問:家事を一人でやってしまうのではなく、子供にも参加させるにはどうしたらよいですか?
答:家事が誰かの仕事なのかといえば、お母さんは「家族全員でやりましょう」と言いたいに決まっています。そうはいってもアジア地域では、その答は成立しません。中国の諺に「君子厨房に入らず」とあるように「男性は外で仕事、女性が家事をする」という考え方は根強く、お父さんが「稼ぐことは大変なのだから、家事はお母さんの仕事」と当たり前のように考えているからです。加えて両親が常に子供にしっかり勉強してほしいというので、子供もまた「私は宿題が多いから家の手伝いはできない」と思いこんでいるのです。
また姑は非常に夫をかわいがり、幼い頃から大人になるまで家の事は何もやらせなかったので、結婚後、私が家事と仕事を両立するしかなく、子供の出産後は、尚更忙しくなりました。そこで自分の負担を減らすために、洗濯物を干すことと取り込むこと、ごみ捨てなどの楽なことを主人に少しずつやってもらうことにしました。彼は元は何もできない過保護の人間でしたが、今では洗濯物のたたみ方や洗濯機の操作などは私より熟知しています。
その後、三階、四階の床の掃除も夫が分担し、一階から二階までの、台所やトイレなどの細かい部分を私がすることにしました。それから暫くすると、私は、応接間や台所、トイレなどの手間がかかる部分を掃除するだけでよくなりました。一度に分担してはいけません。根気よく、難癖をつけず、「家事は皆の仕事」だとも言わずに、すベてをごく自然に任せていけばよいのです。
二人の子供に対しては、幼児園の年中クラスに入った時、「家事は皆の仕事」だという考えを自然に受け入れられるように、一階から二階までの階段の掃除を彼らに頼みました。私もそばにいて、モップを絞りながら彼らの安全を見守っていました。
なぜ階段の掃除をやらせたのかというと、一段一段の小さなスペースなので、掃除がしやすくしかも達成感のある仕事だからです。そして掃除が終わると彼らのお手伝いスタンプを表に押してあげます。スタンプ一つで十分間テレビを見るかゲ―ムをすることができます。我が家ではこのようにお手伝いをしたらテレビとゲームができることにしました。その他、子供は自発的に食事後の片付けや、床の掃除、服を畳むことを身につけました。
これらの分担について祖父母からは賛成してもらえず、まだ小さいし良くできない上に危ないと言われましたが、私は考えを変えず「家事は皆の仕事」だという理念を突き通しました。
二人の子供は小学校に入ってから、学校の掃除時間にも、同じく床の掃除を担当していました。先生によるとクラスの中で私の子供が一番きれいに床を拭いたそうです。子供たちもはいつもほめられるので自信がつき、家事がもっと好きになっていきました。
大学生になっても同じように彼らの本棚や洋服ダンスは同室のクラスメートよりもよく片付いていて、寝室の床も自分で掃除していました。すべては小さい時から家でしていたので良い習慣が身についたのでしょう。
私の同僚に、四〇歳過ぎの息子のために月に二回息子の部屋を掃除に行く人がいます。息子は忙しくて掃除が苦手だからだそうです。たとえ私と会っていても同僚は掃除の時間になると先に帰るのです。友人との集まりにも出てきません。
逆に私の子供は二人とも仕事をしていますが、床は決まった時間に掃除し、浴室もいつも清潔です。ゴミは分類して決められた時間に出し、自然に家事をこなしています。これはみな小さい時からやらせていたお陰です。子供は小さい時から良い習慣を身に付けていると、大人になって生活能力が高くなり、職場でも歓迎され目立つようになるものです。皆さんも、自然に「家事は皆の仕事」になるように、早いうちから始めてみてください。
(慈済月刊六二三期より)
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