慈濟傳播人文志業基金會
すばらしい熟年
 
熟年になると、人生で最も自由な時期に入り、「治療よりも予防」と考えるようになります。自分の体を大切にし、三食とも体に負担のない菜食を取り、仲間と楽しい時間を過ごして健康に長生きできるようになります。
 
生老病死は人生において避けられないもので、とくに「老い」は段階を経て誰もが実感することです。人間は三十歳を過ぎれば、体の機能が老化し始め、多くの臓器の働きが毎年六・二五%のスピードで衰えていきます。これは自然な過程ですが、心を若々しく保ち、楽しい気持ちでしかも自信があれば、老後を楽しむことができるのです。
熟年に入ったら哀れだと感じるのではなく、本当の自分らしい人生がやっと来たと言うべきです。子供が大きくなって、背負ってきた重荷が下りた時、人生で最も自由で楽しい時期が今から始まるのです。手足が動ける時に自分の先のことをよく考えておきましょう。足が動かないと息苦しくなりやすく、手が動かないと脳の反応が鈍くなります。暇な時は家に閉じこもらずに外に出て、環境保全をし、幸せの種を蒔いて、人の話を聞いて、人と多く触れ合いましょう。家にいても、料理を作る楽しみも味わえます。
自然の果物と野菜を良薬に
 
多くの中高年は体にとって栄養が補給できるかどうかを基準として食物を選びがちですが、栄養食品を食べれば健康になるとは限りません。ふだんの食生活で油っこいものや甘いもの、あるいは塩辛いものを取りすぎると、消化不良を起こし、毒素が排出されにくくなります。毒素が体内にたまった結果、血液がドロドロの状態となって、血管がつまりやすくなり、脳卒中や心臓病を発症するリスクも上がります。毎食腹七分目から八分目がちょうどよく、栄養のバランスによく注意すれば、体への負担を減らせます。
肉食よりも菜食の方が体の仕組みによく合います。菜食は昔のようなお粥に漬物ではなく、今日ではもっとたくさんの種類の食べ物を選ぶことができます。とくに新鮮な野菜や果物などが、抗がん効果の「フィトケミカル」を含有し、家族皆一緒に「レインボー飲食」を摂取するのをお勧めします。「レインボー飲食」とは、虹のように毎食違う色の野菜や果物を摂ることです。赤、オレンジ、黄、緑、黒、白など、色の違う多様な食材で、バランスよく栄養を摂ることができるのです。
野菜や果物の皮は、植物が風害、日焼け、虫害などを防ぐための保護カバーで、しかもフィトケミカルが最も多い部分です。食べれるのなら、洗った後の皮は体に一番よい食べ物となります。
もう一つ気をつけたい食事の基準は、四低一高―低蛋白質、低脂肪、低塩、低糖、高植物繊維です。日本の久司道夫博士が提唱した健康長寿のための標準食メニューは、全粒穀物、野菜類、豆類、海藻、味噌汁をメインにしています。重要なのは天然の食材を食べることで、加工食品を食べないことです。
日常的に市販薬を飲むのも止めましょう。年配の方はよく常備薬を準備しておいた方が安心だと思っています。
「君、血圧が高いね。私の所によい血圧の薬があるよ」
「風邪を引いたの? 風邪薬なら持っているわよ」
「糖尿病の薬が切れたら、おすそ分けしてあげるよ」
たとえ病名が同じであっても、患者が異なれば薬物に対する効果が違います。服薬については必ず医師の診断処方に従うことです。
 
早期発見が「良かった」になる
 
車にも定期的な修理が必要なように、人間の体もメンテナンスが重要になります。熟年に入ると「治療よりも予防」をもっと重視すべきです。
癌は三十四年間、台湾人の十大死因のトップです。癌細胞が一センチ大の大きさに育つまでに九~十年かかります。ですが一センチから十センチ大になるには、三年しかかからないのです。
核医学の専門医である私は、大勢の患者が診察や検査に来た時には、すでに病状がひどくなっているのを発見しました。「どんな多くの金でも先知は買えぬ」という諺があります。最も良い健康への意識は、定期的に健康診断を受け病気を早期に発見することです。早期発見、早期治療によって完治するチャンスが上がるのです。「自分の体は元気だ」「大丈夫」「面倒くさい」と思わないでください。小さな病気を気にしないままでいたら、治療するタイミングも過ぎてしまうのです。
(一)いくつになっても自分を大切にする、(二)良い人間関係を作る、(三)勇気を出して目の前のことに向かう、(四)シンプルな生活を心がける、(五)負担を減らす、(六)今この時を楽しむ。この六つのポイントを摑んで、自分の体は自分で守り、人に手伝ってもらいたい時には勇気を出して話しかけましょう。知恵のある毎日を過ごし、健康に楽しく長く生きられるようにしましょう。
 
 
*中高年向け野菜メニュー
◆十六ささげいりの玄米お粥
 
 
材料:
1.玄米1合、キヌア1/3合、はと麦1/3合
2.十六ささげ、干ししいたけ、エリンギ(または生しいたけ)、にんじん、ゆば
 
調味料:塩、こしょう 少々
 
作り方:
1.干ししいたけは水で戻しておく。材料をすべて適当な大きさに切る。
2.玄米、キヌア、はと麦に水を加え、20~30分煮る。
3.しいたけ、十六ささげ、エリンギ、にんじん、ゆばを入れて、再びふたをし、5~10分煮る。
4.塩、こしょうで味つけして出来上がり。
NO.239