慈濟傳播人文志業基金會
ゼロ・ウェイストは可能か
台湾各地のリサイクル拠点
 
台湾全土には千五百余りの地域リサイクル拠点がある。その中の一つ新北市三重区順徳里では住民が分別した回収物を持って来て(写真左)、貯めたポイントでポリ袋や日用品と交換していた(写真右)。里長が率先して住民のリサイクル意欲を高めているのだ。
 
 
日本徳島県上勝町のごみ処理の特長は、ごみステーションのスタッフや慈善団体の手を借りずに、住民たちが「自分のごみは自分で処理する」ことであるが、実は台湾でも近年、これと似た方法が採られている。
 
「楊お爺さん、これを量ってもらえませんか」ある住民が平にした段ボール箱を秤に載せながら聞くと、八十一歳のボランティアの楊便さんは、手慣れた様子で量った数字をメモに書いて渡した、「はい、後でこの数字をオフィスのコンピューターに登録しておいてくださいね。もう大分ポイントが貯まっているはずですよ」。「そう、またポリ袋に交換しますね」と住民が答えた。
 
新北市三重区順徳里の黄金リサイクル拠点では、毎月第一と第三月曜日午後五時から八時までの間に住民が回収物を持って来ると、ポイントでポリ袋や日用品と交換してもらえる。リサイクル拠点の責任者である里長の李鴻志と奥さんの蔡秀敏はボランティアを率いて回収物を整理した後、ごみ収集チームに出して売ってもらう。売り上げの七割が地域の運営資金として使われている。このように里長が率先して、住民に資源回収を呼びかけているリサイクル拠点が、現在全台湾で千五百カ所もある。二〇一一年に始まった新北市の「黄金リサイクル拠点計画」が最初で、環境保護署(日本の環境省に相当)も二○一六年に「村里リサイクル拠点計画」を推進し、この方法が各自治体に広がることを期待している。
 
全台湾の模範となった順徳里は、十七年前に李鴻志が里長に当選した後、すぐに地域環境の清掃と美化及びごみの分別に着手し、古い住宅街の環境を整えただけでなく、百名近いボランティアの活躍で、住民たちとの触れ合いも多くなった。毎月の平均回収物は八トンあり、そこからの収入は約二万四千元である。これを地元の奨学金、年配者の食事会、住民たちの交流活動など地域福祉に還元している。

更に良いリサイクル拠点を目指して

「地域のリサイクル拠点は確実に資源回収率を上げられます。回収ルートが多ければ多いほど、住民の意欲は高まるはずです」。効率を高めたいのであれば、まだ改善の余地はある、と朝陽科技大学環境工程と管理学部の林宏嶽准教授は言う。
 
まず、場所の利便性が上げられる。順徳地区の里長事務所の前にある三德公園をリサイクル拠点に定めたのは正解だった、と林宏嶽は言う。実際に各地のリサイクル拠点を見回ってきた看守台湾協会の謝和霖祕書長も同感だと言う。一部のリサイクル拠点は、ポイント交換する時だけテントを張る為、住民たちにとっては不便で、その効果も上がっていない。また、場所探しを里長個人に頼ると、将来、里長が変わった時にその拠点を継続して使えるかどうかも問題になってくる。
 
二番目は時間の利便性である。住民たちに実行してもらうなら、回収時間帯をもっと多くした方が良い。しかし今は大部分の回収時間帯が毎月あるいは毎週決まった時しかない為、協力できる住民が限られている。
 
三つ目は拠点に専門のスタッフがいること。日本徳島県上勝町のごみステーションのように、あらゆるリサイクル拠点は教育の場とも言え、拠店のスタッフが教育する役割を担ってこそ、長期継続が可能になるのだ、と謝和霖は考える。
 
もう一つ、リサイクル拠点に影響を与える先天的な条件がある。地の利である。「継続的に運営していく前提で、回収物に値打ちがあるかどうか、また回収から加工への流通がスムーズかどうか、この二つの条件は人口が密集する場所でないと成り立たないのです」と林宏嶽が説明した。回収業者も運搬費の採算を考えるので、回収量が多ければ意欲的に来てくれる。「従って、辺鄙な地域の場合は、自分たちで回収業者の所に持っていかなければならず、大変なのです」。
 
また謝和霖は次のように言った。ごみ問題を解決するには、資源物を回収するだけでなく、リサイクル拠点で統括的に資源とごみの両方を回収して循環利用を増やし、燃やしたり埋める量を減らすようにすべきで、リサイクルだけすればいいというものではない。
 
新北市のリサイクル拠点の例では、他の自治体よりも回収項目が多く、値打ちのない古着やビニール袋までも回収している。他の地方ではペットボトルでもPETしか回収しなかったり、あるいは紙容器を回収しない所もある。生ごみに至ってはどの自治体も回収しないのが実情だ。
 
●台東東海国営住宅のごみゼロリサイクル拠点は細かくごみを分別し、毎日朝晩2回の時間帯を開放している。また、ボランティアが現場で指導しており、よく小学生が来るのを見かける。(写真提供・劉炯錫)

台東東海国営住宅のごみゼロへの挑戦

その他、台東市最大の集合住宅で三百三十世を有する東海国営住宅は、十月末に「ごみゼロリサイクル拠点」を設置した。実行して一カ月、資源ごみは一・五倍に増え、ごみの量が約半減した。
 
コミュニティーは自費で十二萬元を投じてリサイクル拠点を改装し、ごみ、資源、生ごみの三項目から二十項目に拡大し、毎日朝晩二回の時間帯を開放すると同時にボランティアが現場で指導している。住民は自宅でごみを分別した後、リサイクル拠点に持ち込む。
 
発起人は台東大学院の劉烱錫教授である。劉教授は台湾環境保護連盟の台東分会メンバーで、東海国営住宅の住民でもあり、管理委員会の黄維勳主任委員らスタッフと相談して、回収資源の細かい分別を決めた。そして台東県政府にごみゼロ実現の可能性を示し、二○二二年からの焼却炉使用を覆そうとしている。
 
「最初は無理だろうと心配した人もいましたが、実行している住民に評判は良く、思ったほど面倒ではないと言っています」。よく小学生が自分でごみを捨てにくるのを見かけると劉烱錫が言った。
 
「私の家では紙類とその他の回収物、生ごみ、一般ごみの四種類に分けるだけです。プラスチック、瓶、缶、電池などは一つの袋に入れれば、スペースを取りません」。開放時間が一時間半もあるので、リサイクル拠点に持ち込んで分別する住民も少なくない。その後、回収業者が取りに来る。一般ゴミや生ゴミ、引き取り手がないガラスと発泡スチロールなどはごみ収集車に処理してもらう。
 
これからの効果も引き続き観察する必要はあるが、すでに別のコミュニティーから彼らの運営方式が学びたいと打診がきている。東海国営住宅のリサイクル拠点には、今でもごみは出ているが、住民たちの努力で「ごみゼロ」に向かって大きな一歩を踏み出した。これも住民たちが未来を変えるために選択したことである。
(経典雑誌二五七期より)
NO.279