慈濟傳播人文志業基金會
科学技術に人間性の輝きをプラスする
現代人は科学技術の発達によって利便性を享受していますが、科学技術はだんだんと人類の機能に取って代わりつつあります。アップル社CEOのクック氏は今年六月にマサチューセッツ工科大学の卒業式で講演した時、人工知能によってコンピューターが人間と同じように思考することには心配していないが、人類がコンピュータのようになって、人としての価値観や共感する心に欠けるようになることが心配だと話しました。
 
彼が心配するのには訳があります。「水は船を浮かべることも転覆させることもできる」と言われるように、科学技術の発明は人類の生存能力を高めると共に、労力の節約やより緻密な文明を創出することを可能にしました。しかし、他方では、人類が科学技術に頼り過ぎるあまり、科学技術に支配され、それを操作する道具になってしまう状況も生みました。科学技術はすでにあらゆる所に入り込み、個人のプライバシーと安全を脅かしています。
 
科学技術は人間性を高めるためにあるべきです。クック氏は「科学技術が間違った方向に進んだ時、人間性が道を照らす灯となる」と指摘しました。本誌今号は科学技術の人文価値をテーマに報道しています。
 
二○○三年、後方災害支援に当たる、実業家ボランティアによる慈済人道援助会が結成されました。彼らは物資を調達するだけでなく、工学研究院などの専門機関と協力して、災害現場で起こる様々な問題を、科学技術を通して解決するチームです。
          
キッチンカーがその一例です。一九九九年に台湾中部大地震が発生した時、慈済ボランティアは被災地で炊き出しを行うため、プロパンガスを現地に運び込みました。炊き出しの現場は愛に満ちていましたが、混乱した被災地ではガス管が入り乱れ、危険でした。この時の経験により、機動性の高い移動式厨房―キッチンカーが開発されました。その後、たゆみない改良を経て、昨年初めに台湾南部大地震が起こった際、安全で迅速な炊き出しを行うことができました。
 
二○一一年、タイで発生した百年来の水害で国土の三分の二が冠水し、五カ月が過ぎても多くの地域は水に浸かったままでした。当時、慈済は大型浄水設備を開発済でしたが、使用上の制限が多く、タイでは効果が発揮できなかったため、慈済人道援助会は浄水設備の改良に力を注ぎました。
 
四年後、台風十三号によって台北市の水道水が汚染されました。水源地に近い烏来の被災地で断水が発生した時、慈済は迅速に改良された浄水設備を立ち上げ、六千人分の浄水を供給しました。
 
そのほか、災害支援の必要性に応じて開発された科学技術は数多くあります。土砂が流れ出た被災地など、どんな地形であっても、物資の運搬ができる作業車や、座ることも横になることもできて、収納が簡単な折り畳み式ベッドの福慧ベッドなどがあります。回収したペットボトルで再製した毛布も、これまでに数十万枚が国内外の被災者の手に届けられています。
 
慈済人道援助会の組織運営はすでに軌道に乗っています。緊急災害支援ボランティアは定期的に操作方法の訓練を受け、支援活動がより迅速かつ効果的に行われるよう日頃から努めています。科学技術は人間性があるから、温かな輝きを放っているのです。こうして初めて科学技術は正しい価値を発揮することができるのです。            
(慈済月刊六〇八期より)
 
NO.250