慈濟傳播人文志業基金會
新芽が大樹になるまで扶助しよう
困窮家庭の学生を支援し
 
慈済が支給する就学補助金、その価値は、
「貧しい家庭でありながら志のある」数万人もの子供を支援しているところにある。
就学が困難な状況に立たされた際に、
諦めるという選択肢を選ばずにすむよう、
厳しい環境の中で成長する新芽が、
将来家庭の大黒柱として未来を背負うことを願っている。
 
 
「お宅の子供さんはとても優秀なのだから勉強を続けさせなくてはなりませんよ!」というセリフを昔のドラマではよく耳にしたものである。そのあとは学校の先生が貧困農家である生徒の家を訪ねて行き、子供が学校を中退しないように熱心に親を説得するという展開だ。今日、台湾社会の経済力も向上し、親たちは教育の大切さを理解するようになった。そして「我が子が知識を身に付け、安定した生活ができるように」と願うようになったので、今では大部分の子供も大学まで勉強ができる。しかし、まだ数万人の学生は家計を助けるために高額な学費ローンや過度のアルバイトにさらされている。
 
台湾評鑑協会が二○一七年に大学と専門学校の新入生に対して調査した結果、新入生の五人に一人は学費ローンを組んで学費などに当てていることが分かった。(註)私立大学の一学期の学費約五萬元(約一八万円)から計算すれば、一人の大学生は、四年間八学期の学費ローンの総額が四十萬元を超える。
 
教育部(文部省)が二○一八年八月に公表した「学費ローンとゆとり返済」というスキームによると、台湾全体では八十七萬人が学費ローンを背負っているそうだ。一方、現在学費ローンを返済している五十万人の社会人の中で、ゆとり返済の資格を得たのは七万八千人だけにとどまり、「借金で勉強する」という事態が若い世代にとって大きな重荷になっているのである。
 
高等教育の学費は、貧困や病気、片親、祖父母養育家庭など、数多くの生活困窮者家庭の高校生や大学生にとって相対的に負担となってくる。彼らの子供は小さい時から休み無く働く両親の姿を目の当たりにし、中には病弱な年長者の面倒をみている小中学生の子供も少なくないようだ。家庭のサポートが欠けている子どもの学習の道のりは他人より困難である。「家扶基金会」(貧しい家庭の子どもを援助する基金会)が二○一五年に行った調査によると、子供が高校や技能学校に在学中の生活困窮者家庭の収入は毎月二萬元(約七万二千円)未満で、そのうち七十三%の家庭が子供の学費を払えない状況にあるそうだ。また、六十%以上の対象学生は、「アルバイトをして勉強に影響がでた」と回答した。
 
子供の就学困難は家庭の崩壊がその背後の原因となっていることが多い。家庭が自ら我が子の教育困難を解決できないとしたら、社会的に奨学金等の助成制度により支援する必要があるのではないか。
 

慈済が手を差し伸べて就学の道を確保

 
公共部門、民間団体、学校及び心ある人は生活困窮者家庭の子供に様々な資金を投入している。インターネットで検索してみれば、奨学金や助成制度に関する情報がすぐ入手できる。慈済にも奨学金制度がある。それは経済面の支援だけではなく地域のボランティアネットワークとも連携して、「全ての進路、全家庭の全ての人に」全面的なサポートをしており、子供達にとって最大の拠り所になっている。
 
町内会長と学校の先生は、必要に応じて慈済基金会と連絡をとり、ケアケースを紹介しすることにしている。失業や疾病あるいは事故など、紹介した家庭に変事があった場合も、各地域の慈済ボランティアはその通報を受けると直ちに訪問を行っている。
 
苦しんでいる世帯に対して、ボランティアは何が必要かを判断し、毎月の生活費を支給したり医療費を助成したりして当面の問題を解決する。そして寄り添いと助言をしながら助学金を支給し、子供が安心して学校に通えることを確認する。その後も「新芽奨学金」という支給制度で補習や習い事に通う事をサポートし、自らを高めるよう奨励している。
 
 
台中の「医学部の兄弟」も慈済の奨助学金制度の恩恵を受けた学生だ。現在医学部五年生の兄、林胤廷は「三年前僕が二年生のとき、弟はちょうど漢方医学部に入学しました。しかしながら父は失業中で、祖母もがんを患っているため、僕と弟は慈済の支援を受けました」と述べた。
 
兄弟の事情を知った慈済ボランティアは家族を訪ねた。面談をしてから林家を長期ケア世帯の対象に認定し、毎月祖母に生活費と医療費を助成した。それ以外に兄弟にはその学期の学費全額を支給した。
 
その後、台中のボランティアは兄弟を引続き支援しようとしたが、婉曲に辞退されたそうだ。「慈済の浄財は五百元や百元と募金して集められたものです。私たちは他の学費ローンを借りても卒業して返済する能力がありますので、支援は他の人に回してください」と林胤廷が言った。
 
最も困難な学期が過ぎると兄弟は学費ローンを組むことにしたのだ。そして、もはや家庭教師として働く必要がなくなると、優秀な成績により学校や社会の奨学金を獲得して生活費に当てた。その志は台中の慈済人の心を動かし、三年連続して「新芽奨学金」対象者に認定され、さらに二○一八年度の中部地区人品模範にも推薦されたのだった。
 
「二人とも優秀で、常にクラスのトップですし試験の得点もほぼ満点を修めています。また学校が支給した奨学金をお祖母さんの義歯の費用にあてているのです。そのような優秀な学生に新芽奨学金を支給するのは当前でしょう。それに、ここ二年間慈済の『骨髄バンクのための血液検査』にもボランティアとして熱心に参加していました」と林家をケアするボランティア朱盧素貞さんが再三褒め称えた。
 
 

新芽の向上を励ます五つの賞

 
二○○七年から慈済は毎年、在宅ケア世帯と長期ケア世帯の子供に新芽奨学金の支給を開始し、その人数は今までに延べ六萬人以上にのぼる。二○一八年度は様々な学校のおよそ八千五百余名の生徒や学生が新芽奨学金を受けた。支給項目には、学業成績、孝行、特別なパフォーマンス、皆勤、成績進歩の五つがあり、その総額は五千萬元を超える。
 
奨学金は具体的な奨励であり、日頃行われる慈済ボランティアの見返りを求めない奉仕とケアのもたらす価値は、奨学金でも遠く及ばないものがあることをここで明記しておかなければならない。
 
慈済が考える奨励の最も価値のある点というのは、数万人もの「家は貧しくても志を遂げたい」子供たちに支援ができることなのである。彼らが就学の困難に直面し途方に暮れている時に、進学を諦めるという選択をさせずにすむことが何よりの喜びなのである。勉学の時期を逃さず知識をしっかりと身に付け、前向きに善を尽くして自分を成就するように励ましているのだ。
 
このように慈済人は、常に生活困窮者家庭とその子供に寄り添い、自立するまで尽力する。それは、単なる一人や一つの家庭に手を差しのべて貧困から救うためだけでない。家庭の新芽はやがて大樹に成長し、家庭の大黒柱となり、将来は世界の人たちと共に未来を背負うのだということを、知っているからなのである。
註・『評鑑双月刊』七十四期(二○一八年七月號)に発表した。
(慈済月刊六二六期より)
NO.267