慈濟傳播人文志業基金會
就学支援 一人も欠けることなく
台湾 弱者世帯へ
 
八百校余りの学校に赴き、コロナ禍の影響を受けた学生の家庭を訪ね、経済面と物質面で支援すると共に心に寄り添うことで、子供たちが安心して就学できるようにしている。
 
中学校に通う宏君(仮名‥ホン君)のお父さんはガソリンスタンドのパート従業員で、おばあちゃんは土産物の路上販売をしている。今年の二月以来、観光客が急減したことでおばあちゃんの売り上げも激減した。これまでの収入で一家は辛うじて暮らしていたが、今の生活はもっと厳しくなっている。
 
春節が明けると南投の古参ボランティア曾彩琴(ツン・ツァイチン)さんは他のボランティアたちと一緒に集集、竹山、鹿谷などを訪問した。二月に九二一希望工程(台湾中部大地震で倒壊した学校を再建したプロジェクト)で建てられた集集中学校を訪れた時、曾さんは直ぐに教務主任の陳恵娟(チェン・フェイジュエン)さんが自分の教え子だと分かった。二人は再会を喜び合い、安堵した。
 
「慈済は経済的な支援だけでなく、多方面から必要なことを支援してくれています」。陳主任は慈済の「安心就学」計画を知って、その成果を楽しみにしていた。申請登録チームから情報をもらい、各学級の先生たちの協力で案件を報告してもらった。宏君もその中の一人だった。
 
中部地区のボランティアは長期にわたって「安心就学」という企画を推進してきたが、コロナ禍による経済的影響を受けた家庭の子供の就学に影響がでないよう、今年、ボランティアは範囲を拡大して各学校に赴き、弱者世帯の子供たちがこの難関を越せるよう支援の手を差し伸べている。
 
過去の訪問ケアの経験で、ボランティアは特別に隔世養育、ひとり親、外国籍配偶者及び低中所得者層の家庭状況に注意を払っている。集集中学校の担任教師から報告があったもう一人の例である、烈君(仮名‥リエ君)の場合は、父親と祖父母と同居していたが、半年前に父親がガンと診断され、定期的に病院で治療を受けるために働くことができなくなった。今は祖父母の年金で生活している。
 
「緊急支援金はまるで干ばつの大地に降った雨のようなものです。しかし、特殊な事情のある家庭にとっては、その支援の効果は限られています」と高君怡(ガオ・ジュンイー)先生が言った。宏君や烈君のような弱者世帯では経済的な困難は続くため、一回切りの緊急支援では根本から解決することは難しい。いつも子供の就学問題に関心を持っている高先生は、日頃から様々な就学支援制度の申請機会に留意している。「慈済ボランティアは直接家庭を訪れて適時に支援してくれます。子供たちにチャンスがまた一つ増えました」と彼女は感動して言った。
 
高君怡先生からの報告を受け取った後、慈済は直ぐにこれら学生の家庭を訪問した。そして烈君一家を長期ケア世帯に登録し、毎月金銭的な支援をすることになった。しかし宏君の家族は「この困難はなんとか乗り越えます」とお礼を言って断った。曾さんは学校側とその家族に、将来もし生活に困ったり支援を必要とするようになった時は、いつでも遠慮なく報告してもらえれば、直ぐに駆けつけます、と言った。
 
●慈済ボランティアは、台湾中部の800校余りの学校に赴いて、コロナ禍の影響を受けた弱者世帯の子供たちを支援している。台中市の東興小学校でボランティアは「安心就学」計画には定員制限はなく、家庭訪問してから、学生の事情に合わせて支援を行うものであることを説明した。 (撮影・劉淑媛)

多方面からの寄り添い、家庭に合わせたケアをする

二〇〇八年の世界金融危機の時、多くの企業や商店が不況の煽りを受け、世界各地からのオーダーが途絶えたことで、従業員に対して「無給休暇」を実施したため、子供の学費が負担できなくなった。その翌年、慈済は「安心就学」という企画を推進し、各地域の慈済教師懇親会の先生と訪問ケアボランティアが積極的に各学校を訪問した。北部と中部地区だけで千校以上に足を運び、学校と協力して生活が困窮している家庭に実質的な必要に応じて支援した。
 
今回、新型コロナウイルスが猛威を振るっている時、「安心就学」計画は殊更に重要になっている。六月中旬までに台中、彰化、南投などの地域で、慈済ボランティアと社会福祉人員は計八百十八校の学校を訪れ、各学校からコロナ禍の影響で経済的な困難に陥った家庭、三百七十件の報告が寄せられた。ボランティアが観察したところ、多くの隔世養育家庭やひとり親の家庭は経済的に行き詰まっても、その大半が社会資源の協力をどう求めたらよいのかが分かっておらず、また親が仕事で忙しい為に、子供はケアと愛の導きを必要としていることにボランティアは気付いた。
 
曽さんに同行して竹山地域の学校を訪問した慈済台中支部社会福祉人員の魏怡嫣(ウェイ・イーイェン)さんは、今回の「安心就学」計画の調査で、職業高校飲食学科一年生の念ちゃん(仮名‥ニェン)のことが深く印象に残った。
 
毎回クラスで食材費用を集める時、念ちゃんだけ指定の日に払えないことが多かったため、学校側は慈済の「安心就学」計画を知ってから、それに申し込んだ。念ちゃんのお父さんは早くに亡くなり、中国籍のお母さんは介護の仕事をしているが、毎日朝早く出かけて夜遅くに帰り、一人で三人の子供を育てていた。ボランティアたちが訪問した時、お母さんはその好意を断った。毎回、学校の費用を規定の日に払えなくても、自分の力で子供たちを学校に行かせ、一家なんとか暮らしていく、とお母さんが言った。
 
ボランティアたちは、中学、高校、職業学校に通う三人の子供がベッドの上や床の上で勉強したり、本を読んでいるのを見て、勉強に適した環境に欠けていると判断し、この家に勉強机を贈ることを決めた。
 
五月三十一日、ボランティアたちは協力して三つの机を運び込んだ。「家の環境を整えてこそ、勉強はやる気が出るのよ」と三人の子供に言った。子供たちの笑顔を見て、暑い日で汗まみれだったボランティアたちは癒されたが、相変わらずのお節介な性格から一言、「頑張って」と子供たちに言った。
 
「安心就学計画は、ただ就学の支援をするだけではありません」と社会福祉人員の魏さんが強調した。慈済は更にこの企画を通じて学校側と手を携えると同時に、コミュニティに入って深く家庭と係り、子供や家庭が必要としていることに対して、経済的支援で生活物資を届けたり、心の面で寄り添うなど多方面で関心を寄せて、速やかに困窮から脱するよう協力しているのである。

大衆の愛を結集、子供を学校に通わせる 

数百校を訪問して最終的にコロナ禍で影響を受けた子供を何人助けられるか分からないが、ボランティアたちは一人も余すことがないように、まだまだ歩き続けるつもりである。
 
南投の延平小学校を定年退職した、慈済教師懇親会の先生の曾さんは、以前、彼女が教鞭を取っていた時、既に一部の生徒は家庭が貧しい故に、就学が難しかったのを目にしていたため、特に子供が安心して就学できるようにすることに関心を持っていた。今年は防疫第一だが、曾さんはボランティアたちと共にもっと多くの学校を訪れ、弱者家庭の学生を訪問し、大衆の愛を結集することで子供たちを「学校に通わせ」、教育を通して人生が変わることを期待している。
(慈済月刊六四四期より)
 
NO.285