慈濟傳播人文志業基金會
慈済青年ボランティア奮闘記

元宵節は華人といわれる中華文化圏の人々にとって大切な伝統行事です。旧暦の一月十五日という春節を迎えて最初の満月の日の夜、すべての新しい始まりを象徴して大地が春を迎えたことを祝う祭りなのです。各地で趣向を凝らした祭典が開催されますが、その中でも代表的なものは「台湾ランタン祭り」と呼ばれています。今年は桃園市が主催しました。会場の面積は三十二平方メートルにも及び、合計千組以上のランタンが飾られ、その数は歴代最多と記録されました。折しも二二八記念日の連休にあたり、一層多くの観光客を惹き付けることとなりました。色鮮やかなランタンは、明かりが灯ると夜に瞬いて輝き、それはそれは盛大なイルミネーションとして祭りを彩りました。

そのランタン祭りの会場で、とある若者のグループが練り歩く姿を見かけました。高らかにⅬED灯のついたプラカードを掲げ、青いポロシャツに白いズボンという姿、顔には満面の笑みをたたえ、口々にスローガンを唱えています。「ランタン祭りで環境保全! 街をきれいにしましょう!」と。桃園新竹地区の大学専門学校にある慈青社(慈済青年ボランティアクラブ)で構成されたボランティアの若者達でした。環境保全の信念を胸に、休日を利用して祭りの会場を訪れ、人々に清潔な町づくりとその環境維持を呼びかけていたのです。

 

慈済青年ボランティアの創意工夫溢れる宣伝活動

 

人々の注目を集め、一方で参観者の楽しみを損なわないようにと、彼ら慈済青年ボランティアは工夫を凝らしてユーモアのある呼びかけをしていました。例えば人間の破棄したビニール袋が頭にかぶさって苦しむカモメに扮しSOSを発信します。「おーい、僕はカモメの子だよ、ビニールがひっかかって苦しいんだ、誰か助けてくれないかい?」。すると、心優しい子供達がすぐに駆け寄ってきました。この時を逃さず、待機していたボランティア達が続いて呼びかけるのです。「一緒に三つの問題を解こう! 第一問、おうちの人と外で食事をする時、割り箸と自前の食器とどっちを使う方がいい?」という具合です。

別のボランティアは大愛感恩科技社のマスコットである犬の「大愛」と猫の「感恩」に扮装して、行き交う人々の歓迎を受けては一緒に写真に写っていました。そして写真をフェイスブックにアップし、会場にチェックインして環境保全の標語を書き込んでくれた人にはエコバッグをプレゼントするのです。それはボランティア達が回収した古紙を使って手作りしたバッグでした。科学技術で上手に宣伝するだけでなく、再利用までも体感できるという創意工夫が見て取れますね。

これらの着ぐるみを着ていたのは万能科技大学の周碩佑君と開南大学の周佳妮さんです。二人は顔を真っ赤にして背中は汗だくになりながらも、この宣伝活動に参加できた喜びを語ってくれました。会場の人の流れや当日の天候などを考え、アイディアを出し合い、協力し合って進めたそうで、この活動を成功させることができたのは、仲間のボランティア達のおかげだったと心から感謝していました。

 

若い世代の使命

 

大勢の人が集まると大量のゴミも出現するのは当たり前ですが、会場を見回してみると、しかしゴミが落ちていないのです。これはランタンの素晴らしさにも勝る驚きでした。桃園市は会場の清潔維持を重視して各種の資源回収ボックスを集中的に設置し、多くの清掃員を動員して会場を絶えず見回ることにしたそうです。そして慈済青年ボランティアにも協力を要請したのだそうです。お互いの努力が実って「ゴミのおちていない祭り」が成功しました。このように政府機関にもエコ意識があるということが分かりましたし、人々にも環境保全に対する意識と教養が高まっているのが見えて大変喜ばしく思いました。

今回の活動の代表者は中原大学の学生、楊佩錡さんですが、最初はスローガンもすらすら言えず、うまく出来なかったそうです。彼女は内湖のリサイクルステーションで実際にボランティアに参加し、現場の人々と苦労を共にした経験を仲間と分かち合いました。ボランティアの負担を軽くするためには「清潔は源から」という考えがとても重要であること、分類という行動は小さくてもその意味はとても大きいこと、さらにもっと多くの人が生活を改め、地球に優しくする心がけを持ってほしいことを訴えました。

美しいランタンは一時的な楽しさで人々を魅了しますが、彼ら平均年齢二十歳の若者達は、そこで娯楽に浸ることを拒み、にぎわう人々の中を歩き回って環境保全を進めることを選んだのです。若者達の数は参観者に比べるとごく一部ではありますが、時には冷たい目でけげんそうに見られながらも、微笑みで返し、口答えもせず、かと言って引きもせず、心をこめて訴えていました。なんという勇気、そして情熱でしょうか。称賛されるべきです! 彼ら若い世代のボランティア達が創意工夫を凝らしている姿には、ひたむきなエネルギーが溢れていました。そして、環境保全を進めるという使命をその肩に背負っているのでした。若い命の躍動は互いに輝き合うことでさらにその明るさを増し、これから希望の光を灯していくことでしょう!

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