植物栄養素といわれるファイトケミカルには抗酸化作用があるので、癌を抑制し、免疫力を高めるなど健康維持に役立つ効果があるのではないかと期待されています。
赤、緑、黒、黄、白といった色の野菜をバランスよく摂取すると栄養も豊富ですから、病気を遠ざけられます。
今年から食卓をよりいっそう彩り豊かに。
菜食について、栄養不足になるのではないかと誤解している人が多いようですが、慈済大林病院の栄養士・黄金環先生は、菜食には「植物栄養素(ファイトケミカル)」を取り入れるという意味があり、色のついた野菜を上手に摂取するようにすれば、栄養的には肉食よりも優れているといえる、と説明しています。
黄先生は、菜食者は野菜の種類をできるだけ豊富にとるようにと提案しています。穀物と豆類を同時に摂取し、調理に必要な油脂の代わりにナッツを使ったり、色の濃い野菜や果物をとるよう心がけたり、旬のものやその土地の食材を選ぶようにすると良いそうです。そしてシンプルな調理方法にすれば菜食はさらに健康に役立ちます。
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衛生福祉省が用いている「素食栄養指標」には「菜食により健康を維持するために」という原則が以下のように掲載されています。
「穀類は最低食事の三分の一の量を、豆類を加えるとさらに良い」
「調理の油脂は毎回新しいものを使用し、ナッツを欠かさずに」
「緑黄色野菜とキノコ類海藻類の組み合わせで栄養価は満点」
「果物は食事とみなし、その土地の季節の物で十分」
「味つけは薄味にし、油と塩分、糖分は控えめに」
「玄米と野菜と海草類は味わい深いので塩少々で、加工食品は食材を厳選」
「健康のための運動三十分、適度な日光浴二十分」
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バランスのよい食事とは何でしょう。果物と野菜、穀類と根菜類を選び、タンパク質は豆や肉、魚、卵で、乳製品は低脂肪の物を、油脂にはナッツ類を組み合わせると大部分の栄養素を摂取することができます。黄先生の説明では、菜食者は五大栄養素の中でタンパク質の取り方だけが肉食者と違い、豆類から取っているのだそうです。
もしカルシウム不足が心配であれば、緑黄色野菜を多く撮りましょう。イヌホウズキの茎と葉、カイラン、ウンナンヒャクヤク、ヒメウマノミツバ、キクラゲ、ノリ、昆布、黒胡麻、スイゼンジナ、アマランサスやドライフルーツのイチジク、デイツ等には豊富なカルシウムが含まれています。同時にビタミンCをとると吸収率がよくなります。生食できるグアバ、ナツメ、柑橘類、ピーマンなどです。そうすれば牛乳で補わなくてもよいのです。
加工食品でない食べ物を選ぶこと以外に、適量を守ることも重要です。
「適量」とは、一人一人の活動量により決まります。もし重労働をしていなければ、毎食ご飯一膳に主菜と豆食品、果物で十分でしょう。一日の油脂は多くて大さじ二、そのうちの大さじ一をナッツ類に変えることもできます。天然の物だからといって多く撮りすぎるのはよくありません。
ファイトケミカルは自然界の宝物
植物には豊富な栄養素が含まれています。ビタミンやミネラルはもちろんのこと、もう一つ「ファイトケミカル」という物質があります。アントシアニン、ルテイン、リコピンなどです。
近年科学者たちがこの分野の研究を重ねてきたことで、今では二一世紀のビタミンと言われるほど重要視されるようになりました。体の働きを調節し、健康を保つ効果があるのではないかと考えられているのです。ファイトケミカルはさまざまな色をした植物や野菜果物に含まれています。それぞれがもつ多様な栄養素を取り入れるため、赤、緑、黒、黄色、白といった色の違う野菜を撮ることが「彩色野菜摂取の原則」なのです。
穀類、豆類、野菜、果物のどれでも色とりどりに摂取することを心がけましょう。例えば、穀類には黄色のトウモロコシもあれば黒い米、 白い玄米もありますし、豆類にも小豆や黒豆、大豆、枝豆などがあり色の違う物を選ぶことができます。野菜や果物になるとさらにさまざまな色がありますね。
黄先生の説明では、色のついた野菜を摂ると抗酸化力がアップするので、老化の速度を弱めたり、癌の原因となる物の人体に及ぼす影響を少なくするのだそうです。例えば悪性リンパ腫の増生を抑制し、癌細胞を死滅させたり、良性に変化させたりするのです。ほかにも体の免疫力を高めることにも役立つそうです。
最後に慈済大林病院の栄養治療科から特別に「和風ごま風味ベジタブルサンド」のレシピを教えていただきました。皆さんもご家族で一緒に作るなど試してみてください。簡単でしかも栄養があり美味しいのですよ。このようなすばらしい菜食主義を取り入れて、食卓に元気をプラスしませんか?
★和風ごま風味ベジタブルサンド
食材:全粒穀物饅頭
カイワレは洗い、キャベツとマイタケなどのキノコ類は下茹でする。トマトは薄切り、ニンジンは下茹でして千切りにする。干し豆腐適量。
ソース:黒ごまペースト、白ごまペーストに和風ドレッシングを適量加えてごまソースを作る。
作り方:饅頭に切れ目を入れ、野菜を挟んでソースをかける。
(写真提供:慈済大林病院)
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