慈濟傳播人文志業基金會
互いに支え合い、共に生きる
新型コロナウイルスはいまだ国際社会で猛威を振るっており、世界の感染者と亡くなった人の数は記録を塗り替えている。八月初旬、比較的安全な台湾でも、再び感染経路不明のケースが現れ、流行の第二波ではないかと心配された。
 
海外渡航ができない状況下で、国民は国内観光地に詰めかけ、どこも人で溢れ返った。政府は再三、民衆に警戒を呼びかけ、こまめに手を洗い、公共の場所や人が集まる場所ではマスクを着用するよう強く促した。全国民が着実に「防疫新生活」を実施することは逃れられない責任なのである。
 
パンデミックが起きてから、人類が行動を反省する動きが見られるようになった。例えば「ニューヨーク・タイムズ」の副編集長デビッド・ウォレス・ウェルズ氏は著書「地球に住めなくなる日」の中で、「過度の経済発展により生態バランスが崩れ、地球温暖化が原因の災害が逆に経済に打撃を与えている。南極の万年氷が溶け始め、未知のウイルスが元々あったその防護網をすり抜けて伝染病との境界線が曖昧になる恐れがある」と書いている。ゆえにダーウインが唱えた「生存競争」と法華経の「万物共生」で言えば、時代の趨向に従っているのは後者であろう。
 
各国は感染防止のために国境を封鎖し、大国間の貿易摩擦は加速して世界を分裂の緊張状態に陥れている。国家と貿易市場への普遍的な注目に対して、経済学者のラグラム・ラジャン氏が著書『第三の支柱』の中で、「地域社会」という考え方を特筆している。三者がバランスを保ってこそ社会の安定がもたらされるのである。健全に機能している地域社会の中では、人々はお互いをよく知って助け合い、綿密で安全なネットワークを形成している。
 
慈済基金会は今年の初め、多数の県と市の政府と「共善合作覚書」を交わした。慈善、防災教育、生態環境保全など各方面の合作を進めることで、地域に対する関心が深まることが期待される。高齢化社会の中で、介護のニーズが増えているが、人と接触する機会を減らすべき感染予防の期間には、更にその安全性を重視する必要があるからだ。
 
今期の特別報道で取り上げられた弱者家庭の家屋の修繕などを含む慈済の慈善奉仕では、一人暮らしの年長者のために手すりや滑り止めを付けている。年長者がそこでの慣れた生活または迷惑を掛けたくない気持ちからその好意を断っても、ボランティアは諦めずに引き続き同意を求め、同意をもらってから工事を完成させるため、両者とも安心することができる。
 
ボランティアのケア対象には警察も含まれる。社会の治安維持のために危険とプレッシャーに向き合っている彼らは、家族の理解を得られないこともあり、そのために自殺することもある。この半年間、在宅隔離者と検疫者の状況把握で、彼らの仕事は負担を増している。今期の特別報道では、ボランティアが定期的に警察官に血圧測定を行ううちに互いに気心が知れ、彼らの家族にまでケアの範囲を広めていることを紹介している。そこから多くの警察とその家族が生活領域を一歩踏み出してボランティア奉仕に参加したり、警察へのケアに投入するようになった。
 
新型コロナウイルスによる感染症は人々に不安をもたらしているが、私たちは互いに支え合って共に生きるという人の情を目にした。互いの支え合いと関心があってこそ、無形の防護ネットが生まれ、危険を無事に乗り越えられるのだ。
(慈済月刊六四六期より)
NO.287