慈濟傳播人文志業基金會
野菜だけでは栄養不良になる?
専門家が答える
 
菜食することで栄養不良になることはない。
もし食材の選び方や適量が分からなかったり、
調理し過ぎれば、たとえ肉食主義者でも栄養不良になる場合がある。
 
 
英語の諺「You are what you eat.」を訳すと、「あなたはあなたの食べているものでできている」となる。人と食べ物は昔から切っても切れない関係にあり、食習慣は自分の健康状態と深く関わっている。
 
美食天国と称される台湾では、伝統料理から手軽に食べられる屋台料理まで、至る所で目にすることができる。そのため健康に良いと言う理由から、「菜食」を選ぶ人も少なくない。しかし台湾では、一般的に「健康」だと言われている菜食に、栄養不良或いは体脂肪が多くなるのではないかという別の疑問が派生している。
 
このことに対して、台北慈済病院の管理栄養士である李盈瑩(リー・インイン)さんによると、「ベジタリアンは栄養不良になる」というのはよくある間違った考えであり、それは「満腹感がない」、「体力が足りない」、「子供の発育に悪い」などの問題を「栄養不良」と片付けているのである。しかし、私たちは毎日の食事で摂取するご飯と野菜、果物、タンパク質の量と調理方法を見直すことを忘れがちになり、結果としてこのような誤った考え方が広まっている。
 
李さんは、「菜食は同様に栄養バランスがしっかりしている食事であり、肉や魚を食する人との最大の違いは、タンパク質の来源が異なるというだけです」と続けた。人体組織の構成に重要な成分の一つは「タンパク質」であり、髪の毛、骨、筋肉、神経、皮膚など全てがタンパク質から構成されており、三食で充分な量を摂取する必要がある。もしタンパク質の摂取量が少ないと、身体が痩せて、体力や気力も不足してしまう。
 
一般的にタンパク質を補充する際にすぐ頭に思い浮かぶのが、卵、肉類又は乳製品で、おかずに肉がないと、栄養不良になるような気がする。動物性タンパク質だけでなく、「五穀類」や「豆類」からでも同じようにタンパク質を摂ることができる。「もちろん食品それぞれのタンパク質に含まれるアミノ酸の量に違いはありますが、それは補うことができるので、栄養不良になることはありません」と李さんは言う。
 
菜食だとどうしても「満腹感がない」、「体力不足になる」と感じるものだが、「もし、その人の年齢と体型、活動量に合った量のタンパク質に、炭水化物などの栄養素を組み合わせれば、バランスの取れた食事になります」。菜食自体で栄養不良になることはない、と彼女は改めて強調した。もし、一般の人がどのような食べ物をどのくらいの量を摂ればいいか、調理しすぎていないかが分からないのなら、たとえ肉食主義者でも栄養不良になりかねないのだ。
 
新鮮な食材そのものを食べれば、五穀と野菜、果物だけで十分な栄養が取れる。

偏った食生活は調整することができる

菜食をする上で特に注意しなくてはならないのは、ビタミンB12の摂取である。動物性の食べ物でしか摂れないビタミンB12は、ラクトオボベジタリアンの場合卵と乳製品から補うことはできるが、ビーガンは卵や乳製品さえ摂らないので、その栄養素を得るのは容易ではない。
 
「私たちの体が必要とするビタミンB12の量は多くはありませんが、長期的に不足すると健康に影響が出てきます」。李さんはビーガンからの質問に答えて、時々ビタミンB12を含んだ栄養サプリメントを飲むこと、ビタミンB12を添加した食物を摂ることを勧めている。
 
また、菜食だと「カルシウム不足」に陥りやすいと思われているが、実は豆腐、黒ごま、きくらげ、イチジク、芋づる、からし菜など色の濃い野菜から十分な量のカルシウムを摂取することができると彼女は言う。大事なことは、適度な日光に当たることであり、身体がビタミンDを作ることで、摂取したカルシウムは効率よく吸収されるのである。
 
ベジタリアンの問題でもう一つよく言われるのは「栄養過多」である。李さんによれば、栄養過多というのは、肥満と体脂肪率が多すぎる症状である。
 
「ベジタリアンが空腹を感じる時、手軽さから無意識の内にパンやクッキーなどを食べて澱粉を過剰に摂取しています。また外食では、油分が多すぎる場合があります。例えば、ナスは変色を防ぐために大量の油で炒めたり、豆腐干を揚げたりして美味しく仕上げています」。このような食事だと澱粉や油の摂取比率が高くなって、栄養過多になりやすいと言う。「もし調理法に注意しないと、健康のために菜食を選んだ初心が失われてしまいます」。
 
バランス良く食べることは簡単
▲参考:衛生福利部国民健康署 「私の食卓」より
毎食のたんぱく質や野菜、果物の量は、手のひらや握り拳で量れば、足りているかどうか確かめることができる。
▲参考:私の健康ベジタリアンプラン
自分の身長、体重、年齢と活動量に応じて、
オンラインで一日の摂取量の目安を教えてくれる。
参考資料:国民健康署・台湾菜食栄養学会

肉食と菜食を客観的に比較してみる

二〇一八年に上演されたドキュメンタリー映画「ゲームチェンジャー」は、菜食が健康と運動の面で体に良い効果をもたらすと表現したことから話題になり、野菜中心の食事を試してみようと思う人が増えた。ただ一部の人からは「植物性のタンパク質だけを摂取した場合、ジムでトレーニングした効果は減少しないのか」という疑問が寄せられた。
 
筋持久力トレーニングに必要な炭水化物、又は筋力トレーニングが重視する「蛋白質」の摂取について、李さんは、菜食がトレーニングの効果に影響を及ぼすことはないと言う。「客観的に言うと、動物性でも植物性であっても、摂取するタンパク質の量が体のニーズに合っていれば、フィットネス効果は得られるのです」。
 
李さんはさらに詳しく説明した。健康に良くない調理方法を避けることが出来れば、菜食は肉中心の食事に比べて、その食材に含まれる脂肪分が少なく、植物性たんぱく質は筋肉量を増やすと同時に、食物繊維と抗酸化作用のある成分を多く含むことから、胃腸の健康、筋肉の修復を促進し、細胞の損傷を抑えるため、動物性蛋白質より優れていると言える。
 
植物性蛋白質は慢性疾患患者の食事に於いても同じように良い効果が見られる。台北慈済病院を例に挙げて李さんは説明した。食事は全て菜食であり、高血圧、糖尿病等の慢性疾患の患者の治療食は、肉や魚を含む食事と同じ考え方で作られているそうだ。糖尿病患者の食事では、デンプンの比率を下げて血糖値が急激に変化しないようにしている。「野菜中心の食事は、穀物類や野菜のGI値(血糖値の上昇率を表す指標)が相対的に低く、また野菜や果物に含まれている抗酸化成分とセルロースは満腹感を維持してくれます。患者にとってより健康的な食生活だと言えます」。
 
慢性疾患の中でも、腎臓を患っている患者は蛋白質の摂取量を制限する必要があり、管理栄養士は良質な蛋白質である豆腐、豆腐干など大豆製品を中心にして献立を作り、小豆や緑豆など蛋白質が少ない代わりにリンやカリウムを多く含む食材はできるだけ避けるようにしている。彼女によれば、慢性疾患患者は、退院してからどのように三食を準備してよいか分からないため、こう提案している、「まず、病院で提供されている菜食メニューを真似てみてください。そして、病院内では栄養に関する指導を行っています。個人の食習慣に合わせながら調整し、食について基本的に学べるようサポートしています」。
 
また、李さんの経験によると、年齢が上がるにつれ多くの年長者は咀嚼力が衰えるので、自然と肉を食べることが少なくなるが、従来の「肉は健康に良い」という考え方が根強く、肉を食べないと身体が弱っていくことを心配する。李さんによれば、年長者は筋肉の衰えが早く、消化吸収も悪いため、たんぱく質の摂取を多くする必要がある。しかし、何よりも重要なのは「バランスの取れた食事」を心がけることである。穀類、豆類、果物、野菜、健康的な脂肪の摂取を心がけ、加工食品は極力避ける。年長者にとって、動物性蛋白質は脂肪が多すぎるため、野菜中心にすることで胃腸への負担が軽くなる。
 
「単純に食材を見ると、研究結果にもあるように、牛、羊、豚等の赤身の肉には脂肪が多く含まれていますが、世界保健機関の国際がん研究所は、赤身の肉は癌を誘発する恐れがあると発表しました」。李さんの説明によると、市場に出回っている一部の肉製品は、見栄えを良くするために硝酸塩や亜硝酸塩を使って肉の色と新鮮さを保とうとしている。また、ソーセージ、ハム、ジャーキーなど加工された肉製品は、高温調理の過程で蛋白質が変化してしまっている。「多くの研究結果から見て、動物性蛋白質中心の食事はあまり勧められません。もし、日々の食事を完全に菜食にすることができない場合は、赤身の肉を少なくし、加工食品も出来るだけ食べないようにすることです」。
 
簡守信 (台中慈済病院院長):
人類は犬や猫と触れ合う機会が多く、愛着を感じれば、その肉を食べることをためらう。その実、霊を含めた全ての生物には感情がある。私たちは肉を食べないと生きていけないわけではない。野菜には豊富なアミノ酸やたんぱく質があり、ベジタリアンだからと言って、身体に悪い影響が出る、と心配する必要はない。

自分に最高のプレゼント

 「管理栄養士として、個人の飲食の選択は尊重しますが、やはり人々が野菜中心の食事をとるよう願っています。また野菜や果物を十分に摂ると、癌や慢性疾患への予防効果があるという多くの研究結果が発表されています」。李盈瑩さんは再度、動物性蛋白質の代わりに植物性蛋白質を摂れば、油や脂肪の摂取を減らすことができるだけでなく、栄養過多の状態を改善し、肉類に含まれている成長ホルモン、抗生物質などの摂取が減り、子供の早熟などが避けられる、と強調した。また外食での加工食品や油、塩分を多く使った料理は、将来、健康上の時限爆弾になる可能性があるのだ。
 
正しい飲食と十分な栄養の摂取は、肉食でなければならないことはない。体に吸収されたものは全て健康状態に反映されるため、身体に負担がかかる食材を減らし、食習慣を見直すことが自分の体に一番良いプレゼントになる。
 (慈済月刊六四七期より)
NO.288