慈濟傳播人文志業基金會
ドリンクにひそむ危険
台湾*シェイクティーの世界
 
炎天の夏、若者は皆、カップを手に暑さをしのごうと冷たい飲み物を飲んでいる。ティーと言っても、「茶」と「ドリンク」の境目は日増しに分からなくなってきている。現代風のシェイクティーはれっきとした糖分を含んだドリンクで、過度の糖分は体の負担になるほか、茶葉の安全問題も気になるところだ。良い加減を心がけたいものである。
 
*シェイクティーはシェイクすることで
 泡立ったお茶になる飲み物である。
 
学力テストの前、自習する学生は疲れた様子でうずたかく積まれた教科書に埋もれている。青白い蛍光灯の下で、何と誰もがシェイクティーを飲んでいた。
 
国民健康署の調査によると、九十五パーセントの中学生は毎日一杯以上のシェイクドリンクを飲んでおり、一日に二杯飲む人の比率もかなり高く、全体の五十五パーセントに達している。
 
フライドチキンとタピオカミルクティーは、台湾の中学生や高校生が勉強のストレスを和らげるための定番の組合せとなっている。しかし、そういう食習慣が長く続けば、若者の健康にどういう影響を与えるだろうか?
 

甘い罠

 
台湾のタピオカミルクティーはドイツでも人気になり、二〇一〇年の夏、売り上げが頂点に達した。しかし、その頃、ドイツ連邦議会の議員がその新しいドリンクに疑問を呈した。タピオカが幼い子供の喉につまることや過度の糖分による国民健康への悪影響、カップの廃棄問題などを憂慮し、政府にドリンクの危険性を調査するよう呼びかけた。
 
●オーダーする頻度と方法を加減すれば、多種多様なシェイクドリンクも健康的に飲むことができる。
 
現代栄養学の研究に基づけば、文明病の二大要因は脂肪と糖分である。シェイクティーは「ティー(茶)」の名を冠していても、砂糖とミルク、添加物、果汁などが入ったドリンクで、正確に定義すれば「糖分入りドリンク」を主体にしたシェイクドリンクとすべきである。ドリンクチェーン店で販売している七百ミリリットルの特大タピオカミルクティーを例にとれば、平均五百五十キロカロリーで、一杯に含まれる糖分は角砂糖二十三個分に相当する。
 
人類の砂糖摂取量は百年前に比べて十倍以上になっている。喉の乾きを潤す甘いドリンクは文明進歩の幸福を象徴するが、健康をないがしろにしやすいとの心配もある。
 
甘い物を食べる習慣は、近年の健康意識の高まりで少しずつ改善され、シェイクドリンク店ではよく「砂糖半減」、「砂糖少なめ」、「微糖」果ては「砂糖なし」とオーダーする声が聞かれ、フレッシュに含まれるトランス脂肪酸を気にして、フレッシュよりもミルクを選ぶようになっている。
 
しかし、董氏基金会がシェイクドリンク店で実地調査した結果によると、ほとんどの糖分半減ドリンクは砂糖を二十~三十パーセント減らしているだけで、中には「糖分半減」と謳っていながらふつうの商品とほぼ同じ甘さだったものもある。
 
●シェイクドリンクの甘い味は人にある種の幸福感をもたらす。子供への褒美として与えているが、長期的に飲み続けた時の健康への影響が懸念される。
 
「好食課」の創設者である栄養士の林世航によると、二〇一一年に起きた可塑剤事件や二〇一三年の劣悪澱粉事件で、シェイクドリンクの安全性が問題になった反面、逆にシェイクドリンクの健康的な飲み方を疎かにしてしまった。発育途上の子供が毎日嬉しそうに一杯飲んでいるが、潜在的に彼らの発育に影響している。成長ホルモンが抑制されるのだ。また、糖分の多いドリンクを多く飲めば、肥満や高血糖の危険性があり、果糖を多く含んだコーンシロップは高脂血症の原因になり、脂肪肝や二次性糖尿病の発病を早めることになる。
 

糖の進化と変身

 
「医者が一番、かき氷が二番」。方圓かき氷店は商売繁盛である。
 
台南という全台湾で唯一お茶を産出しない町に入ると、逆に全台湾で最も多くのティー・ラテの店があるのに気づく。有名な「五十嵐」や「清心福全」、「茶的魔手」、「布萊恩」などのフランチャイズチェーン店があるが、全て台南から始まっていて、独自ブランドを作り上げ、ここ数年増え続けている。
 
大型フランチャイズのシステムとは異なり、独自ブランドの茶店はアイデアと理想を発揮して、台湾のシェイクドリンクに新しい風を吹き込んだ。
 
●最も初期のシェイクティーは簡単なビニール袋に入れたもので、やがて発泡スチロールやプラスチックのカップ、紙コップに変わった。今、台湾で消費されるテイクアウト飲料は年間約15億カップにもなる。
 
「初衷台灣茶旅」という台南帰仁地区にあるシェイクドリンク店は、シンプルな内装設計になっている。茶の種類は多いとは言えないが、清茶が主な飲料で、全てのお茶に産地名が書かれてある。
 
「紅茶はあまり台湾のものが使えないのはコストが高過ぎるからです。南投のアッサムだけは使いますが、ほかは全部、スリランカから輸入したものです」とオーナーの歐睿駿が言った。茶を買いに来る人はほとんどが顔見知りの馴染み客で、茶の香が濃いものを要求するだけでなく、品質にうるさい。
 
シェイクドリンク店では、一般的に甘さとミルク味が最も客を惹きつける味である。彼は自慢げにその店の看板メニューである「金萱小青」というドリンクを紹介してくれた。
 
「ミルクの香りがしませんか? 取り立ての金萱(ワスレグサ)にミルクのような香りがするのですよ。この香りに砂糖を加えると、果物の香りがします。そして、甘さ加減によって味が変わります」。「普通の茶店では砂糖を入れても甘さが違って来るだけで、このような変化は滅多に味わえません」
 
乙女座の歐睿駿はシェイクドリンクに対して独自の主張があり、水は逆浸透(RO)多重濾過した物を使用し、急速冷凍機と自動製氷機を揃え、頑に黒氷砂糖を手作業で煮詰めている。
 
手作業で煮詰める作業は同じことの繰り返しだ。弱火で非常に長い時間をかけて煮詰めるが、絶えず撹拌しなければならないと共に、一滴の水も加えてはならない。さもなければ、努力は水泡と帰す。結晶防止に安定剤を入れる人もいる。
 
●コンビニもタピオカミルクティーを販売するようになり、その裏に隠された商機が人目を惹きつけている。
 
砂糖、氷砂糖、黒砂糖、サトウキビ糖、果糖、シロップなど、シェイクドリンクの甘さを出すには決まった方法があるわけでなく様々である。コスト削減と製造過程の簡素化を考えると、高濃度果糖シロップが一番である。それはチェーン店にとって利益を生む助っ人であり、入れる割合を調整すれば、砂糖と同じような味が出るが、コーンとキャッサバの根の澱粉からできた果糖は正に高血糖、脂肪肝の元凶である。
 
歐睿駿はかつてフランチャイズドリンク店に加盟していたが、独立して自分のブランドを作ることにした。しかし、シェイクドリンクを健康飲料にする理想は現実的ではないのでは? 資金繰りがきつくなり、八カ月後には閉店してしまった。シェイクドリンクの質を落とさなかったことは、ティードリンク業界での熾烈な競争の中、唯一甘い記憶として残った。
 

シェイクドリンクの茶の味

 
若者が愛好するだけでなく、大人も好んで飲む。食品工業研究所の王素梅は、若い同僚は格別にシェイクドリンクが好きで、昼食後はほとんどの人のデスクに置いてある。それは自分への「ご褒美」なのかもしれないが、その場でドリンクを作り、客の要求によって氷の量や甘さを調整でき、果ては自由に配合を変えられるのが、若年層を惹きつける要因の一つかもしれない。
 
台湾区飲料工業同業組合の統計によると、台湾では週に一杯以上飲む人で、その場で調合してもらう人の比率は七十九・四パーセントに達する。
 
●コンビニもタピオカミルクティーを販売するようになり、その裏に隠された商機が人目を惹きつけている。
 
茶という名がついていても、一杯のシェイクドリンクに占める茶葉のコストは三分の一から十分の一と様々である。これが経営の実体で、奥は深い。
 
近年、シェイクドリンクが商品化の道を歩み、ますます様々なドリンクが出現し、お茶とかけ離れていく。多くは茶が主体ではなく、新しいアイデアが増える中、新しい味が好まれ、話題の焦点になる。
 
「台南公館手作」という店のオーナー、金沁朔は創業当初、自分の店をお茶専門店のカテゴリーに入れていたが、客の要求によって少量のミルクを使ったミルクティーやタピオカ入りのメニューを付け加えるようになった。彼は店にある全ての茶葉は、自ら台湾各地から買いつけていることを誇りにしており、「全ての茶葉は単一品種の原茶で、最も原種の味を持っているのですが、他の茶葉とミックスする割合によって異なったレベルのものになり、香と味、甘さを引き出すことができるのです」と説明する。
 
食品業界は良心に基づいた商売であるべきで、お茶を好み、深く理解して初めて売れるのだ、と彼は思っている。「良質のお茶をお客さんに飲んでもらえれば、自ずと劣悪なお茶は飲めなくなるのです」
 
●台湾で初めてのシェイクティーショップ「双全紅茶」。
 
フランチャイズ茶店は百社以上あり、茶店の数は一万軒ほどもある。経済部の統計によれば、台湾で一年間に販売されるシェイクドリンクは一億二千万杯にもなり、国民一人当たり一年に四十四杯飲んでいる計算になる。
 
一般的にシェイクドリンクに対する認識としては、早くて便利で安く、若年層の消費者が甘さ、喉ごしの良さ、冷たさを求め、とくに注文をつけることもない。「彼らは流行を追い、見た目が味の良さに勝るのです」とあるシェイクドリンク店の人が話してくれた。
 
しかし、実際は全部がそうとも限らない。開業して三年あまりになる「瑪黒家紅茶」店ではミルクティーとセイロンウバティーが息の長い人気商品で、若者と中高年の客ではお茶に対する要望が異なるとオーナーの陳榮獅は言う。彼は鼻と喉を指しながら、「若者は比較的、香を重視し、お茶を呑み込んだ後、鼻からその香を感じ取り、とても美味しいと感じます。一方、お茶に長く馴染んできた人は一杯のお茶を喉元から吟味します」と話す。
 
経済部統計処の資料によれば、二〇一六年、台湾全土の茶店による総売上は四百九十一億元で、すぐにでも五百億元を突破するだろう、と書いている。今年四月、ファミリーマートとセブンイレブンが火をつけて、コンビニエンスストアでもタピオカミルクティーを販売するようになり、この巨大なティードリンク市場に参入した。
 
●桃園のある輸入商の工場にはインドネシアとスリランカ、ベトナムから輸入された紅茶やコーヒーがうずたかく積み上げられてあった。輸入にしろ輸出にしろ、飲料茶はもはや無視できない市場になっている。
 
台湾産のお茶は年間一万五千トンしか生産されず、輸入ものが三万トンに達している。現況下では台湾産の茶が不足していて、台湾人が飲むお茶の三分の二が輸入もので、その七割がベトナム産である。大量の輸入茶は国内で低品質茶の市場に供給されている。(参照:雑誌《経典》一六五期〈ベトナム茶?台湾茶?〉)
 

食の安全問題、

海外生産と輸入品

 
父親の代から南投県松柏嶺で茶の栽培をしてきた蔡宗南によると、台湾政府の第一回目の南進政策が始まる前の一九八一年、すでに台湾商人は茶の苗をベトナムに持ち込んでいた。台湾茶は外国で発展し始め、輸出が落ち込む一方、内需が伸びていた。「その原因の一つが、当時、政府が千五百メートル以上の高地での茶の栽培を禁じるらしい、という先輩たちの話を聞いたことにあるのです」と彼が説明した。
茶葉の輸入は歴史の偶然でもあり、必然でもあった。
 
二〇一五年に残量農薬が安全基準を超えた輸入茶葉が横行している問題が発覚し、台湾のお茶市場に大きな打撃を与えた。シェイクドリンクが大打撃を受けたほか、高級茶である特種茶も大きな被害を蒙った。
 
お茶の安全問題が起きると、とくに有機茶の生産者に影響が出る。坪林でお茶の生産をしている余三和によると、オーダーの電話は鳴り止まないが、台湾茶の生産農家の収入が増えるとは限らないと彼は見ている。というのも、普通にお茶を好む人は自分が飲んでいるお茶は大丈夫だろうかと心配になり出し、躊躇するようになる。「そこで、もし、お茶の値段が割高であれば、しばらくお茶を買わなくなるでしょう。というのも、お茶はあくまで嗜好品であり、生活必需品ではないからです」。
 
●赤土に新たに植えられた金萱茶の苗。(写真右)
●輸入茶に対する慎重さと恐怖は間接的に国内の茶畑の復興につながった。政府の茶畑復興政策に従い、桃園の50年近くも荒廃したままだったある農地が新たに茶畑として蘇った。桃園市は茶畑を200ヘクタール増やす計画である(写真左・李柏毅撮影)。
 
これは根拠のない話ではない。農政統計によれば、二〇一五年に一人当たり一・七キロ消費していたお茶が、その翌年には二百六十グラムに激減している。
 
製茶組合の范德光総幹事によると、台湾ではいつも輸入茶が攻撃の的になる。「茶葉が輸入されなければ、台湾茶の市場は良くなると思っているのです」。熟知しているがゆえに逆効果になり、否定的なニュースが頻繁に出るようになった。彼が海外の展示会に台湾茶を出品した時、展示ブースで「そのお茶には農薬が入っていますか?」と何度も聞かれた。
 
すべては輸入茶が起こした問題なのだろうか? どうしてそこまで輸入茶を悪者扱いして輸入を止めようとするのか?(参照:《経典》二〇三期〈輸入茶葉ブレンド疑惑〉)食の安全の心配以外に農家を護ろうとする本土意識には、あまり語られない台湾茶の産業構造の問題が潜んでいる。
 
数多くの来訪者は私にこっそりとこう打ち明けた。「問題は輸入茶にあるのではなく、検討すべきなのは政府の水際での検査が厳格かどうか、農業政策が茶農家の販売を支援しているかどうかです」と。台湾茶の販売は一般的に言われるように供給が需要に追いつかないわけではなく、販売経路に大きな問題があるのだ。
 
●ドローンを使って農薬と肥料の自動散布をしている。10キロの液体を積載し、1回に20分間飛行することができる。
 
輸入茶が主に飲料茶(紅茶や緑茶)に使われていても、少数の悪徳商人がブレンドして消費者を騙し、台湾特有の茶市場を奪っている。それによって大衆は輸入茶に対し悪い印象を持っている。石碇のある茶農家は、「怠け者の茶農家は生産量が非常に少ないか、全く生産していなくても、輸入茶をブレンドして台湾茶と称して売っています。これは不公平な競争です」と言った。
 
政府にその気があるなら、解決策が見つからないはずはない。農政部門が生産面積から正常な生産量を割り出せば、すぐに違法なブレンドが分かるのではないだろうか? 先月、ベトナム茶を台湾の高級ウーロン茶銘柄である「凍頂ウーロン茶」と称し、品評会で賞を獲得した。検挙されたのは新しく開発された「茶葉無機元素分析技術」によってであった。マイナスのニュースが何度も報道される中、一番心配なことは、台湾茶市場に対する信頼を損ねてしまうことである。
 
●乗用型の大型茶葉採取機が新竹一処茶畑で茶葉を採取していた(写真下)。機械化も飲料茶の値段が高騰せずに普及している理由の1つである。
 
輸入茶事件が起きてから、シェイクドリンク店は特別に産地を表記して消費者の信頼を回復しようとしており、茶の製造会社も包装に「台湾茶100%」と明記するようになった。双方が台湾産の茶葉を使用していることを強調し出したことで、間接的に台湾でのお茶の生産を促している。
 

平地茶畑の復興計画

 
二〇一六年、台湾農林公司は屏東にある七百五十坪の農場を買い取り、開墾して茶の生産基地とすることを発表した。その消息が伝わると、人々は台湾農林が一般価格の飲料茶に投資することが信じられず、暑い南部で産出できるのかという疑問も出た。
 
台湾農林公司は国内のお茶に関する安全問題を解決し、安心して飲めるお茶を提供することを目的としている。年間三千トンの茶葉を生産して、輸入茶に頼っている現状を解決することであり、輸入茶の十分の一は取って代わることができる、と台湾農林公司の岡友峰副総経理が説明した。
 
もう一つ人々を惹きつけたのは、桃園市が推し進める「平地茶園計画」で、平地での復興計画によって、やがては二百ヘクタールの茶畑になることを期待している。茶畑の継続生産または復興を行えば、一ヘクタールにつき三年で二十五万元の補助金が出る。そのほか、噴霧式灌漑設備やさく井、覆土、肥料、農機などすべてに補助金がもらえる。これにより一定の価格で販売が可能となり、新鮮な茶葉一キロ当り二十六元となる。
 
●地面いっぱいに採取されたばかりの茶葉が広げられ、少し萎んでから工場の生産ラインに運ばれる。
 
台湾茶畑の増減は北部の新北市と桃園、新竹、苗栗の台地が最も顕著で、桃園は一番多い時で二万ヘクタールを超えていた茶畑の面積が今はわずかに五百五十ヘクタールを残すのみとなっている。
 
桃園市茶商業同業組合の邱國雄理事長は、私たちを新たにできた二カ所の茶畑に案内してくれた。そこでは大部分が金萱茶が植えられていた。金萱茶は成長が速く、生産量が多いからだ。その復興計画は飲料茶用(発酵させない緑茶、紅茶、輸出用ウーロン茶)の茶葉を生産するもので、「飲料茶の市場にはそれなりのニーズがあり、台湾で発展させると共に食の安全問題も解決できるのです」。彼は桃園市が全台湾茶畑復興の先頭に立つと自信を持っている。
 
●飲料用茶葉の粗製工程では1時間に1200キロの粗茶ができる。
 
食品工業研究所の資料によると、台湾茶市場の総流通量は四万三千四百三十四トンで、その六割、すなわち二万五千トン近い茶葉は清涼飲料水やシェイクドリンク用に加工されている。飲料茶の原料に使われる茶葉は九十一・一パーセントが輸入茶葉で、国産茶葉はわずかに八・九パーセントを占めるに過ぎない。
 

名間郷と飲料茶

 
一九八三年、異常気象と労働力不足の影響で、南投名間郷は茶摘みの機械化を進め、四十五日に一回摘み、年間六回収穫することができるようになった。今では全台湾の産出量の六割を生産し、台湾飲料用茶葉の一大生産地となっている。
 
今日、名間郷のお茶は台湾茶の主力で、飲料茶と特種茶の比率は八対二であるが、産出量が多いため、安物というイメージを持たれている。名間と聞くだけで、品質の低い茶だと決めつけられてしまう。陳錦昌は子供たちに、「多くの人は名間郷を馬鹿にするけれど、恥ずかしがることはありません。私たちが特殊茶の栽培をしっかりやっていけば、海抜の高い茶畑よりも良いものができて賞賛される可能性もあり、そこが大事な点です」と言って聞かせた。
 
かつて「工場農業計画」を懸命に推奨したことがある陳錦昌によれば、業界の川上でしっかり種つけや肥料の管理ができれば、川下で安心してお茶を飲むことができる。一昨年の農薬茶事件をふり返れば、逆にそれがきっかけでその後の茶の商売を正規な道に戻している、と彼は言う。今、茶農家と卸商は茶葉の管理と検査を以前よりも厳格に行って食の安全問題をより重視するようになり、これ以上軽い気持ちでいることはなくなった。
 
量産の飲料茶と質を重視する特種茶はもともと異なっており、必要な条件や投入する時間も異なり、全く別物の市場である。従って、茶葉が安全であれば、地域によって等級分けするだけでよく、無理に良し悪しをつける必要はない。「六百グラム二千元もするお茶でシェイクドリンクを作りますか?」と逆に農民が私に質問した。
 
●バイクに乗りながら飲むほど飲料茶が普及した。近年の台湾の飲食習慣の変化は食の安全と健康の問題と共に、台湾茶の増減と輸出入や国内意識を提議したが、それは全て1杯の飲料茶の世界に始まっている。
 

台湾の国民的ドリンク

 
止めどなく汗が流れる夏の日に冷たいシェイクドリンクを飲めば、確かに幸せな気持ちになる。
 
昔からお茶は国民的飲み物だという認識があった。今でも国民的飲み物は茶であるが、正確に言えばシェイクドリンクカップで飲むものに変わった。シェイクドリンクは小さなお茶の革命とも言え、台湾の自慢になった。海を越えたタピオカミルクティー(英語でBubble Tea)は台湾の味の代名詞になっている。「泡紅茶」や「タピオカミルクティー」は商品名であったが、今では台湾茶ドリンクの固有名詞となっている。
 
台湾における茶は、農業であり、貿易を含む商業であり、文化、芸術、政治でもある。シェイクドリンクについて、食の安全と健康問題を問う人もいれば、国内の農業を憂慮する人もいる。はたまた、世界進出の栄光を手にする人もいる。小さなシェイクドリンクのカップには、大きな世界が広がっているのだ。
(経典雑誌二二八期より)
 
NO.260