慈濟傳播人文志業基金會
愛の心を広めれば 善の力が倍増する

 

愛の心と善の行いは、人間にとって最も貴重な宝であり、相互に啓発し導かなくてはなりません。

 

台湾の宝を大切に

 

「台湾において民衆の愛と善の心持ちは、とても貴重な宝であります。しかし、それを環境により啓発しなければならないのです」と證厳法師は客人に話されました。

五十年前の慈済は、純朴な花蓮で多くの主婦の口伝えによって発足しました。市場で「竹筒歳月」という慈善の精神と作法を導き実行し、日々善の思いを心がけて、わずかながらでも貯金をするように呼びかけていたのです。時間が経つにつれて慈済は大きく成長し、慈善活動の場は海外へと広げられました。台湾の愛の心と善行は世界に知れわたっていったのです。

「慈済ボランティアは、すべての衆生を身内同然と思っています。愛を広めて互いに愛し合い助け合って、菩薩の道を歩んでいきます。このような心がけは、今も昔も変わりません。世の人々の苦しむ声を聞けば、助けに駆けつけていって奉仕をしますが、決して見返りを求めません。ボランティアはまさにこの世の菩薩です」と證厳法師は称賛されました。

一九九四年にアフリカのルワンダでは人種問題に端を発する虐殺が起こりました。命を守るため大勢の人が逃げ出し難民となりました。難民キャンプでは物資が欠乏して、伝染病が広がったため死者の数はうなぎ昇りとなり、国際的な人道支援が必要となりました。

慈済はフランスの世界医師連盟と取り組んで、花蓮慈済病院の医師も支援団とザイールの国境にあるゴマという町に医療ステーションを設置しました。難民に医薬品を提供したり、施療や栄養の補助をしたりしました。

当時、「台湾人は、世界が保護すべき動物を食用にしている」という台湾の印象を傷つけるようなニュースが国際社会に流れました。この時、何度も慈済と協力して活動してきた世界医師連盟のメンバーは、台湾についてのよい印象や慈済が国際支援に尽くしてきたことを述べ、台湾を擁護してくれました。台湾の愛と善を国際舞台に推し進めたのです。

「善の行いは互いに啓発し、導くことが大切です。他人の善行を見て歓喜の心を生じ、賛嘆するだけでも功徳はあります」と證厳法師はおっしゃいます。「台湾のメディアが人びとの心を清めるような報道し、愛の心をさらに広めてゆき、善の力が倍増されれば、台湾の宝というべき大愛が世界の人々に知れ亘ることになるでしょう」と切望しておられます。

「ろうそくを一本灯せば、その一本がまた他のろうそくを灯すこともできます。そうすることで一本目のろうそくの光が弱くなったりすることはなく、むしろ灯されたたくさんのろうそくが周囲を明るくするのです」「善の行いは一人では力が限られています。ですが、もっと大勢の人を導き率いれば、凝集したその大きな力がより広い範囲で、もっとたくさんの人を支援することができるようになるでしょう」と證厳法師は説明されました。

愛を以て、人びとの心の中の灯火を灯して、善の本性が啓発され、おだやかな心ある人間となるのです。豊かな国と平穏な社会になれば、人びとは安心して暮らすことができるでしょう。

 

成仏の道に力を尽くす 

 

慈済設立から五十周年を迎えるのを前に、各地からのボランティアは連日のように心の故郷である精舎に帰ってきて、朝山(仏への最高の敬意を表す礼拝。精舎に向って念仏を唱えながら三歩歩き頭を床について礼拝する)の活動に参加しました。また常住僧侶の作業を手伝ったり、寿饅頭を作ったりもしました。「慈済は皆がいるからこそ、愛の道を歩んで、途絶えることのない情を延々と衆生に注ぐことができるのです。皆がこの因縁を大切にし、道心をしっかり持つように。将来何度目の五十年を迎えても、皆は心を一つに、生生世世菩薩道を歩んでいきますように」と證厳法師は皆を励まされました。

「世を救うためには、仏法はよい薬方ですが、仏の道は人を率いて行うべきです。成仏への道程は菩薩道にあり、そして究極の目標は仏となることです」「日々仏法を聞き、より多く心ある人を導きましょう。続承した法脈を永遠に、慈済の精神を代々に伝承していきましょう」と諭されました。

二百人以上の台南のボランティアが朝山のため精舎に帰ってきました。證厳法師は、「菩薩に成し遂げるには、安定した恒常の心構えを持たなければ、無餘修、無間修、長時修、尊重修が得られません」「無餘修というのは、心は外のことにずれず志を致して、諸々の悪行をせず、諸々の善を行うように。無間修、初心を恒久に保ち、利他の行いを絶えず実践しましょう。長時修とは、一念発起すれば、仏の心と師の志を以て一歩一歩前進することです。そして敬虔で尊い心で、聞いた仏法を実行しようと努めることが尊重修なのです」

證厳法師は、皆が愛を以て慈済の志業を護持していることに感謝されました。「これからは無数の五十年を迎えます。皆が仏法をしっかりと心に、生生世世志を固く一つにして邁進して参りましょう」と呼びかけられました。

 

(慈済月刊五九四期より)

NO.235