慈濟傳播人文志業基金會
オンライン学習の「障壁」を取り除く
福を惜しむ「愛」
 
良い仕事をしようとする職人が最初に道具を研ぎ澄ますように、中古コンピューターを各世帯に届けて設置する、ボランティアは「愛」で物の寿命を延ばしている。
子供たちからオンライン学習による「障壁」を取り除き、学習格差を無くしたいがために。
 
新竹の慈済ボランティア・彭瑞芬(右1)さんらは、尖石郷の山間部に赴いて学生のために中古のパソコンを設置し、オンライン学習の状況について関心を寄せた。 (撮影・李侑臻)
慈済に参加して二十年という新竹のボランティア・彭瑞芬(ポン・ルィフェン)さんは、毎月訪問チームと一緒に尖石郷に赴き、海抜約三百〜六百メートルの新楽村と義興村を訪問して、ケア世帯の生活に関心を寄せている。
 
台湾の学校は、五月中旬から深刻化したコロナ禍で、「登校はしないが、授業は続ける」ことになった。学期中はほとんどの学校で、必要とする生徒にタブレットを貸し出すことができた。しかし、一部の生徒はまだ携帯電話でオンライン授業を受けていたり、インターネット接続に問題がある世帯もあった。しかし、夏休みが始まると、タブレットやノートパソコンなどは全て回収された。ボランティアが長い間世話してきた尖石郷の生徒は、普段から宿題を見てくれる親もいない中、サマーキャンプも中止となり、どうやって長期休暇中、学習習慣を維持すればいいのかが問題となった。
 
彭さんは、「学生サポーターのオンライン学習伴走」というコースがあることを知ると直ぐに、ケア世帯の子供たちに紹介した。「彼らはとても興味を持ってくれたのですが、携帯電話の小さな画面で授業を受けている子どもがいると聞き、心が痛みました」。
 
ノートパソコンをどのように手に入れるか考えあぐねていた時、いつも新竹のリサイクルステーションでコンピューターや音響設備を補修していた、ボランティアの劉千徳(リウ・チェンドー)さんのことを思い出した。彼はよく中古パソコンや部品を修理して使えるようにし、夏休みを迎える前には準備を整えて、中古パソコンを修理して待っていた。見た目は古いが、中のハードディスクとソフトウェアは更新してある。新竹の訪問ボランティアチームは、この縁を活かして困っている子どもたちにパソコンを届け、支障なくオンラインで学べるようにした。
 

窓越しに世界を見ると、尖石はさほど遠くない

卒業を間近に控えた中学三年生の鍾君は、母親の健康状態が思わしくなく、六月末には高齢の父親も入院し、親孝行な彼は病院で父親の看病をしていた。彭さんは彼が高校進学の準備をしていることを知っており、勉強を中断しないことが大事だったため、母親と相談した結果、父親の介護者を雇うために経済的な支援を申請することにした。そしてすぐに、「学生サポーターのオンライン学習伴走」に申し込み、同年齢の学生と知り合うことで人文素養を身につけることにした。
 
家族が住んでいたブリキ屋根の家にはパソコンもインターネット環境もなかった。七月初旬、彭さんは劉さんに連絡を取って、一緒に尖石に行き、中古パソコンとスピーカーなどを設置し、鍾君に使い方を教えた。全て整うと鍾君は、「オンライン学習は大好きです!」と喜んでくれた。それに、自分からもっと授業の時間を増やしたいと伝え、週一回病院で授業を受けていたのを、自宅で週三回にした。
 
彭さんは、彼がオンラインで「サポーターの大学生」や同級生と交流し、一時的に介護者の役割から離れて楽しく学んでいる姿を見ると、とても安心した。「私は、原住民部族の子どもたちが他の子どもたちと交流できるようになって、視野を広げて、世界がどれほど大きいかをぜひ知って欲しいのです!」また鐘君は、ボランティアに心から感謝の手紙を書いた。「僕を小学校の時からサポートしてくれてありがとうございます。今、僕は高校生になろうとしています。あなた方がいなければ、ここまで続けて来られることができたがどうか分かりません」。
 
もう一つの案件は、小学校六年生の女の子で、家を空けることが多い母親の代わりに二人の弟の世話をしていた。彼女は、彭さんから「学生サポーターのオンライン学習伴走」のことを聞いて、自主的に携帯から申し込んだ。彼女の家に設備がないのを見て、劉さんは急いで中古パソコンを修理し、この家を訪れて設置した。山道を片道一時間もかかったが、ボランティアは遠いことを厭わず、何度も行き来した。「子供の教育に待ったなし」だからだ。
 
情報機器関係の仕事に従事している劉千徳さんは、通常、慈済の活動では音響操作の担当をしているが、以前から廃棄されたパソコンを修理しては、必要としている子供たちに届けている。(撮影・陳淑娟)

物の寿命は再生できる 大事に使えば役に立つ

新竹の子供たちに中古パソコン設備を支援し、「呼び水」の役割を担っている彭さんは、心から「物を大切にする」概念を子どもたちと分かち合った。新品だけが使い易いのではなく、優れた学習ツールとして正しく使用することが重要なのだ、と。実際は多くのパーツは新品で、「私が使っているパソコンよりも速度が速いのです!」
 
パソコンの修理を担当する劉さんは、仕事の合間にリサイクルステーションを片付けたり、他のボランティアの家から古いパソコンを回収している。まだ使えるものもあり、長く使っていないだけで、何台かの部品を組み合わせ、故障した部分を修理してから、新しいハードディスクを取り付ければ、設備がなくて困っている家庭は、新しい一歩を踏み出すことができるのだ。
 
山奥から市街地まで、ケアの歩みは流れ続ける川のように途絶えることなく、困っている家庭へと続く。ボランティアが物の寿命を延ばして再利用する行動が、慈善と環境保護という善の循環を促すと共に、子どもたちのデジタル格差を埋め、学習に支障が出ないようにしている。
(慈済月刊六五八期より)
NO.299