慈濟傳播人文志業基金會
童心に返る
二人の年長者が机に向かってハンカチに絵を描いていた。
絵を描くことは数十年ぶりのことだっただろう。
毎月一回の慈済配付活動で用意された心のこもった企画に、
ケア対象者は新しい生活の喜びを肌で感じていた。
 
慈済台南静思堂では毎月旧暦の二十八日に長期ケアの対象家庭に生活補助金を配付している。四月の配付日に、ボランティアはケア対象者の皆さんに絵を描いてもらう特別企画を用意した。絵を描くことで、童心に返ってほしいと思ったのである。
 
皆さんの手元に白いハンカチ一枚と筆、そして参考用に山水画の手本も添えてある。描いた作品は皆それぞれ違っていたが、どれも創意に富んだ作品で、まるで芸術作品の展覧会のようだ。皆は大喜びでボランティアと写真を撮っていた。
 
七十歳を過ぎた黄おじいさんは、描いた作品を満面の笑顔で見せてくれた。「私が絵の具を手にしたのは六十年ぶりでした。孫が慈済の奨学金を受け取るのに同行して、ここへ来た時が初めてでした。それから毎月の配付日に、住んでいる新化からバスに乗り、台南でまた乗り換えて静思堂に来ています。ボランティアはとても親切で、習い事もたくさんある。その上、證厳法師のお諭しを聞くこともできるので、いつも楽しみにしています」と話した。
 
 
絵を描くだけでなく、散髪の奉仕や生活衛生の講習会も行った。慈済人医会(慈済の医療ボランティアチーム)の漢方医の湯燕雪医師も薬剤師を連れて施療に来た。診察を受けた人の中には、いくつもの病気を抱える人も多くいた。ある人は、身体の循環器官に問題があり、食生活も偏っていたため、日常生活に支障が出てきていた。ある人は骨の老化、ある人は消化器官の不調を訴えた。湯医師は望(患者の顔を観察する)、聞(患者の話をじっくり聴く)、問(相手に病状を問う)、切(脈を読む)と順を追って診察した後、薬を処方する。また、筋肉や経絡などに異常がある患者には、丁寧に灸や鍼によって苦痛を緩和させる。
 
ボランティアも、足のケア方法を実演して教え、自分で保養することが大切だと皆を励ました。年をとっても自分の足で歩きたいものだ。台南市北区からやって来た歐さんは、膝を保護する方法を習得したようだ。姿勢が正しいかどうかをボランティアに確認してもらった。ボランティアの葉淑玲は、「今日の配付のため、歐さんと呉さんを出迎えに行きました。歐さんは二度も脳卒中を起こしたので、動作が鈍くなり、言葉や精神の働きに障害が生じましたが、心の優しい方です。『もっと人を助けたい』と今日も竹筒貯金箱を二本持ってきたのですよ」と歐さんを褒めたたえた。
 
●林進財薬剤師(右から2人目)が、漢方医の処方に基づいた漢方薬をケア家庭に手渡しながら、「お大事に」と祝福する。
 
歐さんの息子はまだ中学生である。賢く成績もよいので、父親は安心して環境保全センターでボランティア活動に参加することができた。「慈済の援助が我が家に希望をもたらしたのです。心から感謝しています」と歐さんはお礼を述べた。
 
帰仁区の戴さんは寄付をしようと竹筒貯金箱を持って来た。「僕は独り住まいで家族がいません。日ごろ資源回収をして生計を立てています。家に帰り、一元(約三円)や五元の硬貨があったら竹筒に入れています。以前、證厳法師が病院を建てる時の資金も、心ある人々が竹筒に小銭をためて作ったと聞いています。昔、僕は台北で商売をしていたころ、たくさんお金を儲けました。ですが、愚かにも遊び仲間と酒や色事に溺れたり、選挙に出馬したりして、お金をつぎ込みました。結局は落選で終わり、お金もなくなり、住んでいた家も手離さなくてはならなかったので一家離散となりました」と戴さんは自分の過去を語った。
 
浪人になった戴さんは、基隆で慈済のボランティアに出会って慈済の長期ケアを受けることになった。それから故郷の帰仁に帰ってきてからは、地域ボランティアが引き続きケアをしていた。「この間ずっと雨だったので資源回収に行けませんでした。少ないですが、できるだけ貯めた寄付金です」と戴さんは竹筒を差し出しながら言った。
 
活動の終了前に、ボランティアは皆に菜食の弁当を配ったり、生活補助金の受け取りを手伝ったりしていた。慈済基金会のソーシャルワーカーの翁綉雅は、「当日、近隣地域のケア対象家庭二十世帯が受け取りに来ました。また六世帯のホームケア家庭が配付活動に参加するためやって来ました。そのほか、遠方のケア対象者や身体が不自由な方には、ボランティアが補助金を自宅まで届けに行きます」と説明した。
 
現在、台南ではおよそ三百八十世帯が長期的に慈済の経済補助を受けている。そのほか四百八十世帯のホームケア家庭については、各地域のボランティアが毎月家庭訪問を行い、生活状況を理解する。支援のニーズを常に把握し、生活物資や急難補助や学費などの支援を心がけているのだ。             
(慈済月刊六〇六期より)
 
NO.251