二○一五年、世界の気温上昇が最高記録を更新した。十一月末に国連気候変動枠組み条約第二十一回締約国会議(COP21)が、フランスのパリで行われ、各国は自国の利益要求を抑え、世界温暖化を緩やかにするため二酸化炭素削減を目指す協定に合意し、ついに採択された。二○○九年、コペンハーゲンの会議で合意に達成できなかった二酸化炭素削減の取り組みの枠組みが採択されたことは、人類が地球を救おうと慈悲を示したものと言える。
十二日間にわたる会議には、世界のリーダーと非営利組織代表ら三万人以上が参加していた。対策の上では先進国と発展途上国の間に少なからずの論争が起きた。また、直前にパリでテロ事件が発生し、会場の内外は怒りと不安で動揺していた。気候によって頻繁に発生する災難を防ぐことができない人類は、深刻な存亡の危機に直面している。
工業大国が二酸化炭素削減を承諾したことは、人類の「最高の相棒」となる目標がかなったことを証明している。この概念はハーバード大学の生物数学家のマーティン・ノウックが提唱したものだ。彼はゲーム理論を用いてダーウィンの競争進化論を否定した。細菌やアリ、さらには人類に至る種と生には優れた感情がある、すなわち「利他と助け合う精神」があると仮定し、超越した自己本能の集団的生存合作であると言う。
物種進化論は有情合作による必要がある、その上で冷酷非情な競争は、人類が相互に依存するためにはなくてはならないものであり、また人類の霊性的な表れであり、さらに生命を癒す道でもある。
この度の国連気候変動枠組締約国会議に慈済基金会は三回目とも招請依頼を受け、環境保全に努力していることを発表した。とくに、個人の生活習慣が昔に回帰していること、どんなに小さなことでも二酸化炭素減少のために努めていること、使い捨ての食器を使用せず省電、節水、なるべく自家用車を使わないこと、資源の再利用などを述べた。
一九九○年に、證厳法師は「拍手する両手で環境保全をしましょう」と呼びかけ、高度成長期を経て大量のゴミとなった物のリサイクル運動を推進した。家庭にある新聞や雑誌、ペットボトル、空き缶、電気用品などを回収して再生資源にした。ペットボトルは回収した後、繊維に再生し、衣類や保温性の高い毛布に再生している。
二十年来、台湾全土に五千カ所の環境保全センターを設立している。数万人のボランティアが日々回収と分類作業に携わり、物の大切さを体得し、使える物はその物命を伸ばしている。八十、九十を超えた高齢ボランティアたちが模範となって、回収物を使える物と再生資源に細かく分類している。
年の暮れになると證厳法師は全国を行脚され、自ら慈済委員に「福慧お年玉」を授けられる。多くの環境保全に従事している古参菩薩も例外ではない。年月を経た素朴で温かい面影の中にある利他の情と実践の智慧に敬意を表した。彼らは人類の「最高の相棒」であり、模範でもある。
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