文
互いに敬い争わなければ、
社会は穏やかで平穏になる。
平穏で福があってこそ、その余力で人助けし、社会に幸福をもたらすことができる。
心安らかであれば自在になれる
師姉が会員を伴ってやって来た。ある師匠がその男性に、《地蔵経》を一万回唱えて業を消すよう言ったため、今、五千回唱え終わり、妻も五千回唱え終え、健康状態が改善した。一万回唱えて業を消し去ってから慈済に参加したい、とその人が言った。
「因縁果報は何生にも渡って作られて出てくるもので、今生でお経を唱えたからと言って業が消えるわけではありません。しかし、経文を唱えるのは悪いことではなく、心を静めてくれます。《地蔵経》と縁があると思うのであれば、心が安らかになるまで唱えてもいいでしょう。しかし、何回唱えたかに執着するのではなく、心軽やかに自在な気分で唱えることです」と上人は説明した。
仏法を修行する時、一番大事なのは、法理とその道を理解し、菩薩道がどうやって切り開かれて歩き易いものになるかを知り、それを身で以って実践することである。上人はその男性に次のように言って励ました、「五十年余りの慈済の道はその経文から歩み出したものです。縁があれば《無量義経》を読んでみてください。五千回も《地蔵経》を唱えるのは容易なことではありませんが、体の病はやはり医者に診てもらって治す方がいいと思います。私も病気の時は医者に診てもらいますし、お経を唱えるだけで治ることはありません。しかし、心は常に平静を保つべきです」。
自分の能力を軽んじてはいけない
今年の歳末祝福会のテーマは「生命を尊重する愛に感謝し、互いに敬い争わず、共に福縁を結ぼう」である。上人は宗教処の幹部職員にこう語った、「台湾が、人々が互いに敬い、争わなくなることによって穏やかで平和な社会になることを切に願っています。慈済がこの数十年間に世界で行って来た人道支援によって、数多くの国で人々は台湾の愛を感じ取り、感謝しつつその情を心に刻んでいます。歳末祝福会のポスターは、台湾は平和で福のある国であり、余力で以て他の国で苦しむ人々を支援していることを訴えています。台湾により多くの幸福をもたらすべきです」。
海外の慈済人は慈済精神を啓発して結集し、志業をより良い方向に発展させている。その精神のエネルギーは台湾から来たもので、心から台湾に感謝していると彼らは現地の大衆に語っている。また上人は、発祥地である台湾の慈済人が法脈と宗門の精神エネルギーを強固なものにし、人々に慈済精神の根源を見てもらうと共に体得してもらえることを期待している、と語った。
「世界の慈済志業精神の発祥地として、私たちには慈済の慧命を伝承していく責任があり、世界中の慈済人を正しい方向に導かなければなりません。そして、現地で心して志業を着実に遂行している海外の慈済人に対して、本部は関心を寄せると共に賞賛してあげなければいけません。精神の理念が台湾から海外まで全て正確に根ざしてはじめて慈済宗門は広まるのです」。
「未来の人間社会のために、あらゆる国と地域で慈済人がその道を切り開く手伝いをすべきであり、それを途絶えさせてはいけません。自分を軽んじてはいけません。誰もが自分の能力を肯定すべきであり、『合和互協』で以って開拓し、人間菩薩の道を敷くのです」と上人は念を押した。
(慈済月刊六二五期より)
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