慈濟傳播人文志業基金會
他人を助けることは己をも助けること
異郷で働く人は経験から、健康で働けることと、無事に帰国できるのが何よりだとよく知っている。平日に車椅子を押す手で、休日にフリップを持ち、彼女たちは言語を駆使して橋渡しになり、「雇用主のお年寄りを世話する時は自分の健康も守らなければいけない」と同胞に呼び掛けた。
 
台北市萬華にある派遣業者の教室に、約二十人が受講していた。テレビ画面では、ある外国人労働者が受診の手遅れで仕事が続けられなくなったドキュメンタリーを放映していた。彼女は夜間に倒れ、病院に緊急搬送された。重体で入院後、直ぐに気管挿管を余儀なくされた。その後の検査でガン細胞がすでに転位していることが分かり、手術を受け、暫く間を置いて再度大きな手術をした後、最後には自国に返され、間もなくして亡くなった。
 
講義を聞いた中で悲しみを覚えた人もいれば、余り気にならない人もいた。彼らが初めて台湾に入国した時や新しい雇用主の下で働くことになる時、学歴と経歴豊富な人や学歴の高い外国人労働者が講師になって指導するのは、雇用される家でできるだけ早く慣れることを目的にしている。
 
毎日同じようなビデオを流して、外国人労働者に自分の健康に気配りしてもらっている、と派遣業者の林和蓁總經理が感慨深げに言った。外国人労働者は最長十四年間台湾に滞在でき、大半が基礎的な労働に従事しているので、滞在中、健康に異常をきたすことがよくある。台湾は既に外国人労働者を健康保険の対象に入れている。派遣業者は、合法的な仕事につけば健康保険が使え、安心して病院に行って診療を受けられることを彼らに理解をしてもらっている。逆に、合法的な仕事でなければ、医療保障を受けることができない。
 
台湾では外国人労働者は定期的に健康診断を受けることを法で定めている。初めて台湾にきた外国人労働者は言葉の壁があり、ちょっとした風邪なら自分で診療所に行けるが、病院に行くようなことになれば、派遣業者から通訳が同行する。特に東南アジアからの就労者は比較的に保守的で、女性は特に医者の性別が気になるため、安心して診てもらえるよう注意を払っている、と林和蓁が説明した。
 
●お昼頃、台北駅の外で外国人就労者の弁当売りが行き来し、慈済ボランティアは外国人就労者を無料健診に招待した。(撮影・蕭耀華)
 

治療よりも予防

 
台北駅で慈済の外国人労働者向け無料健診活動がある時、林和蓁は必ずボランティアベストを着て、他の外国人就労者を伴って、彼らの同郷者に健診を呼びかける。長い間、行って来て慣れているため、今では必ず、駅の周りでも呼びかけている。
 
「健診活動がある度に、会社は事前に雇用主に連絡し、外国人労働者の具合が少しでも悪ければ、来て診てもらうのがベストだと教えています。雇主にとっても彼らが健康でいるのはいいことなのです。そして、彼らが休日にボランティアをすると同時に健診を受けられるのはいいことです」と林和蓁は言う。外国人労働者にとって診療を受けるのは面倒なことで、台北駅だったら便利である。特に、平日に病院へ行くのは時間制限がある上に、一つの科しか診察できない。慈済の無料健診に来れば、少なくとも五科以上診察を受けることができる上に、待ち時間は短く、無料である。
 
林和蓁は慈済との縁を話してくれた。遡ること二○○七年、インドネシアから来たリアが会社最初の癌のケースだった。治療が一段落した後、自国に戻ることになり、林和蓁は台北市労務局に、彼女を続けてケアする組織がインドネシアにないだろうかと問い合わせた時、インドネシアには慈済の支部があるので、聞いてみたらという回答を得た。
 
林和蓁は早速、慈済台北支部に連絡を取った。黄秋良などのボランティアが帰国間近のリアを見舞いに来て、リアのケースをインドネシアのボランティアに引き継いでもらった。それがきっかけで台北駅で外国人就労者向けの無料定期健診があることを知り、会社の外国人労働者講師が慈済と協力するようになった。
 
●毎回台北駅で無料健診がある時、林和蓁(前列左から二人目)は会社の外国人就労者講師を連れて、行き来する外国人就労者に健診を呼びかけている。(撮影・陳李少民)
 
統計によると、外国人労働者が怪我や病気、障害を負ったり死亡するなどの突発事故は年間平均して千五百件に上る。二十年以上、派遣業に携わってきた林和蓁は、それと類似したケースを多く見てきたため、外国人労働者に医療知識を教育することに力を入れてきた。「慈済の無料健診は治療よりも予防の効果を発揮できるのです。普段の軽い病気だったら少し我慢すればいいのですが、休みを利用して仲間と台北駅に集まった時に、慈済の無料健診を受ければ、健康で安心して帰れるのです」。
 

苦労には相応の見返りがある

 
今、外国人労働者の講師を務めるインドネシア国籍のアシヤーは二○○二年に二歳の子供を自国に残し、初めて介護士として台湾にやって来た。最初に雇用された新竹の家族は十八人家族で、彼女はお婆さんの世話と食事の支度、子守など、とても大変だった。しかし、アシヤーは自分の家庭環境を変える決意をした。絶対に失敗してはならず、どんな難関に直面しても乗り越えて辛抱しなければいけないと自分に言い聞かせた。そのようにして、その雇用主一家も彼女を可愛がった。
 
外国人労働者は三年ごとに出国しないといけないが、二回目に来台して三年に満たなかった時、お婆さんが亡くなったため、アシヤーは転職した。彼女は高校の学歴を持っていたので、派遣会社の講師になり、台湾での生活は十数年になる。
 
外国人労働者にとって最大の働き甲斐はお金を貯めて自国に送金することである。送ったお金で家を建て、子供を大学まで出させたことはプレッシャーを背負った末の、最大の見返りである。「人を助けることは自分をも助けることになるのです。苦労は、必ず報われると信じていました」とアシヤーは笑顔で話した。
 
振り返ってみると、在宅介護の仕事をしていた間、アシヤーはあまり休暇を取ったことがない。彼女は簡単な中国語が話せたので、少し風邪をひいて近所の医者に診てもらった時、余り問題はなかった。しかし、非合法外国人労働者は病院に行くことを恐れ、軽い病気が重いものになった事例を沢山見てきた。そのため、彼女は仲間に合法的就労の重要性を強調すると共に、具合が悪くなったら医者に行くことを雇主と相談するよう助言している。「台湾にはこんなに良い医療制度があるのに、受診が遅れたばかりに残念な結果になり、心を痛めてしまうのです」。
 
アシヤーが新竹で世話していたお婆さんは大愛テレビの番組をよく見ていたので、彼女も慈済のことを知るようになった。外国人労働者の講師になった後、時間を自由に使えるようになったため、慈済の活動に参加する夢が叶った。「善行したいのです。ましてや、同胞のインドネシア人に受診を呼びかけ、皆が自分の健康に注意してもらう仕事なのです」。
 
彼女は通訳のボランティアになって台湾人の善良さに接し、人助けの喜びを実感した。「愛は民族や宗教を問わず、皆が実行すれば、社会は平和になりますと證厳法師は語っています。良い信念はポジティブな力を発揮します。私は講義の時に皆と分かち合い、これからもずっと続けていきます」
 
2018年慈済の外国人就労者向け無料診察
場所と対象者 回数
診察延べ人数
台北市、新北市、桃園市
外国人就労者
10 3013
入出国管理局
南投収容所
11 605
屏東東港外国人漁業就労者、
高雄前鎮外国人就労者
3 2276
蘇澳外国人漁業就労者 1
365
 
           ●
 
「介護に携わる外国人労働者はその家庭に溶け込んで病人の世話をする必要があるため、仕事の環境が閉鎖的で、重いプレッシャーが掛かります。介護していた人が亡くなれば、直ぐに新しい雇用主を探すことになりますが、それに合わせて素早く気持ちの調整をしなければならないというのは容易ではありません」。
 
遠い所から来たこの子たちが、家庭の重責を担ってくれることで、雇用主の生活が改善されるため、有意義な仕事だと林和蓁も思っている。「善意を持って外国人労働者に接すれば、彼女たちも必ずそれに報いてくれます。『捨』があれば『得』るものがあります。善の起点は利己利他の要であり、これこそが前向きな循環になるのです」と林和蓁は言う。
(慈済月刊六二八期より)
NO.269