慈濟傳播人文志業基金會
リサイクルセンターへの短い旅
実情を見て心が震撼した
 
台湾全土にある八千八百を超える地域リサイクルステーションは大衆の実地体験を歓迎している。元はと言えば、人々は便利なライフスタイルを享受してきたために、知らないうちにこれだけ多く環境を汚染してきたのである。環境を守る要になる人物は己であり、「物を廃棄物にさせない」ことは実現可能なことである。
 
アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは二〇一六年五月号に「台湾:ゴミ処理における世界的な達人」(Taiwan: The World's Geniuses of Garbage Disposal)と題した記事を載せている。台湾のゴミ資源の回収率が五十五パーセントに達し、アメリカの三十五パーセントを遥かに上回り、ドイツ、オーストリアなど環境保全の模範生にも遅れを取っていない。
 
国際的な評論によると、台湾人の環境保全意識と行動は世界でもトップクラスである。しかし、自分の土地でいくら努力し、環境保全の成果を挙げても、海を越えて海外から廃棄物が流れ着き、日に日に世界の環境破壊が進む中、安心してはいられなくなってきた。
 
その為、慈済ボランティアは腰を屈めてリサイクル活動をしたり、地域住民を誘うと共に、廃棄物や二酸化炭素を削減する生活理念とそれを実現できる方法を世界各地に伝え、環境保全教育を社会に根付かせることに努めている。
 
●台北市内湖区にある慈済の環境保全教育センターでは、ボランティアが来訪者に廃棄物による環境汚染問題を説明していた。去年1年間だけでも約400の団体、1万3千人余りが訪れた。
●慈済ボランティアである実業家が「R2R二次回収」の技術を開発し、ペットボトルでできた災害支援用物資を再度回収して、他の製品に作り変えることで、廃棄物を最大限に減らしている。

朝食一食分でどれだけの二酸化炭素を排出しているか?

 
「皆さんが望んで我々のリサイクルセンターを訪れてくれたことに感動しました。それは皆さん一人一人が地球を愛するのは大切なことだと考えているからに他なりません。こちらへどうぞ!」と教職を定年退職したボランティアの鄭花が腰に付けているスピーカーを通して、遥々四川から来訪した実業家たちに慈済の環境保全について話し始めた。一行の「小さな旅」の目的地は台北市内にある慈済内湖環境保全教育センターである。彼らが来る前に、既に(中国福建省)泉州からのリサイクルボランティアやアメリカ・ダラスの学校の校長先生たち、及びシンガポールの小学校から先生と生徒たちが訪れていた。年間三百回を超える見学ツアーは内湖のボランティアに「下を見てリサイクル活動する」と同時に「顔を挙げて環境保全を解説する」腕を磨かせた。
 
鄭花は一行をツアー最初のブースである「タン多朝食店」に案内した。「タン多とは台湾語で大儲けを意味しています。しかし、我々は朝食から多くの二酸化炭素を作り出しています」。鄭花はカウンターの裏に回って店員を装い、「朝ご飯は何にしますか?」と見学者の一人に尋ねた。
 
「饅頭!」「肉饅頭ですか、野菜饅頭ですか?」と陳列棚から食品の模型を出し、バーコードを読み取ると、肉饅頭、野菜饅頭、ハンバーガーなどの食品が排出する二酸化炭素の量が相次いで液晶画面に表示された。肉を含まない野菜饅頭の排出量は僅か〇・一キロであるのに対して、牛肉ハンバーガーの場合は四・五キロ、と排出量が四十五倍になっていた。肉食が菜食に比べて環境に与えるインパクトがこれほど大きいのが分かり、どうやって地球を愛せばよいかは言うまでもない。
 
「台湾では一人当り一日に使用されるプラスチック袋の平均量は二・七個で、年間にすると九百個余りになります」と鄭花は二番目のブースの前で海亀の模型を手にしながら、世界中のメディアで取り上げられている海洋廃棄物の問題を解説した。彼女がプラスチック袋の山をかき分けると、その中からマネキン人形の頭が現れた。「もし、これらプラスチック袋があなたの体に巻き付いたらどうでしょうか?皆、嫌がりますよね。しかし、私たちはこれを地球に巻き付けているのです」。
 
●慈済ボランティアである実業家が「R2R二次回収」の技術を開発し、ペットボトルでできた災害支援用物資を再度回収して、他の製品に作り変えることで、廃棄物を最大限に減らしている。
 

エコ毛布、物の寿命を再生する

 
国連環境署の統計によると、二〇一五年だけでも全世界で三億トンにも上る廃棄プラスチックが生み出されている。その七十九パーセントが埋め立てられるか、放置されたり捨てられており、十二パーセントが焼却炉で燃やされ、回収システムに回されるのは僅か九パーセントである。
 
如何にしてプラスチックの使用量を減らし、使用済みプラスチックの不当廃棄を避け、回収再利用を強化するかが目前の重要な環境保全問題なのである。慈済の環境保全活動で大々的に行なっている項目の一つが、回収したペットボトルから「エコ毛布」を作っていることで、国内外の支援活動に使われている。内湖環境教育センターではエコ毛布の裁断加工を行なっており、実業家ボランティアは展示館を設けて、具体的にペットボトルの回収から、裁断してチップにし、次にペットフレーク化し、再生ポリエステル繊維の製造、織物までの工程が見られるようにしている。
 
ペットボトルから抽出された糸で作れるのは毛布だけではない。大愛感恩科技公司の李鼎銘總經理は皆の前に立ち、身に付けているネクタイ、シャツ、スラックスを見てもらい、「身に付けているものは全てペットボトルからできています。私の体はペットボトルから作るのではありませんが、私は慈済に回収、再生された資源です」と言った。
 
●データの保存は今、殆どがハード・ディスクやサーバーに保存されるようになり、ビデオ・テープは大量に廃棄処分されている。リサイクルボランティアは1つ1つプラスチックのパーツや金属ネジなどの資源を回収している。
●リサイクルボランティアはカッターナイフでフォルダーを分解し、リサイクルできるボール紙を取り出していた。見た目は簡単な動作だが、ゴミを資源に変えられるのである。
 

高齢者ボランティアは行動で模範を示している

 
トタン屋根の下で作業しているリサイクルボランティアは皆、八十から九十歳の高齢者である。李広義はカッターナイフでフォルダー表面のビニールに切り込みを入れ、中からボール紙を取り出した。専念して分別した後、元来、無用のゴミだったのが再利用できる資源に変身した。手を動かす人は健康と喜びを手に入れることができる。「十七年前、家内が慈済に来て喜んでボランティアしているのを見て、私もボランティアになりました。今はもう九十二歳です」と李広義は元気いっぱいに言った。
 
七十四歳の梨錦照は隅の方で、ドライバーで廃棄処分になったビデオテープとオーディオテープを分解していた。「こういうテープは殆ど使われなくなりました」。テープのケースを解体すれば、ネジやプラスチックパーツなどの多くは回収再生できる。壊れた傘を分解すれば、骨と布地も再利用できる。
 
心して行えば専門家になれるのだということを、身を以て教えている。高齢者ボランティアたちの心温まる笑顔と健康な姿で、初めはあまり理解していなかった見学者も少しずつ概念ができ、感動し始めた。
 
「環境保全はとても大きなプロジェクトで、考えるだけで尻込みしていました。しかし、慈済に来て、細やかな心使いや表現が新しい技術に結びつき、現実の生活に返ってきているのを目の当たりにしました」とツアーが終わり、次の訪問先に移動する前に四川省の成都からきた張さんがこう話した。また、「環境保全は千万回言葉にするよりも、実践してみることが一番です」と言った。
 
続いて会社管理職の楊女史が、「山東省出身のお婆さんが私の訛りから中国東北地方の出身だと分かり、私に話しかけて来ました。彼女は私に東北地方にもリサイクル拠点はあるのかと聞きました。私はあるのかどうか知りません。しかし、慈済での学習と理解を通じて、私は環境保全を目指す先導者になりたいと思います」と感動して言った。
 
また、「リサイクルセンターの様子を見て、慈済人が自らやるべきことを知り、文化と理念を持っているのを目の当たりにしました。特に九十歳を越した高齢者たちが、慈済というプラットホームで尊厳のある人生を送っているだけでなく、品格を持って生きている姿を拝見することができました」と今回のリーダーである四川省の実業家である王瑞栄会社会長が一段と高いレベルの話をした。
 
そして、二〇一八年から中国が海外からゴミの輸入を禁止し世界に衝撃が走ったことに触れ、「輸入ゴミは中国に二回、三回と汚染をもたらします。その影響は甲地から乙地に、例えばアメリカ大陸からアジア大陸や他の場所に移しても地球上にあることに変わりはなく、地球には全人類が生息しているのです」と王瑞栄が嘆いた。
 
次から次へと国内外からの見学者が訪れ、環境保全教育センターで慈済ボランティアが如何にして「物には廃物はなく、人には廃人はいない」ことを成し遂げているのかを目にした。皆が行なっているのは「生計」のためではなく、大地に在る万物の「生存」の為であり、日常生活から行動することで地球を守ろうと努力している。自らの目で見て手を動かすことでより多くの人が廃棄物や二酸化炭素の排出を減らしていくことに期待している。「清浄は源から」始めれば地球環境は守ることができる。まだ間に合う。
 
 
再利用できないものは使用を拒む
 
  国連が二〇一八年世界環境デーに公表した統計によると、二〇一五年、世界で廃棄処分されたプラスチック類は三億トンで、その中の僅か九%が回収されているに過ぎないという。同レポートには「予防」が廃棄物管理等級制度の最重要措置と書かれており、「再利用できないものは使用を拒む」ことを呼び掛けている。
 
 
二〇一五年世界廃棄プラスチックの
処理方法別統計
(慈済月刊六三二期より)
NO.273