慈濟傳播人文志業基金會
ソフィアンの成功創業記
五回も台湾の花蓮慈済病院で腫瘍の治療を受けたことがあるソフィアンさんは、今ではすでに家庭を持って独立している。妻の支持のもとに、視覚障害者向けのコンピューター塾を開き、専門知識を生かして人のために希望の明かりを灯している。
 
「これは視覚障害者たちが普段使っているスクリーンリーダープログラムです。もし二〇二一年ポケット版のダウンロード方法を知りたければ、動画を最後までご覧ください」。ソフィアンさんは、自ら開設したチャンネルに動画をアップロードする準備をしていた。
 
テーマの絞り込みから、録音、録画、テロップ入れ、動画のアップロードまで、ほとんど目の見えない彼が如何にして一人で完成させたのか、想像し難い。彼が運営している「Dunia Netra(視覚障害者の世界)」というチャンネルは、今年一月に運営を始め、八カ月で二千百人を超えるフォロワーがいる。実に素晴らしい。
 
●自分のYouTubeチャンネルの動画を更新するソフィアンさん。今年1月に運営を始めたが、既に2千人余りのフォロワーがいる。

視覚障害者にパソコンを教える

ソフィアンさんは幼児期に「線維性骨異形成症」を患い、右の顔面にできた十五センチの大きな腫瘍に圧迫されて、右眼が酷く突出し、両眼とも視力に影響が出た。十五歳の時、インドネシアの慈済ボランティアが施療の際に彼の病気を発見し、二〇〇五年から多数回にわたって、台湾の花蓮慈済病院で治療することを支援した。
 
ソフィアンさんは僅かな視力しかなくても、勉強が好きで、自分の潜在能力を探り続け、努力によって自立した生活ができることを望んだ。今年三十四歳になるが、かつては銀行のセールスマン、国営の海運会社の仕事、小さな商売をしたこともあった。
 
北ジャカルタに住んでいた時は、南ジャカルタのミトラネトラ盲人基金会で学習するために、何回もバスを乗り継がなければならなかったが、堅持し続けた。「パソコンが使えるようになれば、仕事を見つけ、大学に行くこともできるのです。私が学んだ知識は視覚障害者にとって非常に重要なもので、彼らにも学習の場所を提供しようと考えています」。
 
二〇一八年、ジャカルタにあるインドラプラスタPGRI大学(Universitas Indraprasta)の心理カウンセリング学科を卒業したソフィアンさんは、チェンカレン慈済大愛一村で視覚障害者のためのパソコン教室、「希望の灯」を立ち上げ、視覚障害者用パソコンで各種文書ソフトの使い方を教えている。希望者がとても多いので、幼稚園、小学校、中学校のクラスも増やし、妻のアナワティーさんも授業を手伝っている。
 
昨年、新型コロナウイルス感染症が出現すると、塾の学生数が急減し、元来五十名いたクラスが、今は五名しか残っていない。「パラシュートで飛び降りたように、いなくなってしまいました。急に暇な時間が多くなったので、何をしたらいいかを考えています」と彼は笑って言った。
 
彼はネット教室を試み、インドネシア政府通信部(Kominfo)の協力プロジェクトを通じて、インドネシア東部、スマトラ島、バリ島の視覚障害者が受講できるようになった。オンラインで授業する時、学生たちが既に彼のことを知っていると気がついた。学生は皆、ソフィアンさんのユーチューブチャンネルのフォロワーだったのだ。
 
ソフィアンさんは最初、ユーチューブチャンネルを使って授業データを保存するだけのつもりだったが、思いも寄らず、アップロードした動画に対して多くの好評を得た。今では定期的に受講する人が十人いる。中部ジャワ州のペカロンガン市に住むファイジンさんは、スプレッドシートの作成を勉強している。「ソフィアン先生は分かりやすい言葉で説明してくれるので、楽しく面白く授業を受けています。私たちは時には話をしたり笑ったりしています」。
 
●ソフィアンさんは視覚障害者のためにパソコン教室を経営している。妻もよく授業を手伝っている。

障害とは実は踏み台

ソフィアンさんの精神力には感服させられる。幼少期、両親は彼のために財産をはたいて積極的に病院に連れて行き、二回手術したが、病気はなかなか好転しなかった。台湾で治療を受けるチャンスもあったが、言葉が通じないという悩みと心配もあった。腫瘍が再発する度に手術を受け、視力は回復したが、また次第に失われていった。辛い経験をしてきた彼は、「私は見えませんが、周りの人の愛は感じます」と言った。彼は夢を捨てなかった。いつの日にか専門知識でもって人助けをしたい。
 
「私には座右の銘があります。体の障害をつまずく石ではなく、明るい未来へのかけ橋になる踏み台にするのです」。彼は自分の座右の銘が他の心身障害者の励ましにもなることを期待している。今、自分の現状を受け入れることがとても大切で、心を調整してこそ、新しい生活を平穏に暮らすことができるのだ、と言った。
 
常に寄り添ってくれているボランティアの梁国瑞(リャン・グオルイ)さんは、ソフィアンさんの前向きな考えと、学習し続ける精神を大いに褒めている。「ソフィアンさんは本当に立派です。もっと多くの若者が彼と同じような向上心を持てば、インドネシアは一層繁栄し、進歩すると信じています」。
 
ソフィアンさんは、慈済と證厳法師が彼と家族に対して良くしてくれたことを永遠に心に銘記している、とボランティアに語った。彼は十五歳から十一年間に何度も台湾へ来て、花蓮慈済病院で手術を受けた。ボランティアは今に至っても家族のように親切に寄り添ってくれている。「信念を堅く持つようにと生前の父に励まされました。多くの人が支えてくれているから、自分の可能性を證明したいのです」。
 
ソフィアンさんは、證厳法師に会ってとても感動した年のことを振り返った。「證厳法師は『あなたに見える世界は真っ暗闇かもしれませんが、心を明るく保たなければいけせん』と諭されました。私はその言葉を永遠に心に銘記しています」。
(慈済月刊六六〇期より)
NO.304