気候の変動により災難が頻発している
大自然の風雨が順調になり
人類の生活が自然に回帰することを願う
人々の心の在り方が健やかであれば
地球の生態は良くなる
寒い冬が過ぎ去ると春がやってきて、色とりどりの花が咲き乱れ、多くの人が花見に出かけます。しかしながら人生の無常が突然訪れることがあります。
二月十三日に花見客を満載した一台の観光バスが、台湾中部の武陵農場での桜の花見ツアーを終えて台北へ戻る途中、ハイウェイで横転して三十三人が死亡、十一人が負傷する大惨事を起こしてしまいました。
救急隊員はただちに駆けつけ、夜を徹して寒い山で救助活動に尽くし、慈済ボランティアは速やかに温かい生姜汁を作って隊員を労っていました。また亡くなった霊が安らかであるよう助念(死者の冥福を祈り八時間読経する台湾の風習)を行い、駆けつけた家族に寄り添って慰めていました。楽しみにして出かけた花見に一瞬にして大切な人を別世界へ連れ去られた家族の悲しみが思いやられます。ボランティアたちは夜明けまで斎場で残された家族に寄り添い、また一方では病院へ負傷者の見舞に行きました。
この突然の事故で多くの家族が悲しんでいる所へ、この世の菩薩がただちに現れ「人の傷に我痛み、人の苦しみに我悲しむ」心を以て寄り添い慰めていました。皆が戒を慎み敬虔な心を以て、この悲劇が再び繰り返されないように願っています。
すべての命を
平等に見て尊重する
愛を以てリレー式に
苦難の人々に関心を寄せる
バルカン半島にあるセルビアは、多くの中東難民がヨーロッパへ逃れる中継点ですが、各国の国境を超すには制限があるため難民は仕方なく当地に留まる以外に方法がありません。臨時収容所は狭く、人が溢れて通気が悪いうえに体を洗う水もありません。そんな劣悪な環境の中、全身をノミに噛まれるなど、難民の健康状態が心配です。
ヨーロッパ在住の慈済ボランティアは、昨年から支援活動を始め、今年の二月には七カ国のボランティアがセルビアに集まって、十日間着がえの衣類や食糧、洗濯機、乾燥機などを難民に配付しました。この寒い中にも温かい思いやりのあることと、彼らが基本的な尊厳を保って暮らせるよう願っています。
ドイツから来た范徳禄さんは、難民が病院に行くための車を一台、難民委員会に贈りました。セルビアで工場を開設しているインドネシアの林逢生さんは、慈済が難民救済をしていることを聞いて、すぐに職員を派遣して手伝ってくれたのは大いに助かりました。林さんの職員は今後も続けて難民の支援をすると言っています。そして、ヨルダンとトルコの慈済ボランティアは、長期にわたって国内にいる難民に医療と教育の援助をしています。
このボランティアたちがすぐさま奉仕していたことは感謝に耐えません。苦難の淵にいる人たちにとって彼らは命の恩人です。
セルビアにいる流浪の難民は国外退去となるのを恐れてあちこちと逃げ回っているため、国際団体の援助を受けることができません。大雪の中、彼らの安らかな住み家はどこにあるのでしょうか? 私たちが住んでいる台湾ではたとえ寒波に襲われても、温かい家に暖かい衣類、熱いお湯のシャワーがありますが、彼らの一分一秒が難関であり、命を脅かされながら年月を越さなければならないのは哀れです。
すべての命ある者は平等です。遠方で起きている災難は私たちとは何の関わりもないと思ってはなりません。無常の人生ですから、今ある貴い平穏は永遠の平穏を代表しているのではありません。人の苦しみを見て我が身の福を知って警戒を怠らず、愛の心を発揮して苦難の人たちを身内の者と思って関心を寄せねばなりません。
日々の平安に感謝し、お互いでも感謝し合い尊重と愛が心にあるとこの世は平穏になります。
清らかな本性を以て
誠正信実に広く衆生済度を
《法華経・提婆達多品》の中に、文殊菩薩が四方教化から帰られて、智積菩薩との対話を行う場面があります。
文殊菩薩が大輪の千葉蓮華の上にお座りになり、一方では海竜宮から霊山会へ帰る龍女と済度した同行の菩薩たちがいました。そして、蓮華の宝座と、龍宮から出てきた人たちが一緒になって、空中からゆっくりと霊鷲山へ下りてこられました。
ある智積菩薩は、大海中の龍宮は湿った所で、さらに水の中にいる者たちにはいろいろあって教化することは難しいと思っていました。しかしながらこの荘厳な様子を見て敬虔な心になり、文殊菩薩に「大智徳勇健。化度無量衆」と言って、褒め称えました。それは勇猛かつ徳行を以て妙法華経を説き、無数の剛の衆生を済度したということでした。
文殊菩薩は八歳の龍女を例に「智慧利根。善知衆生諸根行業。得陀羅尼。諸佛所説。甚深秘蔵。悉能受持。深入禅定。了達諸法。於刹那頃。発菩提心。得不退転。辨才無凝。慈念衆生。猶如赤子。功徳具足。信念口演。微妙広大。慈悲仁譲。志意和雅。能至菩提」と言われたことは、龍女は幼いながら道理に通じ、心身とも清らかで、慈悲心を以て衆生に利済し、なおかつ堅い精進の心を曲げることがなかったゆえに、速やかに證仏果を得られたのだと言われました。
智積菩薩はまた一つ疑問に思っていたことを尋ねました。「釈迦牟尼仏は累世にわたって絶えず修行して成仏されましたが、龍女はなぜこんなにも早く證悟ができたのでしょう」と。
その話がまだ終わらない中に、突然龍女が姿を現し仏陀に向かって跪き一礼して、仏の慈悲と智慧を褒め称え、自分も仏同様の大乗教法で各地の苦難の衆生を済度しますと言いました。
シャリフ尊者はこのことを聞いて不思議に思いながらも「穢れのある女身、法器に非ず」と言い、なおも女人には五つの障害があるため、速やかに成仏することは困難だと言いました。
龍女は二人の賢者と他の人の思惑を知って、恭しく仏に礼をして宝珠を差し上げると、仏陀は喜んで受け取られました。その瞬間、龍女は男性の身に変わって南方に向かって行き、無垢の世界で成仏しました。
その時、皆は忽然として悟りました。もともと龍女は累生累世の六道の中で菩薩道を行っていたので、六度万行がすべて整って、歴劫が刹那に因果に変わって満ち足りたのでした。
この問答で衆生の偏見が解かれ、人々には皆仏性が具わっており、「心、仏、衆生の三つには違いがない」ことが証明されたのです。ただ貪恋、愛に捉われる心なく、清らかな慈悲、善に向かう堅い心、無欲無求であれば女子といえども大丈夫になることができるということです。
シャリフ尊者の言われた五障とは、多くの女性には無明と変わりやすい心、奢侈驕り、他人を惑し嫉妬深く、煩悩などの習気があって、修行するのに大きな障害になっていることです。龍女が仏に宝珠を差し上げたとは、すべての欲念を断つことを現しているのでした。
提婆達多は仏法の道理に精通していたものの、煩悩無明などの障害が邪魔をして、嫉妬心や悪念が起こって道行に背き、その上生々世々にわたって仏に刃向かい、僧団を破壊したために活きながらに地獄に堕ちました。仏陀の「怨親平等(怨みがある者も親しい者もすべて平等という意味)」とは、しばしば提婆達多から攻撃を受けても変わらない堅い志で衆生を済度しておられたことです。
龍女が変身した後の成仏、また悪道の許すことのできない提婆達多に対しての授記とは、人々はみな等しく成仏できることを説明しているのです。貪、瞋、癡、慢、疑の五毒は真の本性を妨げます。常に己を調伏して、法水を以て煩悩や無明、塵を一つ一つ洗い拭わなければなりません。
誠正信実を心に抱き、誠意を以て衆生に奉仕することです。正確な観念を以て煩悩を断ち、堅く深い信心を以て一切の法門を堅持し、菩薩の道を着実に前進して、衆生の根基に応じて教化すれば、この上ない仏道を成就することができます。
地球が平安なら
私たちも平安になれる
危機を抑えるには
私たちにも責任がある
中国の黒龍省に住む八十三歳の王金華さんは環境保全のボランティアで、大愛テレビの環境保全の番組を見て賛同し行動に移しています。そして雪が積もっていても資源回収に出かけていました。
息子はこんな大雪に外出するのはよしなさいと母を止めました。しかし王金華さんは、「資源は宝で、それに私はこの年だから一日やれば一日儲けたことになる」と言って、大雪でも一日も無駄に過ごしません。孝行者の息子と嫁は母が一人でやるのが心配なので、毎日つき添って回収できる物を集めて、家の空き地を環境教育の場として開放しています。
道を探し始めたら遠いことも厭わないことです。年末に王さんは息子夫婦に付き添われて台湾へやって来て、「鉄のような堅い意志で生々世々法師に従っていきます」と私に言った志に大変感動しました。遠く離れて住んでいても、大愛の情は私たちの魂を結びつけています。
彼女は台湾北部の慈済リサイクルセンターを参観して、「地球が平安になると人も平安になる」と言い、台湾で見た環境保全の経験を持ち帰って故郷に定着させるのだと言いました。
気候の変動は年々激烈になり、世界で絶えず発生している大雪、暴風、旱、洪水、山火事などの天災の威力は驚くばかりです。人の力は天に勝るでしょうか? 人類と大自然は須彌山と小さな蟻のようです。自分を大きく見ず、謙虚に天を敬い地を大切にしなければなりません。
台湾に水不足が迫り、ダムの水が少なくなっています。生活する上で水と電気が不足するとすべてが停滞してしまいます。日常的に水を節約するだけでなく、菜食を行えば環境保護になり、地球温暖化を緩和させることができます。
四川省の実業家、紀亜紅さんは食品会社の社長で、三年前慈済の貧民救済の精神に感動して、昨年慈済委員の認証を受けました。彼女は工場の中に資源回収所を設置したり、従業員に菜食を奨励したりしています。
飲食もまた清潔が源であり、食物を口に入れる時、これは環境に優しいかと気をつけることです。人は肉類を食べなくても生きられますが、五穀は不可欠です。野菜や果物をいっぱい食べることが、養生の道です。
小天地は大天地に影響します。皆が心を変えて、天を敬い地を大切にして、生態を破壊せず、資源の消耗を低く抑え、一人一人の小さな力を集中すれば、天地を改善させる力を発揮することができます。
大地の風雨が順調になり、人類の生活が自然に回帰するよう願っています。人々の心のあり方が健康なら、地球の生態も良くなります。皆さんが心して精進することを願っています。
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