慈濟傳播人文志業基金會
感性と理性を兼ね備えた慈済宗門の方向性
慈済は初期の頃、善意の人に呼びかけて同情心で以て貧困救済を訴えたが、
今では国内外の異なる文化と宗教の人々からも参加の呼び声が高まり、
仏教の慈悲精神と科学技術を結び付け、感性と理性を融合させた新たな様相を見せている。
 
十月中旬に慈済宗門の志業チームが行った研修会に参加した私は、慈済宗門の感性と理性を取り入れ、慈悲心と科学技術を融合させた広い心に深く感動した。
 
私が二十五年前慈済に入った当時、出会った師兄や師姐(ボランティアの男性と女性の呼び方)のほとんどが、純朴で苦労に耐えられる人たちで、「阿弥陀仏」と挨拶し、布施や善行をして仏門に入ったという信仰心が見られた。證厳法師を尊敬し、衆生を迷いから悟りに導く話に共感し、世間のあらゆる苦難や憐れみに涙することがボランティアを持続する原動力であった。
 
社会から見れば、女性の特徴である共感と思い遣りが慈済菩薩道の基盤であった。人々は生命の転換過程で感銘を覚えることによって参加するが、説法や講釈は人の心を動かす説得力があった。
 
修行の順次からみると、布施について智慧で以て考え、観察、理解する必要があり、、信じて発願し、行動するのも、仏法から理解しなければいけない。それ故に、上人は「仏法を心で理解し、行動に取り入れる」ことを絶えず呼びかけているのである。「覚有情」とは、思いやりで人心を教化し、最終的に仏教の道理を実証しているのである。
 
 
今回の慈済法脈宗門の研修会で、私は再び「感性」と「理性」が融合した新局面に気づいた。それは仏教の慈悲精神が現代社会に根付き、科学技術や専門分野と結び付くという感動的な設計になっていた。
 
国際災害支援では、初めは毛布を贈っていたが、後に被災者が必要としているとは限らないことに気づき、生活用品、家屋の修繕道具や材料など必要な物が購入出来る買い物カードに切り替えた。また、災害支援の項目も増え、即席飯、多機能折り畳み式ベッド、浄水装置などは全て現代科学技術で開発され、製造されたものである。
 
以前の災害支援はほとんど素手で行なっていたが、その後證厳法師の指示で大愛感恩科技公司は、切り傷や刺し傷を防ぐための手袋と靴の中敷を開発した。科学というコートに温かい人情が包まれている。開発中のスマート数珠にもそれが見られ、血圧値のデータやGPSによる位置情報を送信して認知症患者が迷子になるのを防ぐことができるようにしている。
 
慈済は半世紀を経た現在、経験豊富な師兄や師姐たちも老年になりつつあり、長期ケアが必要な人も出始めている。幸いにも慈済にはリサイクルセンターがあり、高齢者の活動とケアの拠点になっていると同時に社会福祉の資源とも言われている。
 
十二年前、一回目の慈済法脈宗門研修会が行われたが、当時の講演者は慈済内部の人だった。今年は臺北醫學大學閻雲前校長や中央研究院廖俊智院長にも参加していただいた。彼らは社会と環境変化の角度から見た慈済の存在価値とその影響力、社会の慈済に対する「感性」と「理性」面での認識について語った。
 
初期の慈済は同情心で以て貧困者救済のために善意の呼びかけを続けてきたが、今では国内外の異なる文化と宗教のボランティアも参加し、医療業界、学界、科学技術業界からも支持されるようになった。これから先は感性と理性を兼ね備えた宗門を大切にし、発展させていく所存である。
(慈済月刊六二五期より)
NO.266