慈濟傳播人文志業基金會
無畏施の菩薩行

盛夏の季節に入ると台湾ではデング熱が全国二十の県と市に蔓延し、九月下旬には感染者が一万二千人を超えた。そのうち九十九パーセント近くが南部の台南、高雄、屏東に集中。患者が最も多い台南の各病院や高齢者施設に課せられた責任は重かった。

防疫専門家はこの一波の患者は十月末までに三万例を超えると推測している。地球の温暖化により、高温多湿の台湾では蚊の媒介による病が例年よりも多く発生している。政府が積極的に防疫を行うほか、民衆が警戒感を高め、専門家による防疫措置に従うことこそが危機を逃れる方法である。

この病気の蔓延は私たちに清潔な環境を維持することの重要性を促している。環境維持は自分の家の周りに限らない。すべての家々は互いに通じているため、細菌、蚊、虫はその機会を伺って拡散する。

八月に台風十三号が台湾を直撃し、台湾北部の烏来が被災し汚泥が積もった。台南の多くの学校では倒れた樹木や葉によって溝がせき止められ、蚊発生の温床になりかねない。慈済はボランティアを動員して清掃に協力した。灼熱の太陽の下、腐臭の泥水の中で流れる汗を拭いながらの作業は、大変な苦労だったが、彼らは大地を清浄に戻すのだと喜んでやっていた。

一般に清掃は賤しい仕事と言われる。しかしながら汚いことも恐れず、忍耐力を要するこの行為は「無畏施」の観世音菩薩行である。《法華経》の中で観世音菩薩を形容して、「恐ろしい救難の中であっても、施無畏(菩薩が衆生の恐れの心を取り除いて救うこと)は、娑婆世界では皆、無畏施者と呼ぶ」とある。衆人が憂い、驚愕している緊急時に身を挺して助け、人心を慰めることは、慈悲菩薩行として命がけでやることである。

この堪忍世界では確かにますます多くの「施無畏者」が必要になっている。新北市八仙楽園で起きた粉塵爆発事故から三カ月が経ち、医療スタッフとボランティアの付き添いが必要とされている。五百人近くの火傷患者の中、現在百人以上が入院治療を受け、そのうちのほとんどがリハビリを始めている。

一人の患者が退院後、火傷の傷痕のひきつれを生じるのを防ぐため圧力服を着なければならないが、しかし堪らないのは痒みで、リハビリをやっても進歩には限りがあると言う。想像するに、これらの若い火傷患者の一秒は一年のように長く、それを日夜見守る家族もこのストレスを受けねばならない。

慈済ボランティアは事件発生後、長期にわたって病院、地域で随時家族の需要に応えている。上人は、たとえ子供たちの皮膚が傷ついても、心まで傷を受けないよう導き、彼らが陽光に向かって歩めるように助けなさいと、言われた。

一人の親が感謝の意を述べていた。台湾の医療チームの精神と技術は国外の専門家も賛美するもので、この期間各界から愛の励ましを受けて私は人性の輝き、また台湾社会を改めて見つめ直したと言った。

台湾社会における「施無畏者」の菩薩行は確かに草の根の最も堅実で温かい力量である。

NO.227