認知症は予防できるのですか?
A:長年、認知症患者とその家族に接して来た経験から言うと、60パーセントがアルツハイマー型です。アルツハイマー型は遺伝と大きく関わっており、食事と運動による予防効果はあまり期待できません。
血管性認知症の場合、血圧、血糖値、コレステロールを抑え、タバコやアルコールなどの危険因子を控えることで予防することができます。一部の改善可能な認知症は、例えば、ビタミンB12の欠乏や甲状腺機能の低下に起因するものは、その原因が特定できれば直ちに治療により回復が見込まれます。
菜食者はとくにビタミンB12の補充とバランスの取れた食事で認知症の発症を防ぐよう気をつけるべきです。
認知症になった場合、どう生活すればいいでしょうか?
A:以前は薬を処方していましたが、それは認知症を抑えるものではなく、患者が自分で他の手段を身につける可能性を見つけさせるための補助的なものでした。
最も患者数が多いアルツハイマー型認知症は予防が難しく、治癒することもできません。患者は平均で十年かけて病状が悪化しますが、記憶が困難になったり、同じ話や動作を繰り返したり、あるいは会話中の語彙が減少したりといった問題が出現します。時間の経過と共に機能は衰え、少しずつ失われていきます。食事療法や運動ではそれらを補うことはできません。
従って、「失われた機能を回復すること」ではなく、「今ある機能を維持すること」に目を向け、後者に努めた方がいいでしょう。例えば、歩行が正常であれば、なるべく歩くようにし、表現力や記憶が弱まっているからといって家に閉じこもっていてはいけません。そして、楽器の演奏や歌、田植えなどできることは続け、発病する前より一層努力して機能維持を図るべきです。
もし、自立して日常生活ができず、誰かの手助けが必要な時は、家族に機能の衰えを話して支援を求めると共に、家族と共に維持している機能を刺激し、できない時は支援してもらうのです。
認知症患者に言いたいのは、以前の自分や他人と比較せず、今の自分と比べましょうということです。例えば、二曲の歌しか歌えないとしたら、それを何回も歌って、歌う機能を維持するのです。
自分で自分のできることを見つけたり、身近な家族や友人の手を借りて気づかせてもらうこともできます。これだけは長く付き合っていない専門医療人員にはできないことです。そして、寝たきりになったとしても、機能が喪失していない部分があるはずで、できる限りポジティブな考え方で病を受け入れることです。
老後の心身状態に対してどう準備したらいいのですか?
A:一部の認知症患者は他人が自分の物を盗んだと思い込んだり、見境なしに人を罵ったりしますが、発病する前に「執着する」ことが多過ぎたのではないでしょうか。もし、認知症になってからも品のある人であろうとするなら、若いうちから執着しないことを学び、心を穏やかに保つべきです。そうすれば、認知症になってからも毎日にこにこして過ごすことができます。
どんなに慌ただしい人生であっても、定年退職する前に何人かの「共に老いる」友人を作っておくべきです。それも車でせいぜい十分程度の目と鼻の先に住んでいることが望ましいのです。
同じような経験を持ち、生活状況も似通っている友人です。何か問題が起きた時は互いに世話したり、いつでも集まって雑談や運動することができ、それでいて、互いにプライバシーは護られているべきです。
週一回、一緒に食事する時、順番に家に行って料理したり、外食したりするのもいいでしょう。食事することで皆が集まって話が弾み、食べ物の話や感情の交流ができます。一緒に食事することは何よりも病気のためになります。
後日、認知症の症状が現れるにしても、友人たちの理解と包容力は、同居していない家族よりも役に立ち、これこそが最も良い予防と準備の方法なのです。
老人と一緒に遊びましょう!
認知症の治療は、薬を使う治療法のほかに、非薬物療法も大切です。音楽療法、作業療法、回想療法、運動療法、アロマテラピー療法、認知療法などいろいろがあります。その中で、運動療法と認知療法は簡単な動作と道具で行うことができ、改善にとても有効的です!
体の治療
❖バドミントン投げる
筋肉の力を増強し、同時に視覚のバランスも訓練できる。
バトミントンの羽のほかに、プリスピーや柔らかいボールでもできます。
脳の治療
❖ジェンガ
(木片を積み上げるゲーム)
お年寄りの精密動作とバランス感覚を訓練できる。
心の治療
❖園芸治療
花や野菜を育てることは、感情の安定や自発性の改善に役立ちます。
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