慈濟傳播人文志業基金會
故郷を守る志
大甲媽祖様が年に一度各地を巡るお祭りが幕を閉じ、慈済ボランティアは今年も媽祖について回った人たち(巡礼者)の落としたゴミの清掃を行っていた。媽祖巡礼は人々にとって盛大な信仰行事であるとともに観光の目玉にもなっているが、一方で、環境汚染という後遺症をもたらしている。
小琉球島がその一例である。今月、台湾全国の村や町で活動する環境保全ボランティアを紹介するコーナー「大地の守護者」のテーマは、台湾本島西南の海に浮かぶ小琉球島を主題としている。
小琉球は珊瑚礁からなる小島で、古来漁業を営み、農業に従事する者は極少数だった。漁業で得られる収入は乏しいため、若者は外で働くため故郷を離れ、一時期過疎化と高齢化が加速した。しかしこの十年来、政府が島の観光業を推進しているため、多くの若者が故郷へ戻ってきて観光業に従事するようになり、この小島に新しい風をもたらしている。
観光化が進むにつれ、多くの問題も発生している。観光客がバイクを乗り回し、静かな島は一変して騒音に包まれた。砂浜に産卵する海洋生物は、人々の靴底に踏みにじられた。これらの稀少な海洋生物がこの世から消えてしまうことは残念なことだ。浜には台湾本島から漂流してきたゴミや、観光客の落としたゴミが散らばっている。
現地のゴミ運送のコストが非常に高いのは、民生資源からゴミ処理に至るまで台湾本島の船に頼らなければならないからだ。大量のゴミに船に積まれている様子を、メディアに「ゴミの島」と報道された。幸い政府がゴミ処理の問題を解決したので、この危機がなくなり、一部の島民の間には環境保護の意識が芽生えている。
 
一九九六年、現地の慈済ボランティアは困難を克服して、集落に資源回収の風潮を吹き込み、島民の三分の一が環境保全ボランティアに参加した。十年後、「ゴミの島」は環境保全ボランティアの努力によって「ゴミが黄金に変わる」島になり、役所の資源回収の負担を軽減している。
小琉球にはわずか二十人ほどの環境保全ボランティアがいる。心ある民宿や店舗は資源ゴミをとっておいて、車で回収するボランティアに渡してくれている。また、ボランティアは至る所に落ちている再利用できる物も回収している。
困難な環境を克服して、彼らは捨てられたきのこの栽培容器やグラスファイバー製の漁業網を回収している。そして漁村の子供たちと智慧をしぼって回収物を入れる袋などいろいろな物を作っている。島民から地芳おじさんと親しまれている船会社の社長は、二十年近く回収物を台湾本島に運送し処理している。
暑くなる観光シーズンともなれば、資源回収の速度はゴミの出る速度に追いつかない。それでも小琉球島のボランティアは少しも気落ちせず、素朴な笑みを見せながら、蟻が須弥山に砂粒を運ぶような気力で、せっせと回収作業に専念している。私たちもその故郷を守る志を讃美し見習うべきだ。
NO.246