慈濟傳播人文志業基金會
銀髪の宝を抱きしめる(下)

仕事に出かけられるのは

平穏な証拠

 
劉新金さんが五日間続けて欠席しました。謝素珍さんはバスの中で彼と偶然に会いました。病院へ長期処方の薬をもらいにいくところでした。
 
謝素珍さんが耳の側で指を折り、何日から姿を見なくなったのかと数え、心配で彼の自宅まで訪ねたことを伝え、「もう十日間休んだのよ」と悪戯っぽく言いました。「そんなことはない」と劉新金さんは微笑を顔に浮かべ、自分が他人に必要とされていることを感じた。翌日から毎日時間通りに現れ、午後五時まで忙しく働いてから帰るようになりました。
 
●環境保全ステーションでの仕事は忙しく、謝素珍さん(左)はひっきりなしに電話を受け、双和地区の各回収ステーションの物資の運搬状況を把握しています。
 

オーダーメードのケア

 
謝素珍さんは以前テーラーの仕事をしていたとき、いつも客の要求に応じて服を直していました。客が口に出さなくても、彼女のテーラーとしての鋭い勘で、客のためにできるだけのことを考え、細かい所まで仕上げていました。
 
この優しさは、環境保全ボランティアとの交流においても現れています。「自分の父や母に接するのと一緒です」と大勢のお年寄りにはいつも笑顔で接しています。
 
しかし、年を取ると人間は心身の機能が衰えてゆき、日常生活のリズムや情緒、人との交流などに変化が生じ、環境になれず不安感を抱いてしまうこともあるのです。
 
ボランティアのケアチームは人数が多いお年寄りたちのケアでかなり苦労をしました。血圧を測る医療ボランティアの張敏如さんによると、家庭や仕事で忙しい子供たちがもうすぐ老年に入る自分に関心を寄せて来ると、何日間か楽しくなるのです。同様にテンポが速く、人間関係が疎遠している都会では、お年寄り達はいつもいっぱいの関心を期待しているのです。
 
謝素珍さんによると、多くのお年寄りは十年以上リサイクル活動を続けており、お互いに知り合い、思いやる感情も生まれているため、「愛の貯金」は十分にあり、お互いに暗黙の了解ができ上がっているのです。新しいお年寄りが入ってくると、彼女はいつも自らその人をそれぞれの区域で最も経験豊富で長く関わっているお年寄りに付き添いを頼みます。「皆さん、新しく来た菩薩の面倒を見てください。ここに来て良かったと思えるように」と彼女は言います。
 
たまに認知障害のあるお年寄りが家族の同伴でやってくる場合もあり、謝素珍さんはいつも忍耐強く笑顔で家族に説明します。環境保全ステーションではテンポが速く忙しいため、ボランティアの世話が行き届かないこともあるから、家族も一緒に来て「一緒に彼を愛しましょう」と伝えています。
 
毎日現場で走り回る謝素珍さんの背後には、もう一組のボランティアケアチームがいます。環境保全活動の幹事を務める林秀綢さんは、季節の変わり目になると、お年寄り達は体の不調を訴えることがよくあるので、ケアチームがその家を訪ね、とくに独居のお年寄りには生活上の支援が必要かどうかを訊ねるようにしている、と言いました。
 
●謝素珍さんは息子さんを連れてリサイクル活動をしています。息子さんは徐々に心を開いてゆきました。彼女も息子を世話する母親から、環境保全ステーション全体を世話する窓口の責任者となりました。

隣人をケアする

 
三年前から、ボランティアグループは毎週水曜日の午後に勉強会を開いて仏教経典の勉強を始めました。この日、四十人あまりのお年寄りが講師の羅恆源さんと因縁果報についてディスカッションしました。終わりに、羅恆源さんが皆さんに感想をお願いしたところ、七十六歳の戴おばあちゃんがマイクをにぎり、時間をかけて、今まであまり人に話したことのない臨死体験を話してくれました。
 
一貫道を信仰している彼女は仏堂で礼拝していた時にショック状態を起こし、病院の救急外来に運ばれました。昏睡状態だった時、かすかに仏様を見たような気がしました。
 
戴おばあちゃんの体験談が共鳴を呼び、参加者がささやき始めました。そこまで話を聞けばもう、未知の将来を怖がることはないのです。
 
羅恆源さんは幼い頃から田舎の農村に住み、お年寄りとコミュニケーションを取ることはごく普通のことでした。農村で信仰されていた宗教はほとんどが仏教と道教が入り交じった民間宗教でしたが、大自然に畏敬の念を抱き、因縁果報を信じていました。羅恆源さんは仏法の教えをお年寄りたち年長者が受け入れられる話に変えて話すのが上手です。
 
ケアグループにとって、勉強会は意外な面をもたらしました。お年寄りが自分の心情や悩みを打ち明ける時、ボランティアは皆耳を傾けて聞き、必要に応じて、適時に彼らが必要としているケアや援助に手を差し伸べています。皆その地区の慈済委員で、いつもお互いに気づいた異常や、適切なケアの仕方を話し合い、適時に補い合って、ケアのネットワークを形成し、シルバー世代のボランティア達を大切に見守っています。
 
●謝素珍さんはシルバーボランティアを訪ねる前に、お年寄りが喜ぶ何種類かの果物を選びました。お年寄りはよく心身の不調を訴えるため、不定期に見舞っています。

万全なネットワークを織り成す

 
高齢化を研究し、同時に長期介護拠点の評価委員を担当していた慈済大学の謝穎慧助教授は、年長者の長期介護は地域の組織に頼らなければならないと言っています。その理由としては、地域のメンバーはお互いによく知っているため、共通認識や暗黙の了解を培いやすいほか、年長者一人ひとりの生活習慣と人間関係を熟知しているからといいます。「彼らは地元の人との付き合いが多いとも限らず、地域での奉仕は長く続けなければなりません」と話しています。
 
そして、謝穎慧さんは、長者達はボランティアの奉仕活動を通じて、家から外に出て社会に参加すれば、人間関係のネットワークと連携しやすくなると言いました。お年寄りが何日も現れなかったら、ほかの地域メンバーがすぐ連絡を取って関心を寄せます。体調が悪かったり、一人で対応できなくなる危険性を減らすことができ、「お年寄りが社会のネットワークから外れ、ケアされないのを防ぐことができます」と話しています。
 
●謝素珍の来訪に環境保全ボランティアは喜び、生活上の細々としたことを話し始めました。
 
ケアグループは癌で亡くなった張おばあちゃんのことをふり返ってみました。普段は一人で住んでいましたが、病気してからは息子さんが食事を持って来ていました。引退するまで会社の管理職をしていたせいか、張おばあちゃんは男勝りで、張おばあちゃんと同じ分類ゾーンで隣に座っていた許おばあちゃんは、毎朝張おばあちゃんのためにお茶を用意しました。「張おばあちゃんはほとんど人とも話をしないので、特別に彼女の面倒を見て一人ぼっちにさせないようにしました」と話してくれました。
 
ある日、ボランティアの呉燕雪さんがリサイクルステーションに行く途中、道端で休憩していた張おばあちゃんに会いました。暖かい日差しの中で張おばあちゃんの白い髪が光っていました。呉燕雪さんはしばらく彼女と一緒に座っていました。それから彼女が起き上がるのを補助した後、続けてゆっくりとリサイクルステーションへ向いました。
 
「張おばあちゃんがこの人生で一番好きなことは、おしゃれをすることでした。たとえ病気になっても、毎日やはりきれいにしていました」と紀換さんが言いました。ボランティア達が病院へ彼女をお見舞いに行ったとき、張おばあちゃんは意識がはっきりしていましたが、何となく自分の人生の終りが近づいていることを知っているようでした。
 
ボランティア達は彼女に付添って念仏を唱えました。三十分が過ぎて皆が帰る前、張おばあちゃんがすでに微笑みを浮かべて、穏やかにこの世を去っていたことを、誰も知りませんでした。
(慈済月刊六〇七期より)
NO.257