「源から消費を抑えれば、廃棄物の運搬量を減らすことが出来ます。もし、それを使用するのであれば、回収する時に清潔でなければなりません。なぜなら回収とは『ゴミ』を集めるのではなく、資源を集めることであり、環境保全を進めるために、清浄は源からやらなければいけません」。
十年前、證厳法師は「環境保全の精緻化と清浄は源から」と呼びかけた。廃棄物として処分する時には必ず洗浄し、正確に分別すれば、リサイクルステーションで処理する作業の効率が上がり、再利用しやすくなるのである。
慈済が環境保全を訴えてから三十年近くになる。しかし、その堅持も時代の障壁に当たったことがある。二〇一七年から一八年の末にかけて、中国が何度も海外からの廃棄物の輸入禁止を発令した。その「外国ゴミ」禁止令によって国際間の廃棄物回収体系が変わってしまい、紙類、廃プラ等の回収価格が暴落すると共に、廃棄物は「行き場をなくし」、ゴミ危機をもたらした。
台湾は曽て回収率が五十五パーセントを記録し、米国の《ウォール・ストリート・ジャーナル 》に「ゴミ処理の達人」と報じられたことがあるが、その当時の社会では、回収は無駄骨ではないか、と疑問視する声もあった。
本期の主題報道の分析によると、台湾の資源回収業者は価格の変動で痛手を受けることは確かだが、幸いにも慈済のリサイクルボランティアが一貫して細かく分別しているため、市場の変動による衝撃は比較的少ない。一部の回収物は市場から重要視されていないが、ボランティアは環境保全の信念に基いて、方針を変えず万難を排して分別し、無用のゴミの産出を抑えている。
アメリカ《ブルームバーグニュース》の記者アダム・ミンターの調査報道では「回収、再生」はゴミ解決の方法としては三番目にしか数えられない。なぜなら処理の過程でもエネルギーを消費し、汚染を作り出すからである。そして、回収再生される回数に限りがあるため、回収率を上げるよりも根本からゴミの産出を抑える方がはやい。
例えば、台湾のビニール袋の使用量は驚くほど多い。私たちの消費習慣を見るだけで分かる。特に街の至る所にある飲食店を利用すると、一人が一日に幾つものビニール袋を使ってしまうのだ。統計によると、台湾で一人当り一年間に使うビニール袋は平均EU加盟国の四倍近くになり、環境破壊の観点から見て見ぬふりをしてはならないのである。
慈済は長年、外出の時には自前の買い物袋や携帯食器の持参を呼びかけてきた。現在、マイコップを持参すれば割引する店も増え、プラスチック製コップの使用削減を後押ししている。数年前、数人の若者がユーバッグ(Your bag, my bag 中古バッグリサイクルプロジェクト - あなたのバッグ、私のバッグ)団体を立ち上げ、家にある中古袋の寄付を人々に呼びかけた。初めはボランティアが洗浄してから加盟店に届け、消費者に再度使用して貰っていたが、今その団体は情報提供のプラットフォームとして、店舗や企業、団体を通してプラスチックの使用削減を呼びかけており、慈済青年公益実践計画にも参加している。
法師は、「人心を浄化してこそ大地は浄化される」と言っている。環境保全とは単に力を尽くして回収するだけではなく、物欲を抑える生活理念なのである。純朴な心だけが環境をより大きな破壊から守ることができるのである。
(慈済月刊六三二期より)
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