慈濟傳播人文志業基金會
教育における新しい方向
五月中旬から台湾全土でコロナ禍が深刻になってきたため、政府の実施した感染警戒レベル3は、七月下旬まで延長されていたが、その後やっとレベル2に引き下げられた。幸いこの期間中でも学校の授業は停止することなく、オンラインでリモート学習に切り替えることで、どの学年の学生も「登校はしないが、授業は続ける」ことができた。
 
コロナ禍の終息がまだ見えない中、このような授業方式が明らかに常態化していくとみられ、その影響で、少なからぬ生徒から教育を受ける機会を奪う可能性が出てきた。
 
世界経済フォーラムが発表したグローバルリスク報告書二〇二一年版では、ネットへの依存度が高くなるにつれて、国内または国家間の富貧の差がより顕著になり、インターネット使用に制限がある子供たちは、より深刻な教育の不公平に直面する恐れがある、と指摘している。
 
このようなネットリソースの不均衡な利用によって生じる「デジタルデバイド」は、地球規模の新たなリスクと見なされている。
 
台湾のワイヤレスネットワーク普及率は非常に高く、調査によると、インターネット環境のある家庭の割合は、八十パーセントという数字をこの九年間維持しており、偏境であっても相当水準に達している。しかし、コンピューター設備の不足という格差だけでなく、コロナ禍においてオンライン授業に参加もせず課題にも取り組まない「オンライン中退」の学生が出てきたことが今なお心配されている。
 
都会であれ偏境であれ、学生がスムーズにオンライン学習に参加できない主な理由は、家庭外からの支援体制の脆弱さである。経済的に弱い立場にある多くの家庭の子供にとって、学校の教師は、以前は指導と支援をする重要な役割を果たしていたが、これら日常的なやり取りや精神的なつながりが、対面授業の停止で中断されがちになってしまったのだ。
 
今こそ、彼らにより多くの学習の機会を創出することが必要である。家庭訪問や電話インタビューを通じて、多方面から社会の慈善と福祉リソースを提供する時である。
 
今月号の主題報道では、慈済基金会が中古のコンピューターを募るだけでなく、さまざまな団体と協力して、恵まれない学生にネット環境のある設備を提供した話題が取り上げられている。「学生サポーターのオンライン学習伴走」プロジェクトは、オンラインプラットフォームと連携して、アルバイトで学費を稼ぐ必要のある大学生が、夏休みの間、オンラインで恵まれない小中高生に付き添って一緒に勉強するものである。
 
花蓮にある慈済大学附属中・高等学校の教師も、協働授業中に創造性を発揮し、学生により深い学習体験を提供することに努めている。オンラインで授業をすることは試練でもあり、彼らにとっても改めて教育の本質と役割を考える機会となっている。㊟同じ授業時間に、異なる科目の先生が参加して協力しながら授業を行う。
 
科学技術を発展させる目的は、生活の改善と全人類の福祉の向上であり、人同士の不平等を深めてはならないはずだ。證厳法師はかつて、科学技術が智慧を発揮してこそ、慈悲を世に行き渡らせることができる、と述べたことがある。
 
それは「デジタル素養」の育成にも関連している。如何にして大海原のような情報の中から目的に合ったものを選んだらよいかを理解し、情報の信憑性を識別する力を身につけ、ネットの世界の潜在的な危険を回避しながら、科学技術に支配されないこともまた、教育の場に現れた新しい方向の重要課題だと言える。
(慈済月刊六五八期より)
 
NO.299