慈濟傳播人文志業基金會
私利私欲のない無上の宝
慈悲テクノロジーの研究開発はなかなか利益に繋がらない。しかも災害支援のニーズに応じて随時修正する必要がある。あきらめずに成果が上がるまで続けるかどうか、最後はその人の思いの強さにかかっている。
 
文・張敏忠 
 
私は新竹区の慈済ボランティアで、かつて工業技術研究院に務めていた。幸いに仕事と志業が結びつき、災害支援に使う機器の研究開発と製造において、わずかながら貢献することができた。
 
ここ四、五年の間、工業技術研究院の慈済への支援に携わり、キッチンカー、浄水設備、井戸掘削装置などを開発した。台湾は「慈悲テクノロジー」の開発において優勢な立場にあるが、そこに至るまでには、相当の覚悟をもって数々の困難を乗り越えてきた。
 
技術面では、台湾はすでに災害支援用の機具や設備の製造に欠かせない技術や部品を持っている。したがって、工業技術研究院は救済活動だけのために、今までにない新しい技術を開発することはなく、すでに開発された技術を災害支援用に応用し、ニーズに応じて改良している。
 
工業技術研究院にしても業界にしても、すでに開発された主要技術を整理し直して、製品を作っている。たとえば、浄水設備やキッチンカーなどである。ところが、技術的には可能だと言っても、それらを応用して最適の製品を作ることは、実際はそれほど簡単なことではない。
 
一般的な研究機関や製造メーカーが開発した製品は、売り上げや利益を念頭に置いて作られる。ある程度の受注量と売り上げを見込んで、利益に繋がらなければ、手を出さない。しかし、慈済が必要とする災害支援用の機具は数が少なく、研究開発者や製造メーカーにとって利益が少ない。それでも引け受けてくれるのは、なかなか出来ないことである。
 
キッチンカーを例に取れば、初め台湾で必要だったのは四台だけだった。そういう特殊な規格で、しかも数が少ないオーダーを普通メーカーは引き受けない。そのため、設計者の蔡堅印師兄はどこへ行っても断われ、最後には自分で部品を買って作るしかなかった。
 
慈済の仮設住宅は五十回以上も試行錯誤した末、ようやくドライバーとねじだけで組み立てることができる実用的なタイプがいくつか出来あがった。「慈悲テクノロジー」は開発段階で常に難問が出てくるため、途中であきらめるしかないこともあった。だから、人々の目に触れ、使えるようになるまでには、大変な苦労があったのだ。
 
利益にならない上、救援活動に合わせ状況に応じて改良する必要がある。最後まで成果が出るまであきらめずに続けるには、やはり信念の力が必要ではないかと思う。もし、研究開発の担当者が證厳法師の悲願と慈悲の心を根本から理解し、しかも仏の心を我が心とし、師匠の志を我が志とするなら、困難に出会った時、成し遂げる力が湧いてくるだろうと思う。
 
「静思語」には、「願が大きければその分力も大きい」という言葉がある。もともとテクノロジーの研究開発というのは容易な仕事ではない。慈悲テクノロジー製品は劣悪な環境の下で、操作しやすく、設置や運搬が簡単であることが要求されるが、設計の工程がとても複雑なため、普通の製品開発よりももっと苦労するのは明白だった。努力を積み重ね出来上がったものだからこそ、もっと大事に扱い、上手に活用すべきである。
 
人文志業センターはこれらの「慈悲テクノロジー」の研究開発を記録することで、困難な道を歩んできた名も無き英雄たちが人々に認められ、尊敬されることを期待している。この本に書かれた製品や開発者の物語は、全て台湾の愛と善と科学技術の実力のストーリーである。私も、「慈悲テクノロジー」の開発に携わった者の一人として光栄に思っている。そして産業界や政府、研究者の先輩達が、もっと理解してこの志業に参画し、共に「慈悲テクノロジー」を発展させていくことを願っている。
(《慈悲テクノロジーMIT》の推薦文より)
 
慈悲テクノロジーM IT
 
作者:葉子豪
出版日:2017年7月
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慈済道侶叢書へのお問い合わせ:
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886-2-28989000内線2145
 
 
●慈悲テクノロジーの製品は劣悪な環境の下で、簡易な操作と輸送を求めて、一般的なテクノロジーの製品よりも開発に心血を注いでいる。ようやく手に入れた成果は大切に活用されなければならない。

 

 

NO.250