慈濟傳播人文志業基金會
宜蘭刑務所 教化こそが収容の目的
過去の更生サポートを見ると、
極めて少数の人格障害者を除いて、
多くの収容者は愛に感動を覚えたことから、
善良な本性を取り戻したといえる。
私たちはあきらめずに取り組み続ける。
一人更生させることができれば、
一つの家庭をも救うことになるのだから。
 
私の仕事場は高い壁の内側にあります。人生の道を間違えて、ここで「学習」している受刑者たちに毎日向き合っていると、何とかしてこの刑務所というコミュニティを、もっと人に優しく、和気藹々とした大家庭のような場所にしたいという理想を抱くようになりました。ここで暮らしているメンバーが、心身共に徳を修め、明日への希望に満ち溢れることを望んでいます。そして、刑務所を出る時には自分を取り戻し、愛する人に迎えられ、受け入れられて、新しい人生に向かって踏み出して欲しいのです。
 
再犯率についての報道があると、人々は、刑務所の更生指導が正しくないのではないか、犯罪者を数カ月あるいは数年間拘束しても、正道に導くことは無理なのではないかと疑念を抱きます。しかし、収容者の中でも、薬物、性犯罪、家庭内暴力、飲酒運転、強盗、窃盗などその犯した罪はそれぞれ違いますし、しかも複雑な家庭環境や、生い立ちや経歴、さらに身体的、心理的な問題もあります。刑務所内の更生指導員だけでは、それぞれのケースに対して細かく対応しきれないので、「更生サポートボランティア」に来てもらうことで、人手不足の問題を解決しています。
 
長い間、さまざまな宗教団体や慈善団体構のボランティアが、更生教育施設に歩み入り、団体及び個別による更生支援を行い、受刑者が直面する社会や家庭問題、あるいは心理的な苦境の解決に協力し、揺れ動く心を静ませてきました。これは、刑務所の安定と収容者の心の浄化に、きわめて重要な役割を果たしています。
 
過去の更生指導経験では、極めて少数の人格障害者を除いて、多くの収容者が愛に感動を覚えたことから、善良な本性を取り戻したケースが多くありました。それで、私たちはあきらめずにこの取り組みを続けているのです。一人を更生させると、一つの家庭をも救うことになるからです。
 
この一年間、宜蘭の慈済ボランティアは刑務所で料理を指導してきました。最初はお米を炊くことさえもできなかった女性の受刑者が、今では毎日楽しく学んでいますし、しかも新しい料理を考えて、御馳走が作れるようになりました。ボランティアの劉鐙徽が教えに来た日には、皆一緒に健康で美味しい饅頭と壽桃(長寿を祝う桃を象ったお菓子)を作りました。それから、誕生日を迎えるクラスメートのために、毎週誕生日会を行い、壽桃で祝っています。また、月曜日には菜食を推進し、健康で環境にやさしい活動を応援します。
 
●8月下旬、大愛テレビの番組が宜蘭刑務所で放送された。刑務所所長の謝琨琦さんは受刑者に対し、これらの良い番組に恵まれたので多くのことを学び、考えを改め、将来社会復帰につなげて欲しいと励ました。
 
ボランティアが開いている勉強会では、受刑者に自分の人生を前向きに考えるよう導きます。長期介護クラスにも協力し、受刑者に介護の技能を身につけるよう指導するので、家族の面倒もみることができるようになり、実益を兼ねています。それらの成果は受刑者の心を潤し、同時に私にとっても夢を叶える支えとなっています。
 
ボランティアは未成年の受刑者が薬物やアルコール、タバコなどの依存から立ち直るよう協力し、家族に対し刑務所から出た後の彼らを心から受け入れてくれるよう働きかけています。また、出所した後も、砂絵クラスを開くなど、寄り添いも続けます。
 
現在、女性受刑者の収監施設では、大愛テレビなどの道徳教育に関するテレビ番組を視聴することができ、社会とのつながりが保たれています。今年八月二十六日に、宜蘭刑務所の幹部ら三十二人は、女性受刑者たちが大愛テレビの番組を観た後に書いた感想を、静思精舎に送りました。そして、それに対する證厳法師の開示と激励を聞きました。
 
宜蘭の慈済ボランティアはそれほど多くありませんが、宜蘭刑務所が必要とする時、いつも熱意のあるボランティアたちが自発的に応援に来ます。この一年に宜蘭刑務所で進歩した面があったとしたら、それは慈済ボランティアの無私の奉仕のおかげだといえます。すべてのボランティアの皆様に感謝の意を表します。
 (慈済月刊六一一期より)
NO.252