プレッシャーに直面し岐路に立たされた時、一丈先に到達できるかどうかを恐れることよりも問題なのは、一歩も前に進まないことです。
病院の後輩に、私が看護師になった経歴を聞かれました。ふっと考えてみると、二日前がちょうど看護師になって一年目だったのです。「先輩、この一年間で挫折を感じたことはありましたか。それ以上先へ進めなくなることはありませんでしたか」とさらに聞かれました。「あったわよ。その時は、看護師を辞めようとも考えたわ」と私は答えました。
新米の看護師として仕事に就いた頃、毎日ナースステーションに入って、その日にケアする患者さんのカルテなどに目を通しながら、頭の中に思い浮かんでくるのは、自分のせいで患者さんの命取りとなったり、病状が悪化してしまったりするのではないか……など、マイナス思考ばかりでした。そして、私は、医師や患者の家族に向き合う時どのようにすればうまく説明でき、お互いに理解しあえるのかと考えると緊張感が高まり過大なストレスのため、まるで首をビニール袋につっこまれて息がつまり呼吸困難になったように感じることがありました。帰宅すると、部屋の隅っこにうずくまって涙が止まらなくなり辛い日々でした。
自分の無力さを痛感し、本当にこのまま看護師を続けていいのだろうか? 仕事にちゃんと自信が持てるだろうか? と自問自答した私は、看護師という仕事を辞めようと考えました。そのような時、ある看護部長が私に勇気をくれました。宜静先輩というその看護部長は、自信を喪失してどん底に沈んでいた私の様子に気づいていたようでした。
新人に対しては、「あまり考えすぎないで! 過去の私もそうだったわよ!」と言って、頭をなでて慰めてくれるのが普通だと思います。ですが、宜静先輩はそうはせず、さらに大きなプレッシャーを私にかけました。「昀螢さん、精神的なプレッシャーが大きいことはよくわかっていますが、看護部が主催するコンテストがあるのよ。いっしょに参加しない?」と誘ってくれました。私は適当に「いいですよ」と口先だけの返事をしましたが、本心は、明日にも辞表を提出しようと考えていました。
ところが、看護部長は私と同僚を率いてコンテストをやり遂げました。作品が完成するまで、看護部長は私たちと、原稿を書いたり校正したり、寝る時間を削って控室で共に取り組んでくれました。準備の過程の割合を考えてみると、看護部長がほぼ九十五%やってくれ、残りの五%は私が壇上に立って報告しました。彼女の支えにより、看護部のたくさんの優秀な参加者を押さえて私たちが優勝したのです。
結果、自分が取柄のない人間ではないことがわかり、私はとても嬉しかったです。どんなことも一歩を踏み出し努力すれば、事を成し遂げることができるのです。陰で私を支えてくれた先輩や同僚にも感謝の気持ちで一杯です。
このような自分の経験を生かして、「日常生活の中で困難に遭遇することがよくありますが、この時こそ、身を引くのではなく前向きの姿勢を心がけてください。『一丈先に到達できるかどうかを恐れることよりも問題なのは一歩も前に進まないことです』という静思語のように、前向きに一歩一歩努力すれば、必ず大きな成果が得られるのです」と後輩を励ましました。
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