慈濟傳播人文志業基金會
大学生が家庭教師として付き添う
生活困窮家庭の子供の夏休み
 
慈済が推進している「学生サポーターのオンライン学習伴走」は、大学生にアルバイトの機会を与えると共に、生活困窮家庭の子供に学習リソースを提供している。三千人近い異なる年齢層の子供たちに付き添い、グループごとに学習している。お互いに夏休みを孤独に過ごす必要がなくなった。
 
台北市の路地にあるアパートの一室で、午前十一時過ぎ、「先生」と「子供」の話し声が聞こえてきた。
 
「今日は水資源について勉強します。さきほど観た動画をまだ覚えていますか?その中でどのような方法が節水に良いのでしょうか?」とパソコン画面の前で大学生の廖宇晴(リャオ・ユーチン)さんが質問した。それぞれ花蓮、台東、嘉義、台南にいる六人の小学生と、オンライン授業ツールを通して環境保全と感染防止についての文章を一緒に読んだ。画面の向こう側にいるのは小学生だけではなかった。彼女のチームメイトで北市に住んでいる張以柔(チャン・イーロウ)さんも、恥ずかしがる子供たちに付き添っていた。
 
七月初め、二人とも初めて会う小学生にどのようにコミュニケーションをとれば良いのか分からなかったが、アイスブレイク(初対面の際に、緊張する場や雰囲気をときほぐす手法)という遊戯を通じて互いに親しくなった。皆で一緒に『歓迎されない見知らぬ来訪者』という絵本アニメを観賞し、生き生きとした物語から「コロナウイルスとは何か?」、「コロナウイルスはどこから来たのか?」について学んだ。そして、子供たちが自発的に発言できるように、動画を見た後、緊張感溢れるくじ引きや近頃取り上げられている時事ニュースを話し合い、家にいる子供が自分の考えを表現できるようにした。
 
 私たちはこのプロジェクトを「壁のない教室」と称している。コロナ禍で人と人との距離が離れている中、テクノロジーを駆使し、境界を跨いで互いに協力することにより、長い夏休みの間でも情熱を持った純粋無垢な心を繋ぎとめた。
 

「学生サポーターのオンライン学習伴走」プロジェクトとは、アルバイトを必要としている大学生が小学4年生から高校3年生に付き添い、自身に都合の良い時間帯にグループに分かれて生徒のオンライン学習のサポートをすることである。慈済ボランティアは、このプロジェクトの情報をケア世帯に伝えた。(上欄の写真 撮影・蕭耀華/中列の写真の提供・林宜儀/下の写真の提供・陳祖淞)

夏休み期間、学習能力が低下する

今年の夏、台湾全土の小中学生は新型コロナウイルス警戒レベル3の下で、在宅防疫措置として、「登校はしないが、学習は続ける」ことになり、在宅学習の自主性がより重要になっている。だが、夏休みに入って、学校のオンライン授業はなくなり、多くの生徒の学習能力も徐々に低下していった。
 
慈済基金会執行長室特別補佐の陳祖淞(チェン・ズーソン)さんの説明によれば、海外では「夏休みによる学力低下」という現象がすでに起きているそうだ。アメリカ・スタンフォード大学の研究によると、生徒はコロナ禍で登校できなくなってから、読む力の低下が30パーセントという大幅な数字を示した。もし適時にサポートと付き添いをしなければ、生活困窮者家庭の子供の学力低下はより著しくなる。
 
親は失業により生計を維持することに精一杯で、子供の面倒を見る時間がなくなってしまった。以前は夏休みを利用してアルバイトで生活費や学費を稼いでいた大学生も、コロナ禍でアルバイトが減ってしまった。人力銀行(台湾の求人サイト)の統計によれば、今年は93パーセントの大学生が夏休み期間にアルバイトを計画していたが、彼らの思いとは裏腹にアルバイトを募集している企業や店舗は、30パーセントにも満たなかった。
 
コロナの影響で学習リソース不足や同級生に会えない日々が続き、生活困窮者家庭の子供は学習への挫折感や孤独感を味わいやすい。(撮影・葉晉宏)
 
起伏の激しいコロナ禍では、支援活動を迅速に進める必要がある。六月中旬、慈済基金会執行長室王運敬(ワン・ユンジン)主任は、どのようにして子供の学力低下を防いだらよいのかを考えた。そこで、オンライン学習ツールを使って様々な業界と連携し、優秀な大学の大学院生と協力して、夏休みの間、生活困窮家庭の小中学生の学習に付き添うという「学生サポーターのオンライン学習伴走」プロジェクトが誕生した。
 
真新しいオンライン学習サポート活動の情報は、台湾の大学や大学院教師と学生の間で瞬く間に広まり、「学生サポーター」の申し込みが始まるやいなや、五日も経たないうちに、七百人余りの応募があった。また「サポートを受ける生徒」には、オンライン授業が始まる前からすでに二千二百人の応募があった。これは今年の夏休み期間に台湾全土で企画された最も大規模なオンライン学習サポートプロジェクトである。
 

オンライン授業で言葉を発しない小学生

慈済に参加して二十五年以上になる新北市三重区ボランティアの徐秀梅(シュー・シウメイ)さんは、「学習サポートのアルバイト」をする機会があると聞くやいなや、十数年間付き添ってきたケア世帯に知らせた。「ケアを通じて、そのご家庭のお子さんが成長する過程を見守ってきました。国立大学に進学してとても優秀で、新芽奨学金(慈済の就学奨励制度)の支援も受けたことがありますから、彼らにも生徒たちの力になってほしいと思ったのです」。
 
七月五日、学習サポートが始まった。台湾各地で学生サポーターたちは面接と初期的な養成講座を受講した後、本格的にサポートを受ける生徒たちとオンラインで対面した。
 
徐さんの要請で応募した劉子菱(リウ・ズーリン)さんは、社会福祉学部を卒業したばかりで、ソーシャルワーカーの資格試験の準備をしていると同時に、時間をやりくりして「学生サポーター」を務めた。彼女はチームメイトと一緒に六人の子供の学習をサポートした。だが、やり始めると容易なことではないことが分かった。「子供は時に、文章を見た途端、きちんと読まずにクイズのポイントだけを稼ごうとします。そのような場合、私たちは子供たちの視点に立って、読むことがいかに面白いかを知ってもらえるようにしています」。
 
マルチプレー型オンラインゲームが今の子供を惹きつけるゲームの主流であることを念頭において、今回のプロジェクトは、オンライン教育サイトのPaGamOと協力し、彼らのリーディング素養コースを使って、子供たちに文章を読んでからクイズを解いてもらい、一問正解するごとに一つの「土地」を取得できるようにした。「お城攻略」ゲームをするうちに、読んだ内容も子供の頭に入るのである。
 
毎回一時間半のやり取りで、各チームの学生サポーターは、子供たちの性格に応じて指導方法を調整している。サポートを受ける生徒からどうしても反応や返事を得られないなどの状況では、ベテランのチームに教えを請うことができる。彼らは慈青(慈済青年部)を卒業した現役教師や慈大附中(慈済大学附属中・高等学校)の教師、教聯会(慈済教師懇親会)の若いボランティアなどからなる百三十人の相談チームで、壁を感じた学生サポーターに、オンラインで教え方のコツをアドバイスしている。
 
7百人以上の国内外の青年が「学生サポーターのオンライン学習伴走」の学生サポーターに応募した。面接と説明会を経て、サポートを受ける生徒の学習カリキュラム内容に一層理解を深めた。(写真提供・陳祖淞)

グローバルに人材を集めて教育を行う

知らない同士が今は知り合いになった。今はオンライン授業が始まると、子供たちは大声で「先生、こんにちは!」と言う。毎週空き時間を利用して一生懸命仲間たちとカリキュラムについてディスカションを重ねている廖さんの耳にその声が届くと、なによりほっとするそうだ。「子供が私たちにくれる『先生、ありがとうございます』の一言で、心が満たされます!」廖さんも、誰かのために何かできる人は最も幸せだと深く信じている。
 
王主任はこう説明した。「コロナ禍ではあらゆる支援行動が時間との競争です。夏期栄養支援プロジェクトやオンライン学習サポートなどは、どれも一カ月先に行うことはできず、また一週間後に先延ばしもできません。必要とあれば、その日に思考を巡らせ、計画し、次の日から持続性のある運営を進め、一週間以内に活動を始め、領域を跨いだ共同作業を始めるのです」。
 
王主任は、オンライン学習サポートを通して、生活困窮者の子供の孤独感を減らし、子供の学習能力をサポートできることに期待している。「一人の子供と触れ合う縁がある限り、その子の人生に善の種を植えることができるのです」。
 
学生サポーターによる学習支援計画が公表されてから、海外からもたくさんの励ましのメッセージが届いた。留学生や日本に定住している華僑が進んで日本語の翻訳を担当し、日本で学んだことを恩返しとして共有したい、と寄せた。また華僑の子女らに中国語を教えているイタリア人教師も、力になりたいと言ってくれた。これらのことにチームも触発され、将来は各国にいる慈済国際青年会の人材を投入して全世界で生活困窮家庭の子供をサポートするという考えに至った。「アメリカの子供が台湾の子供に英語を教え、イギリスの子供が台湾の子供に科学を教え、台湾の子供がモザンビークの子供に中国語を教える…」王主任の説明によると、「これこそ法師が唱える『青空アカデミー』の概念です。このアカデミーは、大勢の愛の心を持った優秀な青年たちが一丸となってやる必要があります」。
 
九月から学校が始まっても、オンライン学習へのサポートは継続して行う予定である。インターネット技術の利便性は、従来の形が決まった実体活動の垣根を取り外し、異なる年齢層の学生が学んだことを分かち合うことができるようになった。また、生活困窮家庭の子供が在宅学習時に感じる孤独や挫折を和らげることにもなった。オンラインゲーム学習サイトPaGamOの創設者で台湾大学電気工学部教授でもある葉丙成(イエ・ビンチョン)氏は、以前「子供に学習の翼を与える」と言ったことがある。もしかすると、コロナが終息していない今、全ての子供に付き添いが必要なのかもしれない。子供たちに必要なネットワークとパソコンを提供し、更に必要な時に関心と付き添いを行うこと、それが子供の学習に必要な翼になるのではないだろうか。
(慈済月刊六五八期より)
 
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