慈濟傳播人文志業基金會
国際的なプラットフォームに繋がり、善がさざ波のように広がった
慈済基金会が万国宗教会議の評議員の一員に
 
二〇二一年より、慈済は「万国宗教会議」の評議員として、地域のニーズに応えるために様々な組織と協力して責務を果たしている。長年にわたって国際的なプラットフォームの各種チャンネルを通じて、慈善団体との協力によるプロジェクトを進めてきた。それによって慈済の愛は、今まで行き着けなかった所にも到達し、善のさざ波はより遠くに広がっている。
 
年の暮れ、冬本番になった。冬至になると、北半球では最も寒い時期になることを意味している。宜蘭県頭城鎮にある大渓漁港の岸辺には、薄手の半袖シャツと短パン姿の三百人余りの外国人漁師が集まり、慈済がカトリック教台湾カリタス基金会に寄付した防寒物資を受け取るために列を作っていた。
 
漁師はほとんど、インドネシア、フィリピン、ベトナムなど熱帯の国から来ており、台湾に来る前は寒い冬を経験したことがなく、今まで体を冷やさないための長袖の服さえ着たことがなかった。行政院農業委員会の統計によると、台湾には約二万人余りの「海外雇用」の外国人労働者がいる。彼らは家計のために、台湾の漁船で漁業に従事している。私たちの食卓に上る様々な海の幸の大部分は、彼らが苦労して捕獲してきたものである。
 
工場労働者や介護の仕事と比べると、「労働基準法」で保障されていない漁師は給与が低い上に、斡旋仲介業者への手数料を返済しなければならないため、家族に送金することすらろくにできないのだから、防寒服を買う余裕などあるはずがない。
 
冬になると、外国人漁師のために多くの民間団体が防寒服の寄付を募る活動を行なっている。今までの例を見ると、数百ケースを下回ることはなかったが、二〇二〇年は新型コロナウイルス感染症の影響で、物資を募ることがかなり困難だった。そこで、長い間外国人労働者を支援してきたカトリック教台北教区牧霊センターは、所属するカトリック教台湾カリタス基金会を通じて慈済に支援を申し入れた。こうして慈済による防寒着や物資の寄付が、外国人漁師へ向けて行われることになった。
 
●2018年、万国宗教会議がカナダのトロントで開催された。慈済はサブフォーラムでプレゼンテーションを行い、慈済が気候変動問題に対して、どのように実質的な環境保全活動をしているかを報告し、実例が理念を実証していることに、参加者が肯定した。(撮影・梁延康)

信仰が違っても、共同で善行する

寄贈式典は台北のセントクリストファーズ教会で行われた。慈済基金会は三百枚の特厚毛布、二千枚のマフラー、二千足の厚手靴下、二千個の毛糸の帽子、九百二十五枚のジャケット、二セットの多機能折り畳み式ベッド(福慧ベッド)及び薄手の毛布を提供した。多くの慈済ボランティアと外国人労働者や留学生が出席する中、当教会のエドワード・パキング神父は、カトリック台北総教区を代表して、慈済基金会の顔博文CEOに感謝状を手渡し、慈済がカトリック教と協力して、台湾で苦労して働いている外国人漁師に関心を寄せていることに感謝した。防寒物資は毎週土曜日、牧霊センターが行う外国人漁師に対するケア活動の時に配付する。
 
寄贈式典の一カ月後、善の輪を広げるために、慈済「国連ワーキングチーム」の責任者である曾慈慧(ゾン・ツーフイ)さんは、クリスマスイブに台湾カリタス基金会の執行長である李玲玲(リー・リンリン)シスターを訪問し、当基金会がケアしている各国で慈済の慈善志業と結合し、宗教を越えた慈善プロジェクトを世界で推進することに更なる期待を寄せた。
 
曾さんは、二年前にバチカンで開催された宗教会議で李玲玲(リー・リンリン)シスターと知り合った。「カリタスは、慈済の慈善行動とよく似ており、方向も同じです。ただ、追随する人と恩恵を与えた対象者が異なっているだけです」。
 
バチカンに属する国際カリタス基金会は、百以上のカトリック慈善団体のメンバーを有しており、長期的に様々な国で慈善活動を行っている。慈済と国際カリタス基金会は、長年にわたって災害支援で協力し、西アフリカのシエラレオネ共和国、メキシコ、アメリカでの食糧配付や貧困救済プロジェクトなどの人道支援で協力してきた。とりわけ、シエラレオネでの慈善と医療の協同支援は七年間続いている。二〇一九年、慈済はバチカンに招待され、フランシスコ教皇と接見すると共に、諸宗教対話評議会で他の宗教団体やNGOと宗教を越えるチームを組んで、慈善活動について意見交換をした。
 
●慈済は2018年、ポーランドで開催された第24回国連気候変動会議に招請された。10回の記者会見を行なって、環境保全と菜食の推進経験を各国の代表と共有した。(写真提供・慈済花蓮本部)

国際プラットフォームのレバレッジ効果

ここ数年、慈済国連ワーキングチームは、積極的に主要な国際プラットフォームでの発言に力を入れている。二〇一〇年から、国連経済社会理事会との特別協議資格のあるNGO(NGO in Special Consultative Status with ECOSOC)として順次、国連信仰諮問委員会や国連環境計画など国際機関の公共会議に参加し続けている。
 
二〇一八年にカナダのトロントで開かれた万国宗教会議の開会式で、国連報道理事会主席のブルース‧ノッツ氏が、慈済基金会と證厳法師を特別に紹介し、また、法師の法話ビデオを流した。
 
八十カ国から二百以上の団体代表、約一万人が一堂に集まった盛大な式において、慈済はサブフォーラムでプレゼンテーションを行った。慈済の気候変動に対するリサイクル活動の取り組みと、数えきれないほど多くのリサイクルボランティアがなし遂げてきた台湾環境保全の奇跡を紹介した。また会場で、回収したペットボトルによって再生された衣類や帽子、エコ毛布などを展示し、「ゴミが黄金に変わり、黄金が愛に変わる」過程を、一連の環境保全プロセスで紹介した。このように実例で理念を実証したことが参加者に認められ、二〇二〇年十二月には評議員の資格を獲得し、二〇二一年一月に発効した。
 
曾師姐(スージエ)によると、万国宗教会議は宗教を跨ぐ国際的な主要プラットフォームであり、慈済が評議員の資格を得たことは、それが発言のチャンネルとなって、「生きとし生けるものは皆平等」という慈済の理念や地域社会での慈善活動、災害支援活動の現場からの第一報のメッセージをメインプラットフォームで共有できるという希望が持てた。それだけでなく、慈済が世界各地の状況をリアルタイムで知りたい場合に、他の宗教団体の協力を得ていきたいと願っているそうだ。互いに意見を述べ合い、様々な団体の資源を結集することで、各方面から寄せられた善意の寄付金と大愛を、困っている人に確実に届けられるのだ。
 
「慈済人の目が届かない所や行くことができない所で、彼ら宗教パートナーが慈済の目と手になってくれるのです。カトリックやキリスト教との対話が、二〇二一年の最重要課題です」。曾師姐は重ねて、慈済は宗教間の交流に尽力しており、永続的な平和を期待するだけでなく、様々な宗教団体の力を結集して、国連の組織や各国政府にも社会福祉政策で協力し合うよう促していきたいと説明した。
 
また、もし宗教が地域社会のルーツであるなら、宗教団体は政府の後ろ盾のようなものであり、所轄の役所にとって地域社会で活動する際の評価根拠となり得る。「地域のニーズを実際に第一線で奉仕活動に当たっている人が政府に伝え、支援計画ができた後でも、宗教信仰者は問題に直面する可能性があり、それを改善するための提案を行うこともできます」と述べた。
 
新型コロナウイルスのワクチンを例にあげてみよう。アメリカ食品医薬品局(FDA)がワクチン接種を認可した後、多くの人が家の近くの教会やお寺で、「ワクチンの接種はするべきですか?副反応はありませんか?」と質問したり、祈ったりしていた。人間は不確実性と予測不能な未来に直面した時、科学的根拠で納得してもらう以外に、民衆の求める心の慰めと情緒治療としてしばしば宗教という無形の力に頼ることがある。
 
各宗教団体は時事問題に対して、それぞれオペレーションマニュアルと方法を持っている。これらマニュアルをどうやって正しく機能させてコミュニティを導き、人々の健康を守るか。全ての宗教団体が共に努力しなければならないことである。「全員が同じプラットフォームの上で、それぞれの実行やケアの方法、地域社会のニーズに応えている計画を共有するのです。競争ではなく、協力して方法を見出せれば、宗教間の融和が得られるのです」。「万国宗教議会のような宗教を跨ぐプラットフォームで、日頃から評議会の事務を遂行して発信をする必要があります」と曾師姐が強調した。
 
アメリカでの新型コロナウイルスのワクチンの例に戻ってみよう。「ワクチンの接種が始まると、政府は慈善団体や宗教団体に、地域社会の高齢者、立場の弱い人々、女性、子どもの状況や異なる民族のワクチン接種に対する意欲などを尋ねて来ました。コミュニティの反応をフィードバックすることで、政府はワクチンの配分や人力、所用時間をより正確に見積もることができ、少ない労力で倍の効果を上げることができるのです」。
 
豆知識   万国宗教会議
 
1893年にアメリカのシカゴで設立された、世界で最大規模を持つ多元宗教信仰集会であり、宗教間を越えて協力するための重要な国際的プラットフォームでもある。そこではいつでも国連が実施した様々なプロジェクトを見ることができる。
 
現在、議会のメンバーは24名で、議席の期限は1年から3年まである。慈済は2020年初め、2人のメンバーの推薦により、6カ月の審査を経て、同年12月に、3年期限の議席を獲得した。
●2020年の雨季に、アフリカのシエラレオネ共和国の首都フリータウンで水害が発生した。慈済は現地の長年のパートナーと共に、エボラ出血熱の生存者や社会福祉施設に白米、五穀粉、手洗い用バケツなどの物資を届けた。ボンバリ・セーフホームに保護されていた女性が五穀粉をもらって感謝した。(写真提供・曽慈慧)

ネットワークで繋ぎ、タイムリーに支援する

二〇二〇年、新型コロナウイルス感染症が猛威をふるった。今年一月中旬には、世界で確認された感染者数が九千万人を超えた。しかし、スポットライトが当らないところでは、貧困、暴力的紛争、民族や宗教的迫害による難民が、緊急支援を待っている。
 
ところが、二〇二〇年にコロナ禍で分断された状況下では、国を跨いだ支援人力が限られていた。感染者が急増していたインドでは、慈済とインド・カミロ修道会、カリタス基金会など長年現地で支援活動をしてきたNGO組織と協力して、多方面にわたって支援を進めた。その過程で、慈済基金会執行長室に直属する「国連ワーキングチーム」は、国際的なプラットフォームを通じて、複数の組織の力を結集した。
 
曾慈慧師姐はワーキングチームの責任者として次のように述べた。「私たちは、慈済をカリタス基金会とカミロ修道会のネットワークにつなげ、互いに運営の方向性と目標、活動内容を理解するために、架け橋のような役割を果たしています。最も重要なのは、慈済ボランティアの日常的な地域社会での奉仕活動を、主流の国際プラットフォームを通じて、協力相手と積極的に共有することです」。
 
慈済国連ワーキングチームのメンバーは全部で十一人で、アメリカ、ドイツ、マレーシア、タイ、台湾の花蓮にいる。その中で、二〇二〇年四月にチームに加わったばかりの凃君曄(トゥー・ジュンホア)さんは、インドの支援プロジェクトを担当している。インドの五つの宗教組織グループと協力してコミュニケーションを取る過程で、彼女は、宗教間を越えた大愛と信仰の力を目の当たりにした。
 
最も凃さんの心に残ったのは、神の愛の宣教者会(Missionaries of Charity)のシスターたちとの交流である。シスターたちはハイテク製品をあまり使用しないため、二百人を超えた院内には、四台の携帯電話と十台に満たないパソコンがあるだけである。通信が不便で、ファックスもないため、支援物資の通関手続きや通行許可書類などは、シスターたちが携帯電話で写真に撮って送るしかない。また、雨が降ると部屋が暗くなるため、晴れて太陽が出るのを待って、屋外で写真を撮らなくてはならない。連絡を取り合っている花蓮の凃さんはいつも、シスターたちの余りにも簡素な生活に胸を痛めている。
 
「修道院も支援が必要ではないかとシスターたちに聞きましたが、いつも『貧しい人が食べるものなら、私たちも食べます』という答えでした。そのように献身的な奉仕精神は実に仏教とよく似ています。宗教は異なっても、無私の大愛と慈悲心は形となって現れるのです」。インドの多くの組織の聖職者とボランティアたちが梱包と発送をしてくれたお陰で、二〇二〇年十二月末までに、十万世帯余りに支援物資が届けられた。
 
タイに滞在する非合法のために医療が受けられない難民が、長年行われて来た慈済の「タイ難民支援プロジェクト」によって、治療を受けることができるようになった。二〇一四年、タイのアメリカ大使館の難民支援チームは、慈済がマレーシアで行って来た難民に対する施療の成果を知り、難民に医療サービスを提供できると期待して、タイの慈済ボランティアと連絡を取った。同じ頃、アメリカの慈済国連ワーキングチームのスタッフがアメリカ国務省と協力の覚え書きを交わし、共同プロジェクトを始めていた。タイ慈済ボランティアは医療チームを結成して、難民への施療と生活支援を提供し、既に延べ三万一千人余りの難民が恩恵を受けた。
 
●インドでの新型コロナウイルス感染症は深刻で、慈済は現地の宗教団体と連絡を取り、現地に行くことのできない慈済人の代わりに、インド・カミロ修道会、神の愛の宣教者会、チベット仏教寺院の協力を仰ぎ、共同で支援物資の配付を行った。(写真提供・慈済花蓮本会)

世代交代、経験を伝承

「国連ワーキングチーム」は、慈済と外部の協力団体との架け橋となるシンクタンクのようなもので、国際的なプラットフォームやリソースがどこにあって、どうやってそれらを申請するのかを慈済のコアチームに知らせている。「単独で行動するより多くのプロジェクト資金があれば、奉仕支援の項目も増え、より多くの人を助けることができます」と曾師姐は言う。
 
現在、慈済は既に十四の国際的なプラットフォームに参加しており、もしそれらのプラットフォームでより深く、広く協同作業をしようとするなら、この目的を達成するために、より多くの有能な人材を集めなければならない。そこで、ロサンゼルスに定住している曾師姐は、コロナが猛威を振るう中、困難を乗り越えて台湾に戻り、慈済教育志業体と教育事項について話し合った。今までの経験を次世代に伝承し、より多くの若者に参加してもらいたいと考えたのである。
 
もし順調にいけば、「緊急災害訓練」と「リーダーの育成」の二つの課程を立ち上げる計画だ。国際作業プラットフォームに溶け込んだ、慈済の若いボランティア幹部らが、世界で慈済が行ってきた慈善活動の軌跡を共有し、より多くの人が人道支援活動に参加するよう啓発することで、慈悲の行動を途切れさせることなく、永続的に推進させたいと考えている。
 
ボランティア幹部の育成を通じて、「慈善訪問ケアを行う際に、国際的な主流プラットフォームでは何ができるのか」をボランティアに知ってもらい、「緊急災害支援を行う際に、どのようにして国際的な主流プラットフォームと繋げるか」によって、組織全体の運営過程をより効率化させることが曾さんの願いである。
 
将来を見据えて、国連ワーキングチームは、経験を伝承することに加えて、世界宗教プラットフォームで慈済の精神と実践を推進し続け、積極的に国連信仰組織や他の団体と連絡を取り合い、互いに信頼できるパートナーを見つけたいと考えている。
 
地球村になったこの時代では、さまざまな組織や異なる信仰グループが団結し、前向きなエネルギーを伝え、共通の認識と信頼、愛を持ってこそ、国境を越えて交流し、ネットワークを統合することができるのである。そして、愛を包容の行動に変え、善のさざ波を際限なくあらゆる所に広げることができれば、より多くの苦難に喘ぐ人々を支援できるのではないだろうか。
(慈済月刊六五一期より)
NO.295