慈濟傳播人文志業基金會
自分への挑戦 チームが付きそう
濃い味を欲する欲望から遠ざかり、多めに水を飲み、
糖分のある飲み物を避けて運動する。
これは全植物性飲食にして
自分を鍛錬するチャレンジであるだけでなく、
それ以上に、人同士が寄り添い、
互いに励まし合って堅持する過程なのである。
㊟「全植物食飲食」とは、単なる菜食やビーガンのことではなく、
精製や加工を一切していない植物の食生活のこと。
 
毎日昼と夕方、「健康チャレンジ21」に参加している人は、決まった場所で弁当を受け取る。
 
会社勤めをしている林さんは、パン類と揚げ物が好きで、ずっとコレステロール値が高く、家族は遺伝だと言ってあまり気にしなかった。「薬を飲み続けるのは嫌ですが、健康でありたい。やらなければならない事がたくさんあるからです」と彼女が言った。もう一人の乳がんを患っている上に胃腸も悪い女性は、中性脂肪値がいつも高く、長期間薬を服用して抑える必要がある。また、建築業に従事する六十歳の沈さんは、社会に出てから付き合いの場で喫煙して酒を飲むことが多いため、中性脂肪値がびっくりするほど高い。
 
彼らは「もっと健康でありたい」と思っていた。そこに高雄慈済ボランティアの誘いがあり、「健康チャレンジ21」に参加した。その期間中、飲食は全植物性飲食に限られ、少なめの油、塩、砂糖だけを使い、加工食品と卵、乳製品は禁じられた。
 
参加した大部分の人たちは、初めは「味が薄すぎて慣れない」と異口同音に言っていたが、僅か一週間で、多くの人が体に起きた変化に驚いた。「夜は寝付きが良くなった」、「疲れにくくなった」、「体力が増した」などだ。このようにプラスの印象を持ったことが、このまま続ける原動力になった。

良い反応が出た食事

二十一日後、参加者の多くにオーバーしていた数値の改善が見られ、正常値に戻った人もいた。林さんの悪玉(LDL)コレステロール値が百八十八から百十七の正常値に下がったことを喜び、二回目の「健康チャレンジ21」に参加を申し込むと同時に、次に参加するまでの間、全植物性飲食ができるような、調理済みの食材か簡単に調理できる方法はないか、彼女が尋ねた。
 
以前は肉食だった沈さんは、高血圧、高コレステロール、高血糖の問題があり、長い間、薬でコントロールしていた。長年かかりつけ医をしている高雄慈済人医会メンバーの陳登旺(チェン・ドンワン)医師に勧められて、今回のチャレンジに参加した。活動後の血液検査で、千八百余りだった中性脂肪値が七百四十余りに下がっていた。「こんなことがあるのか?」と彼は驚き、次回の活動にも参加することにした。
 
血液検査を手伝った検査技師の荘章全(チュアン・ジャンチュエン)さんも驚かされた一人だ。六十歳の沈さんは、以前は少ししゃがむと息が荒くなり、白髪が日に日に増え、皮膚には老人斑が現れて、爪がザラザラになっていた。「活動に参加していた二十一日の間、精神的にも胃腸の状態も非常に快適で、頭のてっぺんから足の先、皮膚の隅々までも調子が良いと感じました」。
 

高雄の慈済ボランティアが結成した「健康チャレンジ21」の運営チームは、毎期の活動が行われる前に栄養士と共に弁当を試食し、盛り付けや味、栄養について討論する。
 
荘さんによると、「彼は白髪が減って黒髪が増え、体重は三キロ減り、体力も大幅に増強しました。また、日々の排便も順調になり、皮膚の斑点が薄くなって、爪も滑らかになり、つやが出てきました」。
彼があらゆる加工食品を食べなくなり、調味料を少なくしたことは家族にも影響を与えた。家族は「健康チャレンジ21」には参加していないが、彼と同じようにあっさりした食事をするようになり、妻は二キロ痩せ、子供たちの健康も多少改善された。
 
多くの参加者の前向きなフィードバックは、ボランティアチームに自信を与え、続けさせる力となっている。彼らはレストランと慈済人医会の医師、栄養士たちと一緒に、異なる食材の比例を調整し、毎日の参加者との意見交換を通して、一人一人の食事の状況や体の変化を把握している。
 
この活動は、互いに関心を持って、全植物性飲食で心身の健康を鍛えるものであり、濃い味に対する欲望を抑え、糖分のある飲み物を止めて水を多く飲み、よく運動をすることで、より健康になろうとチャレンジするものである。

運動は不可欠

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、生活習慣病を含む慢性疾患患者は、一旦感染すると重症化しやすい高リスク群であるという統計データがある。それに、二〇二〇年台湾十大死因の統計を見ると、半分以上が慢性疾患を患っており、特に心臓と脳血管疾患、糖尿病、高血圧など、飲食習慣がその原因の一つであるものが多い。
 
高雄のボランティアの歐于菁(オウ・ユージン)さんは、マレーシアのボランティアが「健康チャレンジ21」活動を紹介するのを聞いた。それは二十一日間の全植物性飲食を続け、挑戦前と後に採血して、健康診断の数値に変化があったかどうかを検証するものだった。医師によると「私は二十年間医師をしていますが、こんなに多くの人が短期間のうちに、健康診断の数値が全面的に健康に向かっているのを見たのは初めてです」。歐さんはこの活動に興味を持ち、行動に移して、飲食管理チーム、寄り添いチーム、運営チーム、医療チーム、イベント活動チーム、ポスター宣伝チーム、調整チーム、人文記録チームなどに係を分けた。
 
歐さんとボランティアチームメンバーの蔡雅純(ツァイ・ヤーチュン)さんは、栄養士と一緒に長期的に協力して菜食を勧めている中華と和食、インド料理の各菜食レストランと、弁当作りについて意見を交換した。今では、月曜日から金曜日までの昼と夜、二食の弁当を参加者に提供している。第一期目の活動を開始する前、栄養のバランスを確認するだけでなく、惣菜の味を確かめるために、二回繰り返して試食を行なった。
 
弁当には化学調味料は使わず、天然の食材で味付けするため、レストランにとって大きな試練となったほか、歐さんにとってシェフたちとの意思疎通も難題だった。「感動したのは、シェフたちがSNSであらゆる質問に答えていたことです」。多くの「困難」と「挑戦」は、一つ一つ克服していけば解決できるのである。
 

 
高雄のボランティア・蔡雅純さんと林維揚さんはオンライン画面を通して、如何にして化学調味料を使わずに天然食材だけで、多様な朝食を作ることができるかを、参加者と分かち合った。(撮影・王瑾)
 
全植物性飲食は、毎食の全粒穀物とタンパク質、野菜、果物がそれぞれ四分の一になるようにするが、野菜が果物より多くても構わない。気温が高いと果物の新鮮度を保つのが難しいので、弁当は野菜と果物を合わせて二分の一にし、果物は参加者自身で用意してもらっている、と歐さんが説明した。食材を検査する飲食管理チームの黃美樺(ホワン・メイホア)栄養士は、始まりの頃のチームは要求がとても厳しかったと話す。「私たちは秤でそれぞれの野菜の重さを測り、栄養成分が標準に達しているかどうかを計算していました」と言った。しかし、毎日の弁当の数がとても多く、レストラン側も食材の比率が何度も修正されることに対応できず、最終的には食材の体積を見て、それぞれの割合が範囲を超えているかどうかを判断することにした。
 
弁当以外に、朝食は如何にして規範を守るか?イベント活動チームボランティアの王瑾(ワン・ジン)さんは、栄養士が早朝に朝食レシピを参加者に配信し、参加者が朝食に何を食べたかを分かち合うことで、互いに学び合えるようにした、と説明した。一部の参加者は「野菜と豆腐の蒸し物味噌仕立て」、「松本茸炊き込みご飯」、「アボカドと豆腐のスプレッド」など豊富なレシピを分かち合った。
 
弁当の提供がない土曜日と日曜日には、ボランティアが作成した「シェフが我が家に来た」というDVDを使い、レストランが弁当を作る代りに調理済み惣菜と食材の冷凍パックの使い方を教え、参加者が家にいても慌てることなく、自炊できるようにしている。
 
運動もとても重要である。チームは高校の体育教師だった曾英嘉(ズン・インジア)さんを招いて、オンラインで参加者にストレッチのやり方、コアマッスルの鍛え方を分かち合ってもらった。「両腕を広げ、お腹を引っ込める。手で弓を引くように、右左交互に行う」というように、僅か数分間だが、「何回かやってみましたが、いつも汗をかきます」と蔡さんが言った。
 
知識を学ぶ上では、王瑾さんは毎日朝昼晩に、「健康チャレンジ激励カード」と「栄養の知識」、「医学豆知識」 の絵カードを配信し、参加者に「市販のおやつの代りに、天然食材のバナナやリンゴ、赤サツマイモ、枝豆なども食べ応えがある」ことを理解してもらい、「毎日充分に水分を取ることを忘れないでください」と注意を促している。
 
昼と夕方に弁当を食べる時、寄り添いチームボランティアの陳春杏(チェン・チュンシン)さんは、「弁当に慣れましたか?」、「体に何か変化は起きましたか?」と尋ねる。ある人は「二週間で一キロも体重が減った」と言い、「お腹いっぱい食べても眠たくなったり、疲れを感じたりすることなく、とても元気に仕事ができます」という人もいた。「皆さんはクッキーやパン、インスタントラーメンが恋しいのではないでしょうか」と陳さんは時々、参加者をからかう。「食べたいけど、健康のために頑張り通します」と言って笑顔を見せる参加者もいた。
 

咀嚼すれば、味わい深くなる

多くの参加者は元々肉食が習慣になっていて、初めは適応することが難しかった。毎週日曜日の午後に行われるオンライン交流会では、栄養士がどのように食材の成分や出所を識別しているかを皆と分かち合っている。弁当に豆類が入っていて以前より多く摂取しているため、お腹にガスが発生しやすくなっている、という質問が出ると、食物をよく噛んで、唾液に含まれているアミラーゼ(消化酵素)が十分に作用すれば、胃腸も次第に新しい植物繊維に適応するようになり、そのうちに改善できるはずだ、とアメリカ在住の高雄慈済人医会メンバーである邱聖聡(キュウ・ションツォン)医師が説明した。
 
「運動する場合、どのような栄養素を補充すべきでしょうか」という質問には、邱医師が次のように説明した。全植物性の食事は電解質やミネラルが不足することはないが、過度な運動による負荷は体の負担になり、炎症を起こしてしまう。電解質を補充するなら、五百ミリリットルの水に小さじ一杯の天然の海塩を混ぜた水を飲むことを勧めている。市販のスポーツ飲料の多くは天然のものではなく、化学調味料を使っているので勧められないそうだ。
 
消化器内科の謝明裕(シェ・ミンユー)医師はいつも、甘い物や市販の飲み物、果物を好む参加者に言っている。「塩分をとらないと生きていけませんが、甘い物を食べなくても死ぬことはありません」。多くの揚げ物類や加工食品には人工脂肪が含まれており、食べたくなる癖がつき、体の負担になって脂肪肝になりやすい。地元で取れる旬の野菜は天然の甘さがあり、過当に味付けしなくてもよい。全粒粉パンは、よく噛めば食材その物を味わうことができる、と勧めている。
 
多くの参加者は前向きのフィードバックをしている。高雄ボランティアチームは引き続き次の活動を企画し、品質管理チームメンバーとレストランのシェフ、栄養士たちが一緒に弁当を試食している。
 
変わることは少しも難しくない。「正しい食べ物を選べば、体に極めて大きな影響力が発揮できると信じてください」と蔡さんが言った。
 
夏以降、「健康チャレンジ21」活動は高雄で二回行われた。ボランティアチームは引き続き次の活動を企画している。参加したことがある人の申し込みも歓迎だが、まだの人にもこの活動を体験してもらいたい。高雄は台湾全土で初めてこのチャレンジ型イベントを発起した場所であり、花蓮、新竹及び嘉義の慈済クリニックなどでも、相次いで行われている。
 
「自分の健康に対して『異常なし』と太鼓判を捺し、どんな病気も怖くない、と言える人はいないと思います」と歐さんが言った。もし全植物性飲食が人を健康にできるなら、誰でも試してみようと思うはずだ。菜食と健康の改善は相反することではない。二十一日間のチャレンジは単なる「きっかけ」である。一度自分にこのようなチャンスを与え、もっと健康になる可能性を実現させてみようではないか。
(慈済月刊六五九期より)
NO.300