慈濟傳播人文志業基金會
タンポポの力
慈済(ツーチー)は昨年、冬を迎えた頃から各地で地域歳末祝福会を行ってきたが、新芽奨学金認定授与式も、それぞれの地域で開催された。多くのケア世帯の子供が、優秀な成績やその他の各方面で表彰を受けた。
 
その中で注目を浴びていたのが花蓮の「マカパハイ子ども団」である。彼らはクリスマスの前夜に集まり、花蓮慈済本部・社会福祉チームの付き添いの下にカードに願い事を書き、クリスマスツリーの一番上の「希望の星」を囲むように吊るした。
 
今月の主題報道の主人公は、その「マカパハイ子ども団」である。慈済花蓮本部の子どもエンパワーメントプロジェクトの一項目として、二〇一九年に活動が始まった。主な団員は慈済長期ケア世帯の子供たちで、合唱などの多元的学習を通して、学業以外の面で自我を高める機会を与えている。
 
教育は常に貧困を覆す踏み台とみなされているが、それは慈済慈善事業の中で長期にわたって注目されてきた主題でもある。貧富の格差の広がりは、ここ二十年来のグローバル化と社会の変化に伴って顕著になっているが、生活の困窮からやむを得ず海外へ出稼ぎに行くこともその一例である。この二年間、コロナ禍で経済が打撃を受けたことで、中低所得者が増え続けている。
 
貧困家庭の子供たちは、教育面で十分な支援が得られないために中途退学を選ぶなど、学業が継続できなくなり、将来の生計も制限を受けることになる。中産階級の家庭と比較して、そのような家庭の次世代は将来への夢を描けないと同時に、社会資源との繋がりが薄いため、孤立によって傷つくことになる。
 
成績が優秀であっても、家庭の負担を増やすまいとして、より良い学習機会を放棄する子供もおり、皆と異なることを感じて、劣等感を感じかねない。また、家庭が困難な状況にあっても、両親を心配して、施設への入所といった社会福祉機構の手配を受け入れたくない子供もいる。
 
社会的価値観として学歴至上主義の考え方が根強い中で、私たちは、このような子供たちが自分の潜在能力を発展できるよう、導くことはできるのだろうか?それにはまず、成長過程において、彼らは自分が「愛されている」感覚を享受すべきである。そうすれば、貧しい環境の中にいるように見えても、自分の価値観に一層の磨きをかけ、人生の方向を如何に掌握するかを知ることができるはずである。
 
「マカパハイ子ども団」の合唱指導をしている陳嬥笙(チェン・ティアオション)先生の教えの下に、子供たちは歌う楽しさだけでなく、その中から自律や受容、包容を学んでいる。団体行動の中から子供たちは愛されていると共に重視されていることを感じ、徐々に心を開いている。この交流の過程は感動的であり、人々に啓示も与えてくれる。
 
證厳法師は、よくタンポポに喩えてこう言う。子供は心に愛が満ちていれば、たとえ貧しい環境に生れても、いつか強い新芽を出すことができるものだ。混沌した中にいる子供たちがタンポポのように、不撓不屈の力を発揮してほしい、と願わずにはいられない。
(慈済月刊六六三期より)
NO.304