衝動的に行動したり、誰かの真似をしたがることが多い。正しい価値観を持つ大人の導きがないと、後先を考えずに薬物の誘惑に手を染めることにもなりかねない。
最近世間を騒がせている「ケタミン」を例にとると、この薬物は長期的に摂取すると脳が萎縮し、記憶力と思考力が減退し、急性精神障害、ひいては血管障害を引き起こして急死する場合もある。その障害は永久に治らないそうだ。同時に、膀胱壁が薄くなり、膀胱の容量が五十CCにまで減少して頻尿状態を引き起こすこともあり、膀胱切除が必要になる場合もある。正に「薬物一粒で一生紙おむつ」なのである。
法務部の統計では、未成年者が初めて中毒になる年齢で最も多いのは十二歳半であった。これは驚くべき結果だ。台湾薬物乱用調査の報告書によると、手に入れた薬物の半分以上は同級生や友人から渡されたという。
桃園市の慈済ボランティア・許玉姫は、長期的に龍潭女子刑務所の受刑者と桃園少年院で保護観察下にある子供達を訪問してきた。その中でこのように次の世代の受刑者の八、九割が薬物に関係する罪を背負っていることを知ったのだった。
親も薬物中毒者の場合、子供を薬物の受け取りに行かせることが多い。普通の家庭であっても、仕事が忙しい両親が子供に申し訳ないという気持ちから法外な金額のお小遣いを与えたりすると、子供は悪い友達に目をつけられて暴力団などに利用され、罪を背負わされることもある。両親が気づいた時はすでに後の祭りなのだ。
 
姿を変える薬物
警戒を怠らないように
教壇の上に、慈済教連会のボランティアが二枚のアルミホイルを敷き、児童二人を呼んで、「ホイルを丸めてから元通りに拡げてください」と言った。平たいホイルを一度丸めたら、どのうようにしても元の光沢のある平面に戻すことはできない。ボランティアは子供達に呼びかけたのだ。中毒になった体はこのアルミホイルと同じなのだと。一粒ぐらい試してもいいだろうという軽い気持ちでも、絶対に試してはいけない。中毒になるのは簡単だが、やめることは容易ではないのだ。その上後遺症に一生苦しめられるのだ。
ある子供を持つ親からボランティアに報告が寄せられた。「すごくいい気持ちになれる」「魂だけ宙に浮いているみたい」という麻薬常習者の言葉にとても興味をもったことがあると話していた息子が、今回慈済ボランティアのキャンペーンに参加して薬物の恐ろしさがはっきりと分かったと言ってくれたそうだ。「やるべきことをやる。それが智慧であり、できないのは愚かさゆえである」。この静思語の言葉を息子は何度も繰り返していたそうである。
そしてこの保護者はボランティアに「おかげで私たち家族は救われました。ありがとうございました。」と結んだのだった。このような思い出が慈済ボランティアを励まし、活動を続ける力になっていく。
国連が発表した昨年の統計では、地球の全人口のうち二億人以上が薬物を使用しており、毎年平均少なくとも八億人が薬物により亡くなっているそうだ。国際貿易においても、貿易額の最も大きな三大商品は、石油、武器、そして薬物であるというのは真にやるせない現実である。製造はもとより、運送、販売するのも使用するのも全て人間が引き起こし、公共衛生にとって大きな問題を生み出しているのだから。
最近は新しい薬物が続々と出ている。外見の包装を見ただけでは、チョコレートか飴か、あるいはティ—バッグかコーヒースティック、それとも煙草だろうかと見間違ってしまうほど巧みなのだ。薬物乱用防止の教育は学校だけにとどまらず、家庭でも警戒心を持って話題にする必要があるだろう。そこで慈済教連会のボランティアは、キャンペーン以外に教材の出版にも着手したのだ。これからも指導員を要請するなど、活動の場所を広げ、力を注いでいく所存である。
 
 
NO.240