私はよく皆さんに「朝ご飯に何を食べましたか」と聞いています。玄米、五穀粉、マントウ、パン、おにぎりと答える人もいれば、中には「朝ご飯を食べる習慣がない」と答える人もいます。朝食を少ししか食べない、あるいはまったく食べないと、どうしてもお昼前の十時過ぎくらいにお腹が減ってきて、元気がでなくなってしまいます。その代わり夕食によく美味しい物を食べている人は結構多いようです。
人体の生理機能は午前中が最も良い状態で、それに対して夜はよくないのです。ですから盛りだくさんの朝食と簡単な夕食にした方が、体の機能に合っています。
脂肪肝の原因は脂っこいものの食べ過ぎだとよく言われますが、実は甘い物の取り過ぎでもあるようです。若者は甘い飲み物を好み、高齢者は糖分の多い果物を選びがちです。果物を食べるのは、その甘さでなく、その中に含まれている酵素とビタミンを求めるべきです。夜の活動量が少ないなのに、盛りだくさんの夕食を採ったうえ、食後またデザートや果物を食べたら、体内で中性脂肪に転換され、これが長期間溜まっていくと脂肪肝になってしまうのです。
市販のクッキーや飲み物、コーヒーなどの食品にはよく添加物として遊離糖(フリーシュガー)の標示があります。遊離糖とは穀物や根菜、茎菜などが由来の糖質ではありません。砂糖の一日の摂取量が二十五グラムを超えないように、角砂糖約五個分までにするようお勧めます。
市販の弁当にはよくヨーグルトがついてきますが、一本のヨーグルトには角砂糖約三個分の糖分が含まれています。小瓶のコーラでも角砂糖七個分ぐらいの糖分が入っているので、私たちは日々糖分を多く摂取しがちです。また甘い物は胃酸を分泌させ逆流性食道炎を起こりやすくさせます。ですから毎日五穀類を主食とし、それ以外の糖類を食べ過ぎないように注意することが必要です。
良い油を採っていますか?
三食正しい食事を摂取する前に、まず人間のエネルギー源となる三大栄養素について理解することが重要です。たんぱく、糖類(炭水化物)、そして最後は脂質です。
毎食は穀物を炭水化物の主な摂取源にします。ベジタリアンは豆類、キノコ類、海藻類、卵からたんぱく質とカルシウムを摂るようにします。そのほか大量の野菜と適量の果物も摂取します。その中にも五割以上もの食物繊維が含まれています。野菜とご飯と言う食べ方をお勧めします。
脂質は体のエネルギーを提供するのに欠かせない食物です。とくに炭水化物をたくさん採れない場合、脂質はエネルギーの主な供給源となるのです。良い油を摂取すれば顔に光沢ができ、冬も寒くないし、体内機能の働きを正常化させ、ホルモンと細胞膜の構成要素にもなるのです。
あらゆる植物油の脂質はたいてい良いですが、生成過程や保存方法、そして料理法まで、油の質を変化させないように注意することが必要です。
料理する時は一種類の油に偏らず、苦茶油、アマニ油、ココナッツオイル、ごま油などを順ぐりに使用すると、栄養素の吸収が高まり、味の違いも楽しめます。それにクルミなどのナッツ類にもよい脂質が含まれています。
水分の取り方は?
カロリーゼロの食物も重要です。その中に含まれている水分が人体を構成する細胞の基本要素となるからです。水は体温の調節、正常な循環と排泄を維持し、食物の消化と吸収を促して、細胞を代謝させる働きなどを持っており、「薬の王様」とも言えます。
毎日飲む水の量はどのぐらいが適当でしょうか? 体重一キロにつき三十五~五十ミリリットルの水が必要で、しかも飲む時は少しずつゆっくり飲むようにします。
クロム、セレンの微量元素も重要です。クロムは卵やバナナ、リンゴの皮、穀類から摂ることができますが、それらが異常な場合、血糖値のバランスが崩れてしまい、高血圧や心臓病が起こりやすくなるのです。セレンはナッツ類、はと麦、カボチャの種から摂取しやすいです。
とくにお勧めしたいのは海藻類です。海藻類にはたんぱく質や鉄、カルシウム、ビタミンA、カロチン、ビタミンB12などが豊富に含まれています。ベジタリアンの人にとって非常に良い食物です。
また、どんなに忙しくても、すきま時間を見つけて運動するよう心がけましょう。たとえば通勤時には歩くようにし、エスカレーターを使わずに階段を上り下りするようにし、早歩きをするのが効果的です。毎日三十~四十分続けていると、体力の向上が期待できます。
飲食のバランスと生活習慣が正常に戻れば、健康な体を維持できます。体内にエネルギーがあってさらによい心をもち、心の扉を開けば、福が得られるのです。まず自分の体を大切にしてから、もっと多くの人の世話ができるのです。
(慈済月刊六〇四期より)
気をつけよう!
加工食品やデザートの成分に多く含まれるファットスプレッドやマーガリンなどの硬化油と呼ばれるトランス脂肪酸は代謝されにくく、心血管系疾患のリスクを高める恐れがあります。美味しいと感じても、心臓に悪い影響を与えるので、取り過ぎないよう気をつけましょう。