慈濟傳播人文志業基金會
プラス思考で良い縁を結ぶ

 

一念発起し、聞いて心地よい話だけをしよう。

そうすればいつも衆生と善い縁が結ばれ、自分も法の悦びに満たされる。

 

この日、證厳法師が諭された内容は『法華経信解品』であった。「仏の教えに従って、大菩薩のため、諸々の因縁や様々な喩えを以て、わずかな言葉づかい少し気を配ることによって最高の悟りを話す」ことである。證厳法師は、「すべての法は『因縁』という二文字に包括されているから、私たちは心の畑を耕す農夫となって、衆生と良い縁を結び大切にしなさい」と諭された。また、「良い縁を結び、知恵を得て何事も善に解釈して世の中のことに対すれば、全てのことは法になります」と諭された。

證厳法師は 衆生と良い縁を結ぶことの重要さを常に教えてくださっている。 私もこの教えを心に、実際の行動に実践したいと考えている。

ある日、地下鉄に乗った際に、知的障害者の職員が雑巾で一生懸命にエスカレーターの手すりを拭いていた。その真剣に働く姿に感動した。昔の私なら、心の中で感動しつつも黙って通り過ぎただろうが、今回は心の中で、これは衆生と良い縁を結ぶ良いチャンスではないかとピンと来た。

それで、私は足を停めて、彼に笑顔で声をかけた。「ありがとう。とてもきれいに拭きましたね」。すると意外にも彼は大変嬉しそうに感激した様子で私の後をついて来て、一緒にエスカレーターを降りた。そして、彼は私の目の前で手すりを拭いてみせて、「このようにしっかりやらなければきれいにならない」とつぶやいた。私は「そう、すごいね」と笑顔で彼に答えた。エスカレーターを降りてから、彼は手を振って別れの挨拶をしてくれた。その時、私の目に涙が込み上げてきて、さっと背を向けてそこから離れた。

また、ある日レストランで食事をしていた時、ウエイターが間違って注文とは異なるスープを運んできた 。昔の私なら、優しい声でウエイターに「注文と違うよ」と言ったが、今の私は間違ったものでもそのまま食べてしまう。何分か後にウエイターが慌てて走ってきて言った。「申し訳ございません。先ほどご注文のものとは違うスープを運んでしまいました。今すぐ新しいものを持って参ります」。だが、私は、「持ってこなくてもいいですよ。このスープも美味しかったよ」と答えた。

彼はホッとしたように大きく息を吐き、重荷が降りたかのように去った。彼の姿を見た私は、これで彼は上司に叱られないだろうし、あの料理代を賠償する必要もないだろうと思った。最も重要なのは、彼はこの間違いによって悔やんだり悪い気持ちにもならないことだ。こうであれば、両方とも良い気持ちになるではないかと思った。

一念を発起し、プラスの面を考えるだけで、いつも衆生と縁を結ぶことができる。また私自身の中にも感謝の気持ちが生じている。なぜならば、證厳法師の諭しをよく聞いて深く理解し、信じているので、人々と広く縁を結ぶことができるし、自分もまた法の悦びに満たされるからである。

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