慈濟傳播人文志業基金會
愛の力で麻薬を撲滅する
ある中年男性が、母親と花蓮の静思精舎へボランティアにやって来た。朝会の時、證厳法師の開示を聴いていたこの男性は、落ち着かない様子である。しばらくすると彼は上人の前に出て跪き、涙を流しながら「家へ帰ったら必ず麻薬を断ちます」と懺悔していた。上人は彼の肩を軽くたたいて、「志を堅くもってこの苦しみが通り過ぎた時には、新たな人生に向かって再出発できますよ」と励まされた。
二カ月後、彼は再び精舎を訪れ、上人の前で、近頃ボランティアに参加していた時に見聞きして心得たことを話した。上人は彼に麻薬をしていた時はどんな感じだったかと聞かれた。彼は自分が麻薬を断ち切れることを実証して、現在呼びかけている麻薬撲滅キャンペーンの力になることを誓った。
十三年前のことである。彼はもともと安定した職に就いていたが、悪い友人と付き合い始めてから、アンフェタミンという薬物に手を染めた。アンフェタミンを摂取すると、活力が漲り、仕事の刺激になって健康にも良いと勧められて始めた。今は家族の支持と自分の堅い決心によって、終に立ち直ることができたのだ。
一九九○年代から、台湾では麻薬が氾濫し、それにともなう犯罪が社会問題化していた。アジア太平洋航路の中心である台湾では、国際的麻薬組織が取引を行うようになり、麻薬が滲透していった。それに加えて、経済発展に伴って高度な競争社会となり、麻薬がプレッシャーから逃避するための手段になっていた。
台湾の町はずれで一時、電線窃盗案件が頻発したことがある。三年の中に盗まれた電線は台湾を二周するほどの長さだった。当時、世界で銅の価格が上昇していたので、麻薬常習犯は高圧電線の危険も顧みず、電線を盗んでは銅を切り取って金に換え、麻薬を買っていた。警察が窃盗犯を取り調べていた時、意外にも麻薬の汚染は都市部よりも田舎の方が深刻であることを発見した。
人影のまばらな場所は麻薬を隠すのにもってこいの場所である。とくに、船が行き来する辺鄙な港は麻薬や原料を密輸する格好の場となっていた。現地の住民は麻薬被害に対する認識と麻薬中毒と中毒からの更生に対する認識が低かった。「麻薬はどこにある?」と聞けば、「ここにあるよ」と言う調子でたやすく手に入るため、麻薬常習者が増加していた。
麻薬関連の犯罪者で台湾の刑務所は満員になり、たとえ刑務所を出ても、正常な社会生活に戻るのは非常に困難だった。肉体を蝕んだ中毒から離脱するのは難しく、それに加え社会では排斥されるため、多くの者はまた麻薬の道に戻ってゆく。
麻薬常習者は家族を傷つけ、家庭の倫理を壊す。二○○九年、衛生署の調査によると麻薬常習者の人口は年少化し、学校内にまで麻薬が入り込んでいることが分かった。家庭内の不和や勉強といったストレスを感じている学生は、麻薬の危険にさらされていた。
どのようにして麻薬常習者を更生させるか、誘惑を拒絶できるかは、現在、台湾社会にとって重大な課題になっている、法務省は七年前から慈済と共同で「麻薬にNOと言える私」というスローガンを掲げて、慈済教師連合会が麻薬防止ボランティアを訓練している。このボランティアの中には麻薬からの更生に成功した者もいて、彼らは全身全霊で協力している。
NO.240