慈濟傳播人文志業基金會
大いなる教育
新型コロナウイルス(COVIDー19)が昨年暮れに出現してから、現在まで四カ月余りが経つが、感染は既に全世界に広がっている。百万人以上が感染し、数万人が亡くなるという恐ろしい事態の中で、人と人の関係に微妙な変化が起きている。
 
疫学者の観点から見ると、治療薬とワクチンがないまま感染が急速に拡散した現在、防疫に有効な方法は、人々が集まらないことで密集を回避することしかないそうだ。具体的には自宅待機から市街地の封鎖、人との距離を1メートルから2メートル空けることがあげられる。
 
コミュニティ内の感染が危ぶまれる中、それを防止するため、台湾では四月よりこの「ソーシャルディスタンシング」を実施している。こまめな手洗いだけでなく、マスクの着用、公共の場所で人との距離を空けることである。
 
感染者が減少することを期待し、医療系統の崩壊を防止しつつワクチンと特効薬の開発を待つ間は、最も人々が不安に感じる時期である。しかし、今は常時会ったり抱擁することで感情を表すのが困難である。それによって焦燥感や不安を引き起こす可能性があり、別種の危機をはらんでいるといえる。
 
医学の研究から分かっているのは、SARS等の経験から伝染病隔離者と特に医療スタッフが過度なストレス等の影響を受けており、時間が伸びればそれも倍増して長期化していくということだ。隔離者が社会の支持を得られることを含めた有効な防疫対策と、揺るぎない安心感を与えることで、「隔離」が「変則的な懲罰」とならないようにしなければならない。
 
医療人類学者アーサー・クレイマンは、伝統な中国人社会を観察した時のことをこう語っている。医師が或る家庭へ往診に行くと、そこには漢方薬を煎じる匂いが立ち込め、隣近所の人々がその来訪者に協力して、コミュニティ全体が「治療空間」になっていた。人と人が距離を保つことを余儀なくされる今日、人々に何ができるだろうか?
 
本期の主題報道では欧米諸国に焦点をあて、公共衛生政策及び文化認識が異なる中、元々マスク着用の習慣がなく、やがて「マスクが買えない」状況に陥っていることを取り上げている。現地の華僑系慈済ボランティアは無用な外出を控え、裁縫に慣れていようといまいと皆、布マスク作りに参加した。ネットを通じてケアや慈善機構の必要に応じ、現地の住民たちも地域のお年寄りたちのために布マスク作りに参加するようになった。完成したマスクは郵送されたり、屋外に置いて人々が取りに来るようにしている。
 
台湾では、慈済ボランティアが医療従事者に内容が豊富な菜食弁当を届けると共に、弁当箱の洗浄と消毒も念入りな計画の下に行われている。ボランティアはマスクと手袋、レインコートを着け、汗が背中を流れても、奉仕する機会があることに喜びを感じている。
 
彼らは互いに距離を保つと同時に、更に多くの人と繋がる新方式を創り出した。
 
證厳法師は、今回の大災難は大いなる教育であり、改めて人々に尊重と謙遜を学ばせていると指摘した。「柔和な労りがお互いの気持ちに通じることを信じています」。
(慈済月刊六四二期より)
NO.283