「撮影は単に思考と現実を交流させるものであるだけでなく、創作芸術でもある」
―アンセル·アダムス(Ansel Adams)
「撮影は微かな声であるが、時には一枚、あるいは一組の写真が、我々の注意を喚起することができる」 ―ユージーン·スミス(W.Eugene Smith)
「撮影は世界で最も簡単なことであるが、、それをまともに見せるには、極めて複雑なことでもある」 ―マーティン·パー(Martin Parr)
シャッターを切るのは簡単である。とりわけ、デジタルカメラが普及している昨今は、カシャッカシャッと押すだけで、あっという間に目の前の全ての風景を小さなメモリーカードに納めてしまう。しかし、撮影が仕事となると、昔のフィルムカメラの技術的問題はさておいて、現在では、限られたシャッターチャンスをどのように活用して、深い意味が映し出された写真を撮れるかが大事だ。その上、その限られた写真をもとに、内容を説明する必要がある。記事の内容と補完し合って効果を上げることもあれば、写真だけが一人歩きしてしまうこともあるため、簡単なことではない。
「慈済月刊」が創刊されて半世紀が経った。文字だけの報道に始まって、その後、取材と共に現場で撮影するようになり、今では取材にプロのカメラマンが同行するのが一般的になった。写真と文字が互いに補完し合うことで、読者に強い印象を与え、想像もしたことのなかった世界へと導いてくれる。
五十周年に当たって、三人のカメラマンに過去を回想してもらうことにした。それは、「慈済月刊」の取材で現場へ行く機会があったからである。三人は、選び出された五十枚の写真について、それぞれのスタイルで語ってくれた。
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