信念と信力を貫き、根性と忍耐力を高めて奉仕しよう
心の本質を啓発しよう
南アフリカ·ダーバンの慈済ボランティアは、仏法を広めようと昨年の九月から南方のイースト·ロントン、キングウィリアムズタウンそしてポート·エリザベスへ奉仕に出かけてきました。往復二千キロを越える道程を七回も往復しました。そのある日、キングウィリアムズタウンのある村に辿りついたボランティアたちは、お葬式が行われているのを見かけ、米を持参し訪ねました。この気遣いに喪主は強く心をうたれたそうです。
朝会の時、上人は、「南アフリカの黒人ボランティアたちは、自分の生活も決して余裕があるわけではないのに、喜んで他人のために尽くすのです。遠い道程と途中での粗末な宿泊状況にも耐え、そして民族や宗教の壁をも乗り越えて、ただ出会った人々を済度しようとの一心から行動したのでした。このように信念を貫いた彼女たちはまるで輝く『黒い真珠』のようです」と褒め称えました
「彼女たちは伝法に出ている間も毎日早起きし、『法の薫りに浸る』時間を持ちました。法の真髄を心にしっかりと記憶し、人間の苦しみを痛切に感じたからこそ、今この時に礼儀正しく整然とした態度で以て他人のために尽くすことができるのです。貧困家庭に寄り添って細心にケアするだけでなく、彼らの生活を改善しようと手を差し伸べました。人が本質的にもつ善の心を啓発し、心身ともに豊かになるよう懇切に導いているのです。『心して力を尽くせば、何事もやり遂げられるはず』ということを、ダーバンの黒人ボランティアが示してくれました」
「ダーバンでのボランティアが艱苦の環境に耐えて精進を重ねている姿は、まさに慈済の発祥地台湾の慈済人にとっても模範そのものだったと言えます。『甘んじて尽くす、喜んで受ける。日々怠らず精進する』という精神を見習うべきです」と上人は皆を励まされました。
衆生の根機はさまざまです。仏陀の教えもそれに応じて人々の心を導き、正道へと教化するのです。人の習性や心性、そして根機の鋭さや鈍さの違いが生じたことも、過去世に積み重ねた修行や因果関係で成り立っているのです。「前世に良い種を植えることができれば、良縁が結ばれます。それ故に幸福な今生を送ることができます。もし、いつもつまらない悩みや無明にとらわれていると、大きな障害となることもありうるのです」と上人は諭されました。
法を聞く、考える、そして修行を精進すれば、法の道に深
く通達し物事に支障なく進んでいくことができます。法を心身に沁みるほど理解してからたえず努めていくことが大切です。信念を堅くし、根性、根気を以て衆生のために奉仕しましょう。
命の価値を高めよう
「医療に従事するということは、人の命を護るということです。教育に従事するには、慧命を増していかなくてはなりません」。慈済の四大志業(慈善、医療、教育、人文)の計画を話し合う会議で、上人は、「現在、医療や教育に従事する人は、昔にくらべ多岐にわたる困難と要求に直面しています。志業全体が互いに提携しながらつながりを強化するように、六院(花蓮、新店、台中、大林、関山、玉里といった六つの病院)を一つの家族、四校(慈済大学、慈済大学付属高等学校、慈済科技大学、台南慈済高等学校)を一つの家族と見做して、皆が力を合わせ、同じ方向に邁進するよう期待しています」と励まされました。
「私は発起人となって大勢の人々の愛の心を募ってきました。また、病院や学校という建物も建設しました。そして今は、各分野の専門知識を持つ貴方たちに全てを任せましたので、皆が志を同じくし、真心で最大の良能を発揮するよう願っています」
「品質を高めるためには、人材をしっかり育成しなければなりません。新しい人材を育てるとともに、優秀な古参を失ってもなりません」
釈迦牟尼仏が入滅されたのは、いまから二千五百年も前でしたが、仏陀の慧命は今もなお仏弟子の心に鮮明に生きています。「命の価値は長さから判断するものではありません。人の生とは常にあるものではありません。誰も自分の命がどれくらいあるのかなど分かりません。ですから、むしろ自らその広く深い自分の人生に向かって突き進み、善意に満たされた美しい人生を成就しましょう」と上人は教え諭されました。
(慈済月刊五八九期より)
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