慈濟傳播人文志業基金會
慈悲×テクノロジーで 台湾の災害支援を創造
 キッチンカーや全地形対応災害支援車は被災地に入り、被災者やレスキュー隊と困難な時を共にします。浄水ユニットは川に流れる一枚の葉のように小さいけれど、汚水を浄化して甘露に変えます。福慧ベッドは被災した人々に充分な休息を与え、災害による心理的ショックを和らげます。
 
 慈済は半世紀の慈善活動の経験とテクノロジーを結びつけ、衣食住行の各方面において、災害時の緊急のニーズに応え、様々な環境に対応できる災害支援設備を開発しています。台湾の災害支援を国際社会へ広げていくことに貢献しています。
 
Charitable Technology
 

キッチンカー

全地形対応災害支援車

浄水ユニット

福慧ベッド

 
二○○六年、エコ毛布の本格的な量産が始まりました。このエコ毛布は台湾慈済環境ボランティアが回収したペットボトルを再生したもので、元々は環境保護のための廃棄物の再利用が目的でしたが、その後、災害支援の際に配布するうちに、世界中の慈済人によって支援活動の現場に届くようになったのです。
 
この毛布は慈悲の心と現代のテクノロジーの完璧な融合と言えるでしょう。ペットボトルは回収し裁断してフレークにされた後、加熱溶解してペレットにされます。その後、糸をとる、紡ぐ、織るの工程を経て、毛布になります。しかし、再生ペレットから作られた化学繊維は直径が人の髪の毛のたった二十分の一しかありません。そのため、一マイクロメートル、すなわち一万分の一センチ以上の異物が混じると、すぐに切れてしまうのです。
 
紡織業界で働く慈済人の黄華徳さんはこう言います。「どうしてうまくいかなかったのかと言うと、原料が純粋ではなかったんです。ですから『エコ菩薩』に頼んで、キャップとリングを除いてもらいました」。細かなところに潜んでいた「犯人」を見つけ出した後は、環境ボランティアが次々に材質の違うプラスチックでできたキャップとリングを取り除いていきました。数万人が慈悲心を発揮して、人と地球を守るために努力したおかげで、ついに実業界のボランティアが難関を突破し、ペットボトルを再利用した毛布の大量生産を実現したのです。
 
「これはエコ菩薩、実業家ボランティアの心がこもった愛の毛布です。だから人々が手にした時、毛布に織り込まれた愛を感じるのです」。実業家ボランティアの李鼎銘さんは熱く語りました。
 

人助けの道具を常に準備

 
ペットボトルで作ったエコ毛布は「慈悲テクノロジー」の代表作だと言えます。災害支援に必要なのは毛布だけではありません。衣服や食糧、運搬用具、避難設備や救命設備などは、すべて平常時に準備しておく必要があります。災害発生後の劣悪な環境の中で救援を行うには、なおさら「手ぶら」では話になりません。
 
支援者と被支援者の切実なニーズを受け、たくさんの技術や専門知識を持つボランティアが「慈悲テクノロジー」の開発に取り組んでいます。これらの開発に携わる人は、数こそ多くないものの、工業技術研究院出身の博士、数十年間自動車修理に携わってきた職人、中小企業の「隠れた名匠」など、産・学・研の各界の専門家が揃っています。彼らは苦しんでいる人を助けたいという慈悲心を胸 に、機械を法器とし、工場や実験室を道場として、創造性とテクノロジーを発揮して、人助けの道具を生み出しているのです。
 
慈済ボランティアが既成の道具を使わずに、独自で開発する路線を採ったのは、一般の民生用製品の多くが、平穏な環境で生活しお金を払って利用する人々のために設計されたものだからです。それらは、水も電気もあり、修理業者もいる環境でスムーズに動くものであって、災害の現場で役立つとは限りません。
 
たとえば、市内の四車線道路に立っている大型の照明灯が、広範に明るく照らすことができるのは、市から大量の安定的な電気が供給されているからです。しかし、被災地や難民キャンプの多くは電力の供給がありません。送電線の側から離れられない照明灯では、現地で今照明を必要としている人の役には立たないのです。
 
そこで、災害支援用のソーラーライトを開発するメーカーは、小型で性能の良い照明を設計しました。一時間当たりの電力消費量をたった九ワットに抑えた一方、特殊に設計されたレンズを組み合わせると、六×十二メートルの範囲まで照らすことができます。
 
最も劣悪な、物資の欠乏した環境にいる人たちのために最善のものを、というのが慈悲テクノロジーの設計コンセプトです。人助けを出発点とし、簡単、実用的、修理要らずで、機動性が高く、自立して動くことを重視しています。プラスチック板とスチールパイプでできた仮設住宅も、クレーン車などの大型機械も必要なく、ボトルを締めるだけで建てられます。
 
二〇一三年の台風三十号(ハイエン台風)で被災したフィリピンでは、多くの被災世帯の目の前で「台湾の職人」が一度作って見せると、被災者はすぐに自分で自分の家を組み立てることができました。一人から十人に、十人から百人に、新しい「大愛村」にはあっという間に千戸もの家ができたのです。
 
また、静思精舎の法師が開発したインスタントのチャーハン、「香積飯」は、熱湯を入れて二十分待てば温かいご飯が出来上がります。これは、二○○九年に台湾南部を襲った台風八号(モラコット台風)による水害の後、広く用いられるようになったものです。泥沼のようになった屏東県林辺・佳冬地区で、地元住民の多くが被災後最初に口に入れた温かい食事は、慈済ボランティアが差し出した香積飯でした。中部や北部のボランティアが新幹線で南部へ支援に行く時に、お湯を入れた香積飯をバックパックに入れて持参すれば、食事の準備のために現地ボランティアの手を煩わせることはありません。
 

人としての尊厳を

 
二○○九年の台風八号(モラコット台風)から、二〇一五年の台風十三号(ソウデロア台風)、台湾南部大地震、トランスアジア航空墜落事故に至るまで、その救助活動においては、いずれも慈悲テクノロジーが力を発揮しました。これらの道具が役に立つ時、災害はもう起きてしまって取り返しがつきません。しかし、彼らボランティアたちが長時間黙々と働いたおかげで災害の傷が緩和され、復興が早まり、被災した人々も安心して、人としての尊厳を保つことができたのです。
 
これらの成果は、台湾社会が元々持っている善行を喜びとする伝統に根ざしているとともに、七、八○年代以降の産業の勃興とテクノロジーの進歩が製造と開発のエネルギーをもたらしたのです。代々伝わる愛と善念に近代テクノロジー産業の実力が加わり、人と大地を守る強大なエネルギーが生まれたのです。これらの成果は簡単に得られたものではなく、未来にも伝え、永遠に発展させていかなければなりません。
 
創意に満ちた開発秘話を良き手本として、テクノロジーの専門家、技術の達人たちが慈悲で世を救うためにその専門能力を発揮してくださることを期待しています。テクノロジーの研究・開発を志す青年たちが、これら達人による創造的な研究開発と、実践のストーリーを通じて、人道支援テクノロジーへの興味を持ち、自分の大願を成就し、衆生に利益をもたらす人になってほしいと願っています。
 
NO.250