慈濟傳播人文志業基金會
人とのつながりがあれば 一人も独りではない
慈済の慈善とコミュニティ長期ケア政策との相乗効果
 
弱い立場にあるのがやむをえずか或は自らの選択だとしても、家族に付添われない一人暮らしの高齢者の長期ケアには不安要素が尽きない。
 
慈済は、一人暮らしの高齢者の生活と医療を支援するだけではなく、高齢者の老化や生活能力の衰えを遅らせ、住み慣れた地域で安心して平穏な日々を過ごせるように積極的に取り組んでいる。
 
●翁劉彩雲さんは高雄甲仙の山奥に一人で住んでいるが、時には山を下りて、息子のところに行くこともある。

都市の狭小住宅に住む

台北市大同区にある高齢者ばかりが住む団地を訪れました。狭く過酷な間取り、暗い廊下や粗末な階段、部屋の換気が悪いために、漂うかびの臭い……それらが最初の印象でした。台北市内には今だにこのような団地が、大小合わせて二十カ所ほどあるそうです。
 
市場メカニズムと社会福祉のギャップによりこのような住居形態が生まれ、経済力の低い高齢者が身を寄せ合いかろうじて生活を維持する場所になっているのです。しかし、劣悪な環境や高齢入居者の健康面と経済力の実態を考えると、彼らの暮らしと公共の安全面には不安が募るばかりです。
 
一九九八年に台湾では一人暮らしの高齢者の孤独死が連続して発見され、ニュースでそれが新たな社会問題として報道されると人々の関心を集めました。政府も特別に「一人暮らしの高齢者ケア政策」を立案しました。
 
一人暮らしの高齢者には慈済も慈善志業の対象として関心を寄せています。実際、一九六六年に設立した慈済功徳会が最初にケアしたのが八十五歳で一人暮らしの林曽婆さんでした。林さんは寝たきりで老朽したバラックに住んでおり、慈済は生活と通院の世話を林さんが亡くなるまで四年間続けました。
 
しかし当時、貧困者、病人、障害者は慈済の支援対象となっていましたが、「一人暮らしの高齢者世帯」に対しては特に注目していなかったのです。それが二十年前に高齢者の「孤独死」が増えるようになったことを受け、法師は社会全体に関心を喚起することを始めました。特に、「コミュニティベースのケア、そして近所の人々が身内のごとく援助の手を差しのべること」に重点を置きました。
 
高齢化は台湾社会発展の流れであり、一九九八年から二○一八年にかけて、過去二十年間の人口推移を見ると、「高齢化社会」がさらに進んで「高齢社会」を迎えていることがわかります。七人に一人が老人という割合になったのです。国家発展評議会はさらに、台湾が二○二六年には「超高齢社会」すなわち高齢者の人口が全人口の二十%を超え、五人に一人が高齢者になる時代を迎えると推測しています。
 
また一方で、すでに核家族化が進んでいる台湾では、高齢者だけの世帯が増えています。現在一人暮らしの世帯はほぼ二百七十五万世帯で、台湾の総世帯数の三割を超えました。「一人暮らし」がこれから高齢社会では珍しくなくなる可能性があります。ただ、かつてのように「一人暮らしの高齢者だからといって、貧困や弱い立場に陥っている」とは必ずしも言えない時代になっているとも言えます。未婚者や未亡人、別居、また子どもと同居しない高齢者が一人暮らしを選ぶこと等も高齢者世帯が増える主な原因ではないでしょうか。
 
公衆衛生、社会福祉部(厚生労働省)の調査によりますと、一人暮らしの高齢者の割合が増えていくというのに、政府に登録されるケアの必要な高齢者の人数はむしろ減る傾向にあり、二○○○年の五万三千余りから昨年の四万五千余人余りに減少しました。それは、ケアが綿密にネットワーク化されてきたことが理由の一つだそうです。現在台湾における地域ケアの拠点は三千カ所となりました。一方で、日常生活には支障がないため、あるいは、邪魔されることを好まないという理由でケアを拒否する高齢者もいるようです。
 
●加齢につれて、住居環境、交通、室内のバリアフリー、社会活動への参加をどのように整えるかが重要である。経済の支援だけではなく心のケアも含めて、現在多数の社会福祉機構がそれらの課題に積極的に取り組んでいる。
 
そのため社会福祉団体は、加齢につれて健康や経済状況が年々厳しくなることを見通し、生活機能の低下により生じた悪循環をできるだけ減少させるだけでなく、さらに孤独と憂うつをケアすることがもっとも重要であると考えて実践に取り組んでいます。
 
一九九八年、慈済は政府の政策に協力し、一人暮らしの高齢者を訪問ケアしながら、それが地域全体の活動となるよう、コミュニティとの関わりも深めていきました。
 
中には、生活支援を必要とする世帯もあれば、心のケアを必要とする世帯もあります。ボランティアは定期的に訪れますが、同時に高齢者のライフスタイルに合わせた地域活動を計画して彼らの生活の輪を広げようと心がけています。さらに、ボランティアは社会の変化に応じてケアの内容を随時調整しています。高齢者たちが安心して平穏な老後生活を送れるようにと願っているのです。
(慈済月刊六二四期より)
NO.265