慈濟傳播人文志業基金會
善と愛があれば 自ずと人からも愛される
衆生の苦を取り除く菩薩として
 
中東に位置するシリアで二〇一一年に内戦が始まって六年目の現在、数百万人のシリア人が故郷から脱出し、他国に流入して難民となりました。證厳法師は朝会で、難民のことを思うと悲しくなるとおっしゃいました。「かつてどれほどの財産や名望があっても、いったん国や社会に動乱が勃発すると、命を守るため他国へ逃げ回る難民とならねばなりません。心身とも苦しくて、多くの子供たちは病気になっても、適切な医療を受けられなくなってしまう」と話されました。
ヨルダンには多くのシリア難民が身を寄せています。ヨルダンの慈済人は昨年の十一月から今までに百人以上の子供に医療を援助し、今なお三百人以上の子供が手術や治療を待っているようです。慈済人医会(医療ボランティアチーム)の林俊龍執行長や台中慈済病院の簡守信院長など、三十人以上のスタッフとボランティアで構成した施療チームは昨年の十二月ヨルダンへ出発し、現地の貧しい住民と難民家庭に施療活動を行いました。
近年、中東諸国では次々と動乱が発生しています。證厳法師は動乱で生じた難民を十分に助けてあげられないことを悲しむとともに、施療チームもくれぐれも安全が第一だと言付けられました。「皆さんは愛のためにあちらに行かれます。大きな愛のエネルギーを衆生に注いで彼らの役に立ってください。医療の良能を発揮し、人々の心身を暖めてあげましょう」と教えられました。

海外慈青(青年ボランティア)と慈懿スタッフの研修キャンプで證厳法師は次のように若者に語られました。「享楽に溺れずにこの一生の福を大事にし、うまく時間を利用し、因縁を把握して菩薩の良能を発揮しましょう。自分自身の楽しみを求めずに、衆生の苦難を解脱させるお手伝いができれば、自分の心も安らかになると感じられます。これはいわゆる『無縁大慈、同体大悲』(注)の菩薩心です」と仏陀の理念を説明なさいました。

教育で最も重要なのは、正しい一念を持つことです。「慈済の宗教教育は自分と人を等しく愛することです。自愛(自分を愛すること)であれば、業因を作ることがありません。善念を保つことで、善念を持ち続けていけば、心の中に愛が満ちていて、自然に人から愛されるようになるのです」と證厳法師はおっしゃいました。

「少数の善人だけではこの世は和やかな社会にはなりません。自分を愛するだけでなく人も愛し、互いに愛し合い励まし支え合っていくように。そうすれば人を幸せにすることができ、自分もまた幸せになります」とお教えになりました。

(慈済月刊六〇二期より)

 

*注:無縁大慈とは無縁の者にも大きな慈しみをかける大きな愛のこと。同体大悲とは人の体も自分の体と同じように感じること。人の痛みを自分の痛みとして感じ、衆生の苦しみを自分の苦しみとして受け取るという意味。

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