慈濟傳播人文志業基金會
エコ産業で生活の安定を図る
プラスチックをエコ毛布に     
 
十年前、四川大地震の被災者は慈済が贈呈したエコ毛布で
地震後初冬の寒さをしのいだ。
その温かさが残っている現在、
彼らは今度は自分の手でエコ毛布をつくり、
さらに多くの故郷の人々に贈っている。
 
二〇〇八年、四川大地震が発生した三日目、慈済ボランティアは被害状況を視察するために四川に到着した。被害が甚大な綿竹市、什邡市に行き、被災者の「身の安全、心の安静、生活の安定」(「三安」原則) を守るために、炊き出しをしたり、無料診療を行った。成都市から七十キロを離れた什邡市は十年前の四川大地震でもっともダメージを受けた場所であり、一連の救助活動の中で慈済ボランティアがもっとも力を入れた場所でもあった。
 
●エコ毛布の生地を裁断する成都大愛感恩環保科技社の職員
 
慈済ボランティアが「三安」原則の「生活の安定」を果たせるように、二〇一〇年十月から人文教養、環境保全、資源の回収とリサイクルを一体化した什邡大愛感恩環保科技有限会社が設立された。この会社は営利目的ではなく、資源の回収、リサイクルのノウハウと慈済が世界中に後押ししている環境保全の経験をここに結集し、環境保全教育を押し広げることを目的として設立された。
 
従業員の多くは地元什邡市か近くの德陽市の住民だ。彼らは出稼ぎをしなくてもよくなったので、家族の面倒を見、親孝行をし、子供の成長に寄り添う時間が多く作れたと同時に、環境問題をさらに理解し勉強することできた。
 

故郷に戻り、生活を

 
什邡大愛感恩環保科技有限会社に勤務している人達の大半が、ここに就職する前には出稼ぎをしていたと人事部の閆鵬が言った。冉秀雲もその一人だった。彼女は以前、成都と什邡で仕事を掛け持ちしていたため、家には週に一回しか帰れなかった。
 
「今の職場は家から近いので、私は毎日退社後の時間を家族と一緒に過ごせるようになりました」。両親はだんだん年をとり、子供が成長している。冉秀雲は彼らと一緒にいる時間は大切で、幸せだと思っている。「両親といられる時間も、子供が私を必要とする時間も、限られています。この限られた時間に家族といられることを、とてもありがたく思っています」
 
当初は単純に家に近い職場を探そうと思っていた。大愛感恩環保科技社が地震後にできて、善事をしていることを知り、就職した。いざ入社してみたら、いろいろな収穫があった。彼女がとくに感銘を受けたのは、「都市のマイニング資源」という社内運動に参加し、廃棄した電子、電気部品を回収して分解処理することだった。
 
「私達が日常生活の消耗品を雑に処理することが環境にどれだけ大きなダメージを与えているかということを教わりました。環境保全のような先進的な産業に参加できたことはいい因縁だと思っています。使い古した電子製品の回収とリサイクルが、鉱石の採掘を減することにつながります。さらに大事なのは消費の観念を変え、ひたすら最新式の電子製品を追わないように周りの人々にも知らせるべきだと思い始めました」
 
●環境保全ボランティアは成都の金堂環境保全ステーションに集まり、プラスチックの分類を手伝っている。四川大地震の後、慈済は救援を最優先にした。その後は、環境保全を後押しし、住民達は少しずつ地震の影に別れを告げ、新たな生活の重心を見つけた。
 
 
学んだら実行に移すべき。秀雲は環境保全の考えを家でも実践している。「以前は環境問題について何も知りませんでした。自分と他人が作ったゴミが大気と水源にダメージを与えていることを知ってからは、無駄な買い物を少なくしたり、ゴミをきちんと分類したりすることなど、私ができることを率先的に始めました」
 
企業経営に人文教養を組み入れ、従業員の技術と専門知識だけではなく、個人の教養をも向上させた。入社七年目、冉秀雲は成長した。その変化は家族の目にも映っている。「私が大愛で働くことを家族は応援してくれています。私の性格もよくなりました。家族に自ら謝る勇気を持てるようになり、家中の雰囲気も穏やかになりました」
 
大愛で働いた七年間を振り返ってみると、彼女は「物質的な生活のためだったらよそで働いた方が良いと思いますが、精神的な生活のためにいえばここよりいい職場はありません」と話した。
 

回収、リサイクル

 
二〇一八年三月まで、什邡大愛感恩環保科技有限会社を訪問した人は六万人を超えている。使い古した物資がどのように処理されるのか、人々はこれらの問題にあまり関心を持っていなかった。ここで理解したことは、ゴミを勝手に捨ててはいけないことのほか、日々の生活から出たゴミの分類、資源回収を徹底すれば、自分の力でも地球環境を守れるということだった。
 
成都大愛感恩環保科技は二〇一七年、本格的な生産を開始した。プラスチックのリサイクルに力を入れ、回収したペットボトルを原料にエコ毛布の生地を生産している。二〇一七年の冬、慈済が中国各地で配付した毛布の大半は、成都大愛感恩環保科技社が生産した。この年、同社はエコ毛布を二万枚以上生産した。
 
●慈済は冬の救助物質の配付活動を中国各地で続々と展開した。防寒のためのエコ毛布は必需品で、四川成都大愛感恩環保科技社が急ピッチで生産している。(撮影・辺静)
 
成都市金堂県の冬季配付活動の当日、成都大愛の全職員が参加した。「筋肉痛で全身が痛かったけれど、故郷の人々の笑顔が見られるだけで幸せでした」と、職員の饒雪さんは語る。配付の時に目にする人々の幸せそうな笑顔、家庭訪問ケア中に出合った感動的な出来事など、十分な収穫が得られたと思っている。
 

感動が響き回る

 
成都大愛感恩環保科技社の本社は成都市金堂県淮口鎮に位置しており、リサイクル活動を地域社会に広げるために、多くの環境保全ボランティアを集めた。最年長のボランティアは八十六歳になった葉秀春おばあちゃんだ。資源回収はいいことだと聞くや、毎日買い物袋を持って、路上や市場に捨てられた資源を回収し回っている。
 
「あなたはキリスト教徒なのに、どうして仏教徒と一緒に環境保全の活動をするの」とおばあちゃんに聞いた人がいた。「私がキリストを信じるのは、彼が人々を自分の子供のように愛しているからですよ。キリストか仏教かは関係なく、大事なのは優しい心を持つことと、人に優しくすることなのです」とおばあちゃんは思っているとおりに答えた。
 
●86歳になった葉秀春は敬虔なキリスト教徒で、人を愛し、大地を愛している。金堂県淮口鎮の道端で、マージャンをしている人々の間を縫うように歩き、リサイクルのできる物資を拾い集めている。
 
店員の曽さんはおばあちゃんが取りにくる前に、リサイクルできそうな物資を箱詰めして、準備している。「社会のためになることをするのは、私達にも責任がありますから」
 
会社はそこで働いている人間にとって、家を除いて日々一番長く過ごしている場所だ。会社が家のような居心地のいい場所になれば、従業員たちは楽しく働けるだけではなく、その家族も安心してそこで働かせることができる。また、最大の成果は地域の住民たちにやる気を起こさせて、皆で住居環境を守るということだ。
(慈済月刊六一八期より)
NO.259